[書き下し文]子曰く、回や我を助くる者に非ず、吾が言に於いて説ばざる(よろこばざる)ところなし。
[口語訳]先生が言われた。『顔回(顔淵)は、私の学問を助ける者ではない。私の言う言葉を(批判的に吟味せずに)喜んで聴いてるだけだから。』
[解説]孔子が最も強く将来を期待した弟子が顔淵(顔回)であるが、顔淵は孔子の理想とする境地と同じ境地に立っていたので、孔子の主張や思想に対して批判的な解釈をすることがなかった。そのため、孔子と顔淵が議論しても「弁証法的な発展(定立・反定立・統合)」をすることができず、そのことを孔子は学問的な立場から物足りなく感じてしまったようである。