[書き下し文]子曰く、苟しくも我を用うる者有らば、期月(きじつ)のみにして可なり。三年にして成る有らん。
[口語訳]先生が言われた。『もし私を採用してくれる君主がいれば、一年間で政治の実績を出すことができる。もう少し言えば、三年の時間を貰えれば十分な成果を出せるだろう。』。
[解説]善政を打ち立てる為政者として活躍することが孔子の一つの夢であったが、孔子の献策や忠告をそのまま受け容れてくれる君主はとうとう現れなかった。一年間政治を任せてくれれば善政が行えるのにというこの言葉は、衛の霊公に用いてもらえなかった孔子の無念と悲嘆の気持ちが込められたものと読むこともできる。