[書き下し文]君(きみ)召して擯(ひん)せしむるときは、色(いろ)勃如(ぼつじょ)たり、足攫如(かくじょ)たり。与(とも)に立てる所を揖(ゆう)するときは、その手を左右にして衣の前後、譫如(せんじょ)たり。趨り(はしり)進むには翼如(よくじょ)たり。賓(ひん)退くときは必ず復命して曰く、賓顧みずと。
[口語訳]主君から召しだされて国賓の接待をさせられる時には、顔色が生き生きとして、足の歩み方がゆっくりとなった。接待する役目を仰せ付けられた同僚にご挨拶される時には、組み合わせた手を左右に持ち上げて挨拶し、衣服の前後が乱れることはなかった。少し小走りをして進み、するすると速やかに自分の席にお着きになった。国賓が退席されると、『お客様が挨拶をされてお帰りになりました』と必ず主君に復命なされた。
[解説]国賓の接待を主君に命じられた孔子の具体的な礼儀作法のあり方を解説した章句であり、孔子の鮮やかで無駄がない動き、礼に違背することのない身の処し方が再現されている。