しかし、恐ろしい闇ではありません。焼け付くような厳しい陽射しも、ここまでは届かない。ひんやりと、居心地よく包んでくれる空間です。
大自然のふところに抱かれているような、そんな落ち着きを感じます。
人は、こんな闇に抱かれて、遠い遠い昔、母の胎内にいたころのような記憶を呼ぶのでしょうか。やがて、静かに満ちてくる安らぎの中で、疲れた心も癒え、ふたたび歩き出す英気を養うのです。
ただ、木下闇も、大きく生い茂るきがあってこそ。その大木は、何十年、何百年かけて育ったものです。
私たちを包んでくれる優しい闇を、私たちは、私たちの手で守らなければいけないですね。