[書き下し文]子張曰く、徳を執る(とる)こと弘(ひろ)からず、道を信ずること篤(あつ)からずんば、焉んぞ(いずくんぞ)能く有りと為さん、焉んぞ能く亡し(なし)と為さん。
[口語訳]子張が言った。『徳を守って大きくはなく、道を信じて誠実でなかったら、世に生きても影響がなく、死んでいても影響はないだろう』。
[解説]子張の断定口調の道徳観を示した章で、徳目を守ることの重要性、人道を誠実に踏み行うことの価値を主張している。人としての仁徳や人道を軽視して生きるのであれば、生きていても死んでいても大差ないと語る子張は孔子よりもやや中庸を欠いた激烈さ(気性の激しさ)を持っていた。