[書き下し文]閔子騫(びんしけん)、側ら(かたわら)に侍す。ギンギン如たり。子路は行行如(こうこうじょ)たり、冉子(ぜんし)と子貢(しこう)とは侃侃如(かんかんじょ)たり。子楽しむ。曰く、由(ゆう)の若き(ごとき)はその死を得じ。
[口語訳]閔子騫が先生の側近くに控えていた。閔子騫の様子は、中立的で程よく落ち着いている。子路の様子は、力強くて剛直過ぎる感じである。冉子と子貢の様子は和やかな雰囲気である。先生は門人たちの様子を楽しみながら言われた。『子路のような激しい気質では、天寿をまっとうすることは出来ないだろう。』。
[解説]弟子たち一人一人の気質・性格と長所・短所を適切に理解していた孔子が、にこやかな表情で弟子の様子を眺めて評した章である。孔子は、血気盛んで勇気に満ちた子路の先行きを、その気性の激しさゆえに生命を失うことになるのではないかと強く案じていた。果たしてこの孔子の不吉な予言と忠告は的中し、直情径行で妥協をすることを知らなかった正義の人・子路は、衛国で他者の怒りを買って謀殺されてしまうこととなる。