原民喜(はらたみき)
詩人,小説家。広島生れ。富裕な家庭に生まれたが,幼児期に精神に傷をうけ,人間に深くおびえる無口で内向的な性格の持ち主に育った。慶応大学時代,英文学を専攻。評論家の山本健吉らと付き合い,文学の修業をするとともに左翼運動に加わったりした。左翼運動を断念してからデカダンな生活を送ったが,評論家佐々木基一の姉の貞恵と結婚後は身心ともに落ち着き,積極的な創作活動に入った。 1944年に妻を失い,45年8月6日広島で原爆に被災してからは,みずからを〈原子爆弾の一撃からこの地上に新しく墜落してきた人間〉と規定し,亡き妻をしのぶ《苦しく美しき夏》《死のなかの風景》など〈美しき死の岸に〉の連作,《夏の花》《廃墟から》(以上1947),《壊滅の序曲》(1949)の三部作から,《鎮魂歌》《心願の国》などにいたる作品を書いた。
代表作
『夏の花』
『鎮魂歌』
『原爆小景』