[書き下し文]子、衛に適く(ゆく)。冉有(ぜんゆう)僕たり。子曰く、庶き(おおき)かな。冉有曰く、既に庶し。また何をか加えん。曰く、これを富まさん。曰わく、既に富めり。また何をか加えん。曰わく、これを教えん。
[口語訳]先生が衛に行かれた時に、御者の冉有に先生が言われた。『衛の首都は人の数が多いな。』。冉有が質問した。『すでに人は多いようですが、あと衛に何を加えましょうか。』。先生が言われた。『この人たちを富裕にしよう。』。冉有がさらに言った。『人々を富裕にした後は、何を加えますか。』。先生が言われた。『その人たちに教育を与えよう。』。
[解説]B.C.497年に魯から衛に亡命した孔子は、多くの人で賑わってる衛の都の様子を見ながら、経済生活の安定と教育体制の充実の重要性について御者の冉有に語ったのである。