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最后的朋友 第八回

时间: 2014-01-09    进入日语论坛
核心提示:『最後の手紙』シェアハウスを出ようと決意した瑠可(上野樹里)は、美知留たちに内緒で不動産会社を訪れる。「都心に比べると、
(单词翻译:双击或拖选)
『最後の手紙』 
 
シェアハウスを出ようと決意した瑠可(上野樹里)は、 
美知留たちに内緒で不動産会社を訪れる。 
「都心に比べると、お家賃は大分お安いですよ。 
 それに、敷金礼金も頂きませんし。」と不動産会社の担当者。 
「ありがたいです。 
 半年ぐらいしか住めないと思うんで。」と瑠可。 
「どういうご事情で?」 
「半年経ったら海外に行くつもりなんです。」 
「へー。海外!すごいですね!」 
 
シェアハウス 
二人分のお弁当を作る美知留(長澤まさみ)。 
「おはよう!」エリ(水川あさみ)が起きてきた。 
「おはよう!」 
「何作ってんの?」 
「タケル君と、二人分のお弁当。 
 ヘアメイクの仕事教えてもらうからそのお礼に。」 
「タケル君か...」 
「エリーも食べる?から揚げ。」 
「ううん。大丈夫。ありがと!」 
笑顔でそう答えながらも、複雑な表情を浮かべるエリ。 
 
部屋に戻ったエリは、自分が酔った勢いでタケルに迫った時のことを 
思い出していた。 
「どうなってるんだろう...。」  
タケル(瑛太)のアシスタントとして働き始めた美知留だが、 
美知留がタケルに告白して以来、ふたりの間はどことなくぎこちなかった。 
「...タケル君。」 
「うん?」 
「この前の、ことだけど...」 
「...」 
「気にしないでね!私、なんか変なこと言っちゃったけど、 
 私はただ、タケル君が、辛かったり、寂しかったりしたときに、 
 側にいてあげたいって思っただけ。 
 何か特別なこと期待してるわけじゃないから。」 
「...ありがとう。」穏やかに微笑むタケル、そして美知留。 
 
シェアハウス 
タケルがホットプレートでお好み焼きをひっくり返すのを 
楽しそうに騒ぐ4人。 
「じゃあ当分タケル君のアシスタントやるんだ、美知留ちゃん。」 
と友彦(山崎樹範)。 
「うん。美知留ちゃんよく働いてくれるし、礼儀正しいから 
 事務所の社長にも気に入られちゃって。」とタケル。 
「えーでも、お給料安いんでしょ?大丈夫?」とエリ。 
「全然!勉強にもなるし。」と美知留。 
「良かったね美知留。 
 これからは、仕事で辛いことがあったり、嫌な事があったら、 
 タケルに相談するといいよ。先輩なんだから。」と瑠可。 
「うん!」 
「あ!先輩といえば林田さん!どうなのその後! 
 上手くいってんの!?」とエリ。 
「え?」 
「連れてきたっていいんだよ。 
 こうやってさ、お好み焼きとかやるときは、大勢の方が楽しいんだしさ。」と友彦。 
「誘ってみるけど、多分来ないんじゃないかな、あの人。 
 なんか、若い人たちと話合わないって言ってたから。」 
「若い人って、そんな年変わらないでしょ、俺と。」と友彦。 
「若い人って言ってるけど、若いけどオグリン入ってないからね!」とエリ。 
「え!?」とオグリン。 
「え!じゃないよ。」 
その時、インターホンが鳴る。 
「あ、誰か来た。」とエリ。 
「誰だ!誰だ!誰だー!」 
『ガッチャマン』の歌を歌いだす友彦に呆れながら、エリは玄関へ。 
 
玄関の戸を開けると、子どもが立っていた。 
「こんばんは。」 
宗佑(錦戸亮)が助けた直也(澁谷武尊)だ。 
「こんばんは。どうした?誰かに用事?」 
「美知留って人にこれ。」 
直也が手紙を差し出す。 
そこへ瑠可がやって来た。 
「何?」 
「あ、美知留ちゃんにだって。」 
エリが瑠可に手紙を渡す。 
封筒の裏には、Sの文字。 
「宗佑...あいつだよ!」 
「え!?」とエリ。 
「じゃあね!」直也が帰っていく。 
 
手紙を広げる瑠可。 
 
『美知留へ 
 僕は今、常陽総合病院に入院しています。 
 やっと手を動かせるようになって、この手紙を書いている。 
 会いたい。 
 一度会いに来てくれないか。 
 どうしても君に会いたいんだ。 
 待ってる。 
 宗佑』 
  
「常陽...総合病院?」とエリ。 
「罠に決まってる! 
 この手紙、美知留に渡すことないよ。」 
そう言いエリに手紙を渡す瑠可。 
 
常陽総合病院 
手紙を書き続ける宗佑。 
看護師が、客が来たと知らせにくる。 
やって来たのは...エリだった。 
「お見舞いのメロン、持ってきたよ。」 
「...」 
「美知留ちゃんが来ると思った?残念でした! 
 ついでに、これ返しておくね。」 
テーブルに手紙を置くエリ。 
「哀れだよねー。 
 美知留ちゃんのこと叩いたり殴ったりしてたくせに、 
 手足もがれたら何も出来ないんだものね。 
 力でしか女の子を引きとめておけないなんて、 
 情けないと思わないの?」 
「...」 
「じゃあね。メロン、あとで食べて。」 
「ちょっと待って。 
 頼みがあるんだ。」 
宗佑はそう言うと、怪我をした手を引き出しに伸ばしていく。 
見かねて手伝うエリ。 
引き出しの中には、美知留宛ての手紙の束が入っていた。 
「美知留に渡してくれないかな。」 
「...また手紙!?」 
「新しいメアドはわからないし、 
 シェアハウスに送っても、どうせ又、誰かに邪魔されるし。」 
「そりゃそうだよ。私だって渡さないし。」 
「渡してくれる?」 
「...」 
「君は優しいから。」 
「... 
 私は...あなたみたいな男だいっきらい! 
 独りよがりで、押し付けがましくて、 
 好きだ好きだってうるさいけど、自分が可愛がってほしいだけでしょう!? 
 甘ったれ!自己愛の塊じゃん!」 
「...なんとでも言えよ。 
 でも僕は...美知留を愛してる。 
 誰よりも...。」 
「...」 
「いつまでも...。」 
 
瑠可が通う病院 
「シェアハウスを出ようと思っています。」と瑠可。 
「そうですか。」 
「...誰も知らない場所で、新しく生活を始めたいんです。 
 落ち着いたらいずれ、海外に行こうと思っています。 
 出来れば...その時に手術を受けたいと思っています。」 
「何か、焦ってるんじゃないですか? 
 それにまだ、あなたを性同一性障害だと、 
 診断できているわけでもありません。 
 今の段階では、性別違和症候群と呼ばれる、症例にあたります。 
 どうしてそんなに急ぐんですか?」 
「...苦しいんです。 
 大声で、叫びだしたいくらい苦しいんです。 
 でも...今カミングアウトすることは、全てを壊すことになるから...。」 
「全てとは、限らないんじゃないんですか? 
 一番側にいる人に、ありのままの自分を認めてもらいたい。 
 人間なら、誰もが願うことです。 
 その切実な思いが、少しでも満たされれば、 
 あなたも、敢えて出ていきたいとは、思わなくなるんじゃないのかな。」 
「...」 
  
帰宅したエリは、宗佑から預かった手紙に目を通す。 
『美知留へ 
 美知留に合えなくなって何日経つんだろう。 
 電話も繋がらない今だ~こそ電話で美知留の 
 声が聞けた頃を思い出す。 
 一緒に暮らし始める前、会えない日は必ず電話で 
 話したよね。 
 1日、ミチルの声が聞けないと、気が狂いそうなくらい 
 寂しくなった。今はもう数え切れないくらい美知留の 
 声がきけてない。 
 わかるよね。今の僕の寂しさ。 
 寂しいよ、美知留。 
 寂しくて仕方がないんだ。 
 美知留、愛してるよ。何度でも言う。愛してる。』 
『美知留へ 
 僕は君を守るため、どんなことがあっても 
 死なないよ。 
 美知留は僕がいないと生きて 
 僕も君がいなければ生きてい』 
『何で君は会 
 会いたいよ。君に 
 君のいない生活』 
『一緒に暮らした日々、君の声も笑顔も。 
 君の事を思いながら、一日を暮らした。 
 美知留、会いに来てほしい。』 
どの手紙にも、美知留への愛の言葉がつづられていた。 
 
するとそこに、友彦がやってくる。 
「お邪魔していいかな。」 
「ダメ!」 
「お邪魔しまーす。」 
「ダメって言ってんのに!」 
「ね!今度、温泉行かない?いいとこみつけたんだけど。」 
「...」 
「何読んでんの?」 
「うん?ラブレター!」 
「え...どういうこと!?」 
「あのね、私モッテモテだから。 
 いろんな人に貰ったラブレターがあんの。何年にもわたって!」 
「本当に!?」 
「フフフ。」 
「ふふふ...嘘でしょ!?」 
「でもオグリン、私が外で誰と会いを語らってても、 
 オグリンは文句言えないんだよ。」 
「え?」 
「この間、奥さんと会ってたでしょう?空港で。 
 私見たよ。」 
「...見てたの...。 
 参ったな... 
 別に、会いたくて会ってたわけじゃなくて、 
 あの、夫婦っていろいろあるのよー。  
 あの、生活費の分担のこととか、町内の役員会とのこととか。 
 話し合っておあかなきゃいけないことがさー。」 
「...」 
  
病院 
宗佑のベッドの脇で電車のおもちゃで遊ぶ直也。 
「もう帰った方がいいよ。」と宗佑。  
「...」 
「お母さん帰ってきたんだろ?」 
「お兄ちゃんも寂しそうだから。」 
「...」 
「一人だと寂しいでしょう?」 
「...」 
宗佑は窓の外に視線をやり...。 
 
電車に轢かれそうになったばかりなのに、 
電車のおもちゃで遊ぶ直也君...。 
でも、母親に育児放棄されて寂しさを存分に知っている彼は、 
宗佑も寂しい人なのだと悟っているんですね。 
直也が宗佑を変えてくれるといいのですが...。 
 
本屋 
『そこが知りたいメイク術とプロの技』という本を手に取り、 
レジに向かう美知留。 
そこで、以前務めていた美容室の先輩・令奈(西原亜希)の姿に気づく。 
令奈は美知留に気づくと、慌てて見ていた本を棚に戻して立ち去る。 
美知留は令奈が見ていた本に気づく。 
『DVってなに?』『デートDV』『性暴力』 
 
令奈も美知留と同じ様に、DV被害者のようです。 
美知留は令奈を助けるのかな。 
 
友彦と温泉に行く計画を立てていたエリは、電話で旅館を 
予約しようとするが、どこも満室で取れなかった。 
「じゃあネットで調べたら?」と友彦。 
「ネットかぁ!でもパソコン瑠可の部屋にしかないんだよなー。」 
エリはそう呟くと、いたずらっ子のように笑い、瑠可の部屋へ。 
「お邪魔しまーす。パソコン使わせてもらいます!」 
パソコンを開くと、 
『性転換手術とは?』というページが開いてあった。 
「何これ...。」 
 
「どう?何かあった?」 
友彦がやってくると、エリは慌ててパソコンを閉じる。 
「あ...ごめん。 
 私このパソコン使い方よくわかんないや。」 
そう言いながら部屋を出て行く際、テーブルから本が一冊落ちる。 
  
タケルのバイト先 
「性同一性障害?」とタケル。 
「瑠可のパソコン開けたら、いきなり出てきたの。 
 アクセスして、閉じ忘れてたらしくて。」 
「だから?」 
「...瑠可がそうかもって感じたこと、全然、ない?」 
「... 
 俺はないよ、全然。」 
「そうか。」 
「エリこそ付き合い長いんだからわかるんじゃないの?」 
「...うーん。 
 考えてみたこともなかったからなー。 
 いやぁ、でも多分違うね!林田さんと付き合ってるし。」 
「...」 
「うん。それに、こんないい女が側にいるのに、 
 そんな目で見られたことないし。」 
「なるほどね!」 
「ところでさ、タケル。」 
「何?」 
「確かめておきたいんだけど...  
 タケルは、女を好きにならないんだよね?」 
「...」 
「美知留ちゃんのことはどう思ってるの?」 
「友達だよ。」 
「えーでも...」 
「美知留ちゃんも俺のこと友達以上には思ってないよ。」 
「そうかなー。そんな風には見えないけどなー。」 
「そうだよ。」 
「... 
 なんかね、タケルが、私との時はあんなだったのに、 
 美知留ちゃんはOKなんだったら... 
 私的にちょっと...ショックだなーと思ってさ。 
 女としては。」 
「...そんなことないよ。」 
「そんなことないって? 
 それ、どういう意味のそんなことない? 
 美知留ちゃんはタイプじゃないっていう意味? 
 それとも自分はゲイじゃないってこと? 
 それか、あん時はたまたま、体調が悪かったとか?」 
「うーん。」 
「うん?」 
タケルが笑い出す。つられてエリが笑う。 
「笑ってごまかすな!」 
メニューで叩こうとするエリを軽くかわすタケル。 
「来るのわかってるよ。」 
「え?何で?」 
二人は楽しそうに会話を続け...。 
 
瑠可がシェアハウスに帰宅する。 
自分の部屋に入った瑠可は、本が一冊床に落ちていることに気づき、 
パソコンを見つめ、そして部屋を出ていく。 
 
リビングには誰もいなかった。 
そこへ、風呂から上がった友彦がパンツ一丁でやって来た。 
「あー!ごめん!」慌ててタオルを巻きつける智彦。 
「おかえりー。おビールいただきまーす。」と友彦。 
「...ねえ。」 
「はい。」 
「私のパソコン...」 
「え?」 
「...何でもない!」 
「あ、パソコン!エリさんが、使った。ごめん。」 
「...で?」 
「なんか、使い方よくわかんないとかで、すぐ出てきた...けど。」 
「...」 
「ごめん。やっぱ、気に、なるよね。 
 人の部屋、勝手に入っちゃ、ダメだよね...。」 
そう言いながら二階に上がる智彦。 
瑠可はしばしその場に立ち尽くし...。 
 
マグカップで水を飲む瑠可。 
 
シェアハウスの前に自転車を置くタケル。 
タケルはポストに郵便物を取りにいき、エリは先に部屋に入る。 
 
「ただいまー。」 
「おかえり。」と瑠可。 
「あー、着替えちゃおっかな!」エリが部屋へいく。 
 
「ただいまー。」とタケル。 
「おかえり!」 
『東京都三鷹市井の頭6-13-5 
 岸本瑠可様 
 興明不動産』 
「瑠可...興明不動産って?」とタケル。 
「あ...サンキュ。」 
封筒を奪い部屋に向かう瑠可。 
「何なの?」 
「...引っ越そうかなーと思って。」 
「引っ越す!? 
 え...え、じゃあここを出ていくってこと?」 
「そうだよ。」 
「どうして...」 
「バイクの為だよ。そっちの方が、練習場に通いやすいし。」 
「だけど...」 
「私、もともと一人が好きなんだよ。 
 こういうとこで、人に気を使って暮らすのって... 
 向いてなかったんだ。」 
「...」 
「窮屈だし、...もう、懲り懲りなんだよ...」 
瑠可はそう言い部屋に戻る。 
タケルはその場に立ち尽くし...。 
 
撮影中、ぼーっとしてしまうタケル。 
 
昼休み、考え込んでいるタケルの横に美知留が座る。 
「お弁当。食べて。」 
「いつもありがとう。」 
「忙しいと、つい食べるの後回しになっちゃうでしょ? 
 でも、ちゃんと栄養とか取っておかないと、体に毒だから。」 
お弁当箱の蓋を開けたタケルは、しばし見つめ、そして蓋を閉じてしまう。 
「あとで食べるよ。 
 今日...もう帰っていいよ、美知留ちゃん。」 
「...」 
「残ってても、もう仕事ないと思うし。 
 先に帰ってていいよ。」 
「...私じゃ、役に立たない? 
 今日、タケル君ずっと変だよね。 
 何かあるなら言って欲しい。」 
「...瑠可が家を出ていくんだ。」 
「え!?」 
「福生で、一人暮らしするんだって。」 
「そんな...どうして!?」 
「わからないよ、俺にも...。」 
「...」 
  
シェアハウス 
「はい。4時ですか?わかりました。 
 荷物まとめておきます。お願いします。」 
瑠可が電話を切る。 
そこへ、エリがやって来た。 
「瑠可。あの、ちょっといい?」 
「うん。」 
  
庭 
バケツに宗佑の手紙を入れていく二人。 
「いいんだよねー、これで。」とエリ。 
「うん。 
 こんなもの、美知留に見せちゃいけない。」 
「そうだよねー。 
 でもなぁ...。 
 うーん。 
 私はさ、絶対の愛とか、信じないわけよ。 
 今までいろんな男と付き合ってきたじゃん。 
 一時はぱーっと燃え上がっても、 
 終わってしまうとなんだったんだあれって思うしさ。 
 だから私は、ずっと愛してなんて言わないし。 
 そんなこと相手に求めるのヤボだって思ってた。 
 でも...この手紙読んでいると... 
 なんかさ、絶対変わらない愛?みたいなのが、 
 この世のどこかに存在するかもって...思えてくるんだよね。 
 不思議なことにさ。」 
「バカだなーエリ。」 
「バカ?やっぱそう思う?」 
「自分が苦しいからって、好きだ好きだって気持ちを、 
 こんな風に...叫び散らすのって、愛だと思う?」 
「...」 
「時には、自分の気持ちを抑えて、相手の為に引けるのが、 
 愛だと思うけど。 
 ...さ、火つけよう。」 
瑠可とエリは手紙に火をつけ、全て燃やしてしまう。 
 
病院 
荷物をまとめ、松葉杖を手に退院しようとする宗佑。 
そこへ看護師がやって来た。 
「何してるんですか。まだ退院は出来ませんよ。」 
「...」 
  
シェアハウス 
美知留がかけ戻ってきた。 
「おかえり!」笑顔で迎える瑠可とエリ。 
「瑠可!ここを出ていくって、本当なの!?」と美知留。 
「え!?何それ。本当に!?」とエリ。 
「...うん。もう、契約してきた。 
 あさって引っ越す。」  
「すごい急じゃん!どうして!?」とエリ。 
「いろいろあるんだよ。」 
「みんなで仲良くやってきたのに...どうしてなの?」と美知留。 
「そういうのに飽きた。 
 ...人と合わせるのが...面倒になったんだ。」 
「私...瑠可がいないとやっていけない... 
 心細いよ!」 
「タケルがいるじゃん。 
 エリもいるし、大丈夫だよ。」 
「大丈夫じゃないよ!」 
「大丈夫になってもらわないと困るんだよ。 
 あんたの面倒一生見切れないから...。」 
そう言い部屋に戻る瑠可。 
美知留は悲しそうに立ち尽くし...。 
 
「あんたの面倒一生見切れない」 
見たいけれど、見ることが出来ないという瑠可の悲しい思いが 
込められたセリフでした。 
  
眠れない夜を過ごす美知留。 
台所に行くと、タケルが洗い物をしながら考え込んでいる。 
静かに部屋に戻ろうとした美知留だったが、物音にタケルが振り返る。 
「美知留ちゃん?」 
「あ...眠れなくて。」 
「ハーブティー入れようか。」 
「うん。ありがとう。」 
テーブルの上には美知留が渡したお弁当。 
「食べられなかった?」 
「あ...ごめん。食欲がなくて...。」 
「...瑠可のことが気になって?」 
「...」 
「タケル君って、もしかして瑠可のことを...」 
「...」 
「なんだ。そうなんだ、やっぱり。 
 だったら私、あんなこと言わなきゃ良かったな。」 
「あんなこと?」 
「好きになってもいい...なんて。 
 困ったでしょ。ごめんね。」 
「...困りはしないよ。」 
「...」 
「美知留ちゃんが、優しい気持ちで言ってくれたのは、 
 わかってるから。 
 それに瑠可の気持ちは...俺にはないし。」 
「...」 
「...何で瑠可は行っちゃうんだろうね。 
 どうして一人になろうとするんだろう...。」 
「...」 
  
翌日 
部屋の荷物をまとめる瑠可。 
「本当に行っちゃうんだ...。」と友彦。 
「出発明日でしょう?明後日から瑠可の顔見れなくなるんだー。 
 なんか実感湧かないなー。」とエリ。 
「大げさに言うなよ。 
 会えなくなるわけじゃないんだし。」 
「えー、でも福生って電車で1時間位かかるんでしょう? 
 遠いよー。」 
「今夜は、送別会だな!うん!よし! 
 なるべく早く帰るよ。」と友彦。 
「私も!タケルと美知留ちゃんも帰れるよね。」 
「うん。」と美知留。 
タケルは無言でその場を去る。 
「...ほら。二人ともさ、仕事でしょ?」と瑠可。 
「えーっ。あ!こんな時間だ!」 
 
部屋に一人になった瑠可はドアを閉め、一つため息をつく。 
 
撮影スタジオ 
仕事を終えた美知留とタケル。 
「お疲れ様でした!」 
「お疲れ様。」 
「家で、送別会の準備するね。 
 瑠可の荷作りも手伝ってあげたいし。 
 タケル君も一緒に帰る?」 
「あ...ごめん。今日は、用事が入ってるから、別で帰るわ。」 
「うん。じゃあ、お先に。」 
「お疲れ様。」 
 
タケルは、モトクロス練習場にいる林田を訪ねていく。 
「おぉ!」と林田。 
「林田さん。 
 瑠可が、福生に越すことで、何か相談を受けましたか?」 
「...いや、初めて聞いた。」 
「何も言ってないんですか?」 
「おぉ...。」 
「...最近、スランプで悩んでるって。」 
「それはない。いいタイム出してるよ。」 
「...そうですか。」 
「...悩んでるとしたらあれだな。」 
「あれって?」 
「聞いてないのか? 
 変なビラが撒かれたんだよ。 
 あいつのことを中傷して、何だかんだ書いて...。」 
「何だかんだって?」 
「...俺もあいつが何を考えてんのか、今ひとつわかんねーんだよな。 
 何でも一人で抱え込むタイプだろ? 
 レース前なんか自分にプレッシャーかけすぎるから、 
 見てて痛々しくなるんだよな。 
 他のレディースの連中みたいに、男と適当に遊んでてくれれば、 
 かえって安心なんだけど。 
 あいつの場合そういうこともないしさ。」 
「...でも...林田さんが、付き合ってるんじゃ...」 
「え!?あ...そうだったな。」 
「...」 
 
帰り際、タケルはゴミ箱の脇に落ちている紙に気が付く。 
『瑠可』の文字が見え、広げてみると... 
瑠可を中傷するビラだった。 
タケルはそれを握りしめ...。 
 
シェアハウス 
荷物をまとめていた瑠可は、引き出しの写真を見ていく。 
フレームに飾った美知留との2ショット写真。 
ポケットアルバムには、シェアハウスの仲間たちとの写真。 
  
キッチン 
水色のマグカップを取りに来た瑠可は、 
ふと、青いマグカップを見つめ...。 
 
タケルのことを、どんな風に考えていたのでしょう。 
この時彼にだけ手紙を残そうと思ったのかもしれません。 
  
業者が荷物を軽トラックに乗せて行く。 
そこへ、美知留が戻ってきた。 
「今日、荷物運んじゃうの?」 
「うん。 
 私も今日、出ていくよ。」 
「え... 
 どうして...だって送別会、」 
「送別会なんて、うざったくて嫌なんだよ。」 
「それでわざと...明日って言ったの?」 
「本当は、誰にも気づかれないで出ていきたかったんだけどね。」 
「...」 
 
公園を歩く二人。 
「この公園で、雨に濡れている私を瑠可が見つけてくれたんだよね。  
 あの日、瑠可に会えてなかったら、私は今ごろダメになってた。 
 宗佑のところを出る決心が付かなくて。 
 瑠可の言った通り、私も一人でやっていけるようになろうと思う。」 
「二度と、あいつのところに戻っちゃダメだよ。」 
「うん。」 
「美知留には、もっと相応しい男がいるよ。 
 タケルだっているし。」 
「うん。 
 ...あ、コーヒー屋さんが出てる。飲んでいかない?」 
「うん。」 
  
シェアハウスに戻ったタケルは、瑠可のマグカップが無くなって 
いることに気づき、慌てて瑠可の部屋に行ってみる。 
瑠可の荷物が全部無くなっていた。 
「嘘だろ...。」 
テーブルの上に、鍵と、一通の手紙があった。 
『タケル』へと書いてある。 
  
『タケルへ 
 突然のことでごめん。私は今日シェアハウスを出るよ。 
 きっとタケルが手紙を読むころには、私は家を出てる。 
 私は、福生で半年ほど過ごしたら、 
 海外に行こうと思ってます。 
 向こうである手術を受けたいと思ってる。 
 タケルにだけは、本当のことを伝えておきます。 
 私はね、本当の私は、』 
 
手紙を読んだタケルが走り出す。 
 
『タケル、ありがとう。 
 好きだって言ってもらえて嬉しかったよ。 
 あの時、打ち明けておけば良かったんだけど、 
 勇気がなくて、言えなかったんだ。 
 好きだなんて言われて、びっくりした。 
 でも、その分欲が出た。 
 タケルに幻滅されたくなかったんだ。 
 面と向かって言うのは、やっぱり怖い。 
 だから手紙に書くことにした。 
 私は今まで、人に自分を偽って接してきた。 
 でも、タケルは... 
 タケルは、私を好きだって言ってくれた、初めての人だから。 
 私に心を開いてくれた人だから。 
 だから、あなたに嘘はつけない。 
 タケル。私はね、 
 本当の私は...』 
 
公園 
「じゃあ...私そろそろ行くね。」瑠可が美知留に言う。 
美知留は寂しそうな笑顔を浮かべると、一緒に駅まで行こうとする。 
「あ、いいよいいよ。 
 ただの引越しなのに、駅で見送られんの、 
 なんか、感じ出すぎちゃうからさ。」 
「うん。」 
「じゃあね、美知留。」 
「...うん。 
 頑張ってね。」 
美知留が握手を求め、二人は握手をかわす。 
瑠可の手を両手で包み込む美知留。 
瑠可はゆっくりと美知留の手を離し...。 
そして笑顔で美知留の前から立ち去る。 
泣くのを必死にこらえる美知留。 
  
「瑠可!!」タケルが駆けつける。 
  
ミチルが二人を見つめる。 
 
「行くな!瑠可! 
 手紙は読んだ! 
 気持ちはわかった! 
 何で俺に答えられないって言ったかも。 
 ...でも、それでも俺は! 
 俺は、俺は瑠可が好きだ!!」 
「...」 
「人間としてか、女としてか、 
 どっちかなんて聞くなよ!」 
瑠可が泣き出す。 
「俺にだって、よくわかんないんだから。」 
「...」 
「でも俺は! 
 瑠可を支えたい! 
 瑠可がどんな風に変わっていくとしても、 
 それをそばで見続けたいんだよ!!」 
「...」 
「瑠可を見失いたくないんだよ!!」 
タケルはそう言い、瑠可に歩み寄り、 
そして瑠可を抱きしめる。 
瑠可もタケルを抱きしめ、そして子どものように泣き続ける。 
 
「私はその時、一つの愛が生まれるのを見たんだと思ってた。 
 瑠可。私はあなたのことを知らなかった。 
 こんなにも...大切なあなたのことを...。」 
  
宗佑の病室 
回診にやってきた看護師は、宗佑が勝手に退院してしまったことに 
気づき慌てて病室を飛び出していく。 
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