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最后的朋友 第十一回

时间: 2014-01-09    进入日语论坛
核心提示:『未来へ』自ら命を絶った宗佑(錦戸亮)を見つめながら泣き続ける美知留(長澤まさみ)。ふと、宗佑のカバンのポケットに差し込
(单词翻译:双击或拖选)
『未来へ』 
 
自ら命を絶った宗佑(錦戸亮)を見つめながら泣き続ける美知留(長澤まさみ)。 
ふと、宗佑のカバンのポケットに差し込まれた白い封筒を見つける。 
『美知留へ』と書いてある封筒を開ける美知留。 
 
『美知留へ 
 さよなら 美知留。 
 君を自由にしてあげるよ。 
 生きてる限り、僕は君を縛ってしまう。  
 だから、君に自由を上げるには、この心臓を止めるしかない。 
 僕は、君のすべてになりたかった。 
 君の見る、世界の全てに、君を照らす、光のすべて、 
 君の感じる喜びの全すべてありたかったんだ。 
 どこまでも、いつまでも、僕は、君と一つでいたかった。 
 でも君は、僕のいない世界に、幸せを見つけてしまったんだね。 
 だから僕は行くよ。 
 せめてまだ、君のぬくもりが、この手に残っているうちに。 
 君と一つになれたことを、この体が、覚えているうちに。 
 ごめんね。君の笑顔が大好きだった。 
 笑わせてあげられなくて。 
 ごめんね。愛し方がわからなくて。 
 ごめんね。僕が、君を幸せに出来なくて。 
 さようなら、美知留。幸せにね。』 
  
手紙を読んだ美知留は、両手で宗佑の顔に触れ、泣きすがり... 
そしてバッグ一つを手に、宗佑の部屋を出ていった。 
救急車のサイレンの音。 
美知留は通報し、立ち去ったのですね。 
  
ここでオープニング。 
真っ白い床に白い衣装で眠る5人。 
宗佑の黒いネクタイが悲しいです。 
  
同じころ、モトクロス全日本選手権の関東大会では、 
瑠可(上野樹里)が優勝を決め、 
瑠可の父・修治(平田満)、母・陽子(朝加真由美)、弟・省吾(長島弘宜)、 
タケルと(瑛太)エリ(水川あさみ)は、観客席で大はしゃぎ! 
  
記者会見 
週刊誌で瑠可のことが取り沙汰されたこともあって、会場には 
大勢の取材陣が詰めかけていた。 
「これより、全日本モトクロス選手権関東大会、 
 優勝記者会見を始めさせていただきます。 
 優勝いたしました、27番、岸本瑠可選手です。」 
 
廊下で待つ瑠可の肩に手を置く林田監督(田中哲司)。 
瑠可は頷き、記者会見場へ。 
  
瑠可の姿に笑顔で拍手を送るタケル、エリ、瑠可の家族。 
  
「それでは、質問のある方は、手を挙げて下さい。 
 イズム編集部さん。」 
「はい。 
 岸本選手、本日は優勝、おめでとうございます。」 
「ありがとうございます。」 
「一つだけ! 
 最近週刊誌などで色々取り沙汰されて、精神的にも厳しい面が 
 あったと思うんですが。 
 その点、どうですか?」 
  
瑠可を心配そうに見つめるタケルたち。 
  
「真偽の程を知りたいと思っているみなさんも多いと思うんですが。」と記者。 
  
瑠可は家族に視線を送る。 
すると父、母が笑顔で力強く頷いてくれた。 
弟の省吾も笑顔を浮かべて見つめてくれている。 
  
三人の笑顔に勇気を貰った瑠可は... 
「モトクロスは、実力さえあれば、女子であっても、男子と同じ条件で、 
 同じフィールドに立って戦える、数少ないスポーツです。 
 私は、選手として、このレースに参加し、 
 優勝できたことに誇りを持っています。 
 陰で人になんと言われようと、詮索されようと、 
 この思いは揺るぎません。 
 今日まで私は、家族に支えられ、友人に支えられてきました。 
 女だからでも、男だからでもなく... 
 一人の人間として、私を愛し、応援してくれました。 
 そのことを今日、最高に嬉しく、誇らしく思っています。 
 ...他に申し上げるべきことは、何もありません。」 
瑠可は堂々とした態度でそう答えた。 
  
記者会見後、祝賀パーティーが開かれる。 
瑠可が彼女の外に出てみると、タケルとエリが待っていた。 
「エリ...。」 
エリがタケルを見つめると、タケルは笑顔で頷く。 
そしてエリは瑠可に歩み寄る。 
「...おめでとう!かっこよかったよ、記者会見。 
 ...もっと早く...言ってくれればよかったのに。 
 私は驚かないよ。 
 驚かないし、びくともしない。 
 だってさ、瑠可は瑠可じゃん。」 
「エリ...」 
「ごめんね...私無神経で、気がつかなくってさ。 
 瑠可に変な気使わせちゃったね。 
 辛かったよね...今まで...。」 
その言葉に感情が溢れ、泣き出す瑠可。 
瑠可を抱きしめ腕を擦るエリ。 
「ごめんね...」瑠可が泣き続ける。 
タケルはそんな二人を優しく見つめ...。 
  
シェアハウス 
 
マグカップを手に考え込む瑠可。 
そこへタケルがやって来た。 
「...美知留ちゃんどうしてるのかな。」 
「...」 
「連絡してみようか。」 
「いいよ。 
 美知留は...私のことを受け入れられなかったんだ。 
 だからレースに来なかった。 
 このまま二度と会えないとしても、それはそれでしょうがない。」 
  
その時、家の電話が鳴る。 
「はいもしもし。」タケルが電話に出る。 
「藍田ですけど。美知留に代わってもらっていい?」 
美知留の母・千夏(倍賞美津子)からだった。 
「え?え、そちらにいるんじゃないんですか?」 
「え?もしかして何も聞いてないの?」 
「何もって?」 
  
リビングでタケルの話を聞く瑠可、エリ、友彦(山崎樹範)。 
「死んでたって...あいつが!?」と友彦。 
「うん。...自殺だって。」とタケル。 
言葉を失う三人。 
「...私、あの時酷いことを、」とエリ。 
「エリさんは関係ないよ! 
 ...それに、自分が悪いことに気づいたからって... 
 自殺じゃ何の解決も出来ないのに。」と友彦。 
「美知留は?」と瑠可。 
「参考人として、調べられたらしい。」とタケル。 
「美知留ちゃん大丈夫かな...。」とエリ。 
「...今は...一人でいたいんじゃないのかな。 
 そっとしておいてあげようよ。」と友彦。 
「...」 
  
ほどなく、瑠可のもとに、美知留からのハガキが届く。 
そこには、 
『シェアハウスの皆様へ 
 レースに行けなくてごめんなさい。 
 私は一人でやっていきます。 
 心配しないで下さい。 
 美知留』 
とだけ書かれていた。 
  
美知留の声でハガキは読まれますが、 
そこでは『レースに』ではなく『レースへ』でした。 
消印チェック! 
『銀座 20.6.19 8-12』 
これじゃ居場所が突き止められませんね。 
  
ある日、エリが帰宅すると、友彦が引越しの準備をしていた。 
「あれ?何やってんの?」 
「あ...エリさん...。」 
「...え?もしかして...」 
「あ...聞いてなかった? 
 内示が、下ったんだ。」 
「え?」 
「来月、ミラノに、転勤だって。」 
「ミラノ!?でもだからって、今...」 
「その前に、家帰っていろいろ...整理しなきゃいけないこととか、 
 あるから...。」 
「...奥さん、どうするの?」 
「...」 
「着いていくんだ。」 
「...」 
「...そっか!良かったじゃん! 
 何だかんだ言っても夫婦なんだね。」 
エリは無理に笑顔でそう言い、部屋に向かう。 
「エリさん!!...ごめんね。」 
「ごめんねなんて言わないで!」 
感情的に思いを吐き出したエリは、笑顔を作って振り返る。 
「そのごめんねって言葉は失礼だよ。」エリは笑顔で智彦に言う。 
「...」 
「はい。」手を差し伸べるエリ。 
「...」 
「言ってよ。ありがとって。」 
ためらいながらもエリと握手する智彦。 
「...ありがとう...。」 
その言葉印エリは笑顔で頷くと、友彦に背を向け、 
悲しい表情を浮かべながら部屋に戻る。 
その場に立ち尽くす友彦。 
テーブルの上には、緑色のマグカップ。 
  
食卓を囲むエリ、瑠可、タケル。 
オレンジのマグカップを見つめるエリ。 
「あれ?オグリンいないね。」とタケル。 
「うん。どこ行ったんだろうね。」と瑠可。 
「...出てったよ、オグリンなら。」エリが笑顔で答える。 
「何で!?」と瑠可。 
「ミラノに転勤だって。 
 奥さんも一緒に。」 
「...」 
「いいのか?エリ。」と瑠可。 
「...うん。」 
「しょうがないやつだな、あいつ...。」と瑠可。 
「そんなことないよ。 
 いい男だったよ、私にとっては...うん。」とエリ。 
 
エリはこういう時に甘えられない人なんですね。 
行かないで、って本当は言いたいのに、言えなくて、 
無理に微笑んで見送ってしまう...。 
  
そのころ美知留は、かつて千夏と暮らしていた港町にいた。 
防波堤から飛び下りようとしたその時、 
「美知留ちゃーーん!」 
誰かの声に振り返る。 
「美知留ちゃんじゃないの!?」 
大きく手を振り笑顔で呼びかける女性がいた。 
  
旅館・文治 
「はい、どうぞ。」 
シズエ(大森暁美)が不恰好なおにぎりを差し出す。 
「すみません、いただきます。」 
「ごめんね。不恰好なおにぎりだけど。」 
「...美味しい。」 
「何年ぶりかねー。 
 東京に帰ったとは聞いてたけど。」 
「はい。母は今も東京です。」 
「千夏ちゃん、元気にしてる?」 
「...」 
「知ってるの?あんたがここにいるってこと。」 
「...」 
「何があったか知らないけど、ダメよ!変なこと考えちゃ。」 
「...」 
 
「さあ、入って入って。 
 ここね、空き部屋だから、使って。」 
「ありがとうございます。」 
「旅館でもね、丁度人探してたから、 
 手伝ってもらえると助かる。 
 何かあったら、いつでも呼んでちょうだい。」 
「ありがとうございます。」 
  
美知留はそこで旅館の手伝いをすることになった。 
  
厨房 
美知留はご飯の炊けた匂いに吐き気を催し...。 
 
病院 
「おめでとうございます。 
 妊娠5週目です。」 
「え...」女医の言葉に戸惑う美知留。 
「これが、エコーの結果です。 
 ただ...血圧が異常に高い。 
 高血圧合併妊娠かもしれないなー...。」 
「あの...それって...」 
「難しい出産になるかもしれないねー。 
 藍田さんの体にも、お子さんにも、リスクが...。」 
美知留はエコー写真を見つめ...。 
  
眠れない夜を過ごしながら、美知留は宗佑との出会いを思い出していた。 
  
(回想) 
市役所 
「藍田さん、藍田美知留さーん。」宗佑が呼ぶ。 
「あ、はい。」 
「ここに、記入漏れがあるんで、書いて下さい。」 
「はい。」 
  
市役所を出た美知留を宗佑が追いかける。 
「藍田さん!これ、忘れ物。」 
携帯を差し出す宗佑。 
「あ!ありがとうございます。すみません。」 
  
美知留は布団から起き上がると、自分のお腹に手をあて...。 
  
(回想) 
レストラン 
「宗佑のお母さんは、どんな人だったの?」 
「優しかったよ。恋人が、出来るまでは。」 
「恋人?」 
「僕が10歳の時、勤めてたスーパーのお客さんと、 
 そういう仲になって、 
 うちを出ていった。 
 それっきり、会ってない。」 
「...ごめんね、なんか変なこと聞いちゃって...。」 
「いいよ。 
 だから、僕は早く結婚して、美知留と、子どものいる、 
 幸せな家庭、作りたいんだよ。」 
  
美知留は宗佑のその言葉を考え...。 
  
それから数日後、千夏が美知留のもとにやってくる。 
「お母さん...」 
「シズエさんから電話を貰ったの。」 
「そう...。」 
「おなかに子どもがいるんだって?あの人の子? 
 あの亡くなった人の。」 
「...」後ろを向いて頷く美知留。 
「やめときな。」 
「...一人で産んで、一人で育てるから。」 
「あのね、子どもっていうのは厄介なもんなのよ。 
 産んでポイって捨てるわけにもいかないし、  
 泣くは喚くはお金もかかるし、 
 生きていく上において、足手まといになるんだから!」 
「...お母さん、」 
タバコを吸い始める千夏。 
「私のことも、そう思ってたの?」 
「美知留...」 
「私、いつも感じてたんだ。 
 お母さん私のこと、そういう風に思ってるんじゃないかって。 
 だから早く大人になりたかった! 
 お母さんの迷惑にならないように、早く家を出たかった!」 
「何言ってんの?」 
「私はお母さんみたいにはならないよ! 
 この子のことは、ありったけの愛情かけて、 
 大事に育てるから!!」 
「...」 
吐き気を催し、部屋の外の流しへと急ぐ美知留。 
 
「おなかにいるだけでそんなに大変なのに、 
 なんでそんなに産みたいの?」 
美知留の背中を優しく擦る千夏。 
「二人なら...頑張れるから...。 
 赤ちゃんと二人なら...。」 
「そういえば...お母さんも同じこと思った。 
 お父さんいなくなってからね、 
 あんたと二人なら、頑張れる...って。」 
「...」 
「まいっか。勝手にしなさい。」 
千夏は美知留をそう励まし...。 
  
銚子市立総合病院 
検診を終え、晴れやかな表情で病院を出ていく美知留。 
 
それから数ヵ月後。 
仲居の仕事を続けながらお腹の子どもと共に逞しく生きる美知留。 
そしてある日、美知留は瑠可に向けて手紙を書く。 
  
「瑠可、元気ですか? 
 私は一人で、なんとかやっています。 
 ずっと一人だったから、寂しくはありません。 
 (あなたの目の前から私が姿を消すのは、 
  これで二度目ですね。 
  一度は、高校のとき、母に連れられて。  
  そして、二度目は今度。) 
 もう会えないんだね。瑠可。 
 でもしょうがない。 
 あなたを裏切った、それが報いだと思うから。 
 あの頃、私は、あなたのことを何も知らなかった。 
 あなたの夢。 
 あなたの悩み。 
 あなたが心の中に秘めていた、思い。 
 (空が青いよ。 
  瑠可... 
  そっちの空はどう? 
  人が人を知るって、本当に難しい。 
  今も思うの。 
  もしも私に、人の心を知る能力があったら、 
  せめてそのことにもっと一生懸命だったら、 
  あの恐ろしい出来事を、 
  あの死を、防ぐことが出来たんだろうかって。) 
 でもね、瑠可。 
 あなた達は確かに私の側にいた。 
 例えもう二度と会えないとしても、 
 私は、今もあなた達に支えられてる。」 
  
カッコ内は第一話モノローグにあったもの。 
今回一部省略されていました。 
  
空港 
ミラノの文字を見つめてため息をつくエリ。 
そんなエリの前に、花束を持った友彦が現れた。 
「オグリン...。」 
「小倉友彦!一世一代の決断をしてまいりました! 
 あなたが...忘れられませんでした!!」 
大きな声でそう告白する智彦に、エリは嬉しそうに微笑み... 
  
二人の結婚式が教会で行われる。 
  
披露宴 
「おめでとう!綺麗だよエリ。」と瑠可。 
「ありがとう!」 
「でもびっくりしたよなー。いきなり結婚するなんて! 
 やりますねオグリン!」とタケル。 
「やる時は、やるんですこれが!」と友彦。 
「あーそうですか。」とタケル。 
「えー?」 
  
エリと話す瑠可。 
「永遠の愛なんて信じないみたいなことを、エリ言ってたよね。 
 オグリンで良かったの?」 
「うんー、まあね。 
 でも、しょうもないヤツでもさ、私の方がずーっと愛してあげれば 
 いっかなーって思って。」 
「そっか。」 
「何?何の話?」友彦が聞く。 
「なーんでもない!」とエリ。 
「いやでもいい指輪ですね。」とタケル。 
「ああ、これ?」 
  
披露宴の帰り。井の頭公園を歩く瑠可とタケル。 
「これでシェアハウスも二人っきりかー。」と瑠可。 
「...そんな、つまんなさそうに言うなよー。」とタケル。 
「ていうか寂しいじゃん。」 
「...メンバー募集する?」 
「...そうだな。 
 でもエリーみたいにサバサバした、男前の女子ってなかなかいないしなー。」 
「オグリンみたいに気持ちのいい男子もねー。」 
  
公園のステージを見つめる瑠可。 
「ここで美知留と会ったんだよなー。 
 雨の夜に...傘も差さずに...びしょぬれで座ってた...。」 
  
シェアハウス 
コーヒーを飲みながら考え込む瑠可。 
そんな瑠可を見つめるタケル。 
瑠可がタケルの視線に気付く。 
「...私寝るね。」 
「ああ、洗っとくよ。」 
「ありがとう。おやすみ。」 
「おやすみ。」 
タケルは瑠可が去ったあと、あることを考え...。 
  
翌朝 
瑠可がゴミを出しに行くと、タケルがバイクに乗って戻ってきた。 
「おはよう!」 
「何だよ朝っぱらから。」 
「このバイク、林田さんから借りた。 
 高いから傷つけるなって。」 
「...」 
「乗って。瑠可、中免持ってないんだろ? 
 これで、美知留ちゃん迎えに行こう!」 
「...」 
「瑠可と暮らしてるのは最高に楽しい。 
 けど、瑠可の心にあいた穴を見てるのは辛い。」 
「...」 
「一緒にさ、それを埋めに行こう!」 
瑠可はタケルの笑顔に頷き...。 
  
ふたりは、まず千夏の住むアパートに向かうが千夏は留守だった。 
管理人が、千夏は一緒に暮らしていた男の実家、九州へ 
引っ越したと教えてくれた。 
  
「どこか、心当たりある?美知留ちゃんが行きそうなところ。」とタケル。 
「ない。 
 ないけど...銚子かな。」 
「銚子?」 
「昔、お母さんと住んでたことがあるんだよ。 
 高校卒業してすぐ。」 
「よし、行ってみよう!」 
  
銚子に到着した瑠可たちは、美知留に関する情報を追い求める。 
タクシーの運転手、漁港、外川駅、 
いろいろと聞いてみるが、有力な手がかりを得ることは出来なかった。 
  
犬若食堂 
「なかなか見付からないもんだねー。」とタケル。 
「そう簡単にいくかよ。 
 手がかり薄いし。 
 ...美知留が幸せならいいんだ、私は。 
 新しい彼氏でも出来て、私やタケルのことなんか忘れて、 
 どっかで楽しくやってればさ。」 
「...でも違うかもしれないよ。 
 どっかで、一人で寂しいのを我慢して、 
 俺達が来るのを、待ってるのかもしれない。」 
「...」 
  
夜 
海岸にテントを張ったタケルは、真っ暗な海を見つめる瑠可の隣りに座る。 
「なんか、案外いいな、こういうのも。」と瑠可。 
「何?」 
「タケルと、二人で旅して、美味しいもの食べて、 
 一緒に泊まって。 
 ...夫婦って、案外こういうものなのかもね。」 
「え?」 
「長年連れ添った夫婦って、男でも女でもなくなって、 
 結局、友達になるっていうじゃん。」 
「うん。」 
「何でも打ち明けられる親友にさ。」 
「... 
 瑠可。」 
「うん?」 
「姉がいるって話、瑠可にしたっけ。」 
「...」 
「いるんだ。10歳年の離れた姉が。 
 血は繋がってないんだけどね。 
 親が、再婚同士で。 
 父親が、俺の父親だけど、ものすごく、怒りっぽくて。 
 姉も、いろいろストレスが溜まってたんだと思う。 
 母親が、大人しい人で、父に何を言われても盾突かなくて、 
 姉のことを押さえつけてた。 
 だから姉は...俺を味方にしようとしたんだ。 
 絶対に裏切らない、小さな味方。 
 つまり...姉は俺をさ、」 
「言わなくていいよ。」 
「姉を裏切れないって最初は思った。 
 それから...父親と母親を、悲しませたくないって。 
 悪いのは、全部自分だと思い込んで、 
 誰にも言えずに...。 
 だから...女の人のからだが怖くなるんだ、そういう場になると。」 
「...」 
「俺最低だよなー。 
 一生まともな恋愛なんて出来ない。 
 女の人を幸せにすることも。」 
「...出来るよ、タケルは。 
 タケルは、女を幸せに出来る男だよ。 
 それは私が一番よく知っている。」 
「...」涙をこらえるタケル。 
瑠可はタケルに寄り添い、タケルの肩に優しく手を置く。 
  
テントの中 
お互い向き合う形でぐっすりと眠るタケルと瑠可。 
瑠可の手は、タケルを優しく抱きしめている。 
  
目を覚ました瑠可は、タケルの寝顔を微笑を浮かべて見つめる。 
タケルが目を覚ます。 
「おはよう。」笑顔を浮かべるタケル。 
「おはよう。」 
  
テントから出た二人は海に向かって思い切り伸びをし...。  
 
早速美知留を探すタケルと美知留。 
ある店で美知留の写真を見せると、 
「確か、文治旅館で働いていたんじゃないかな。」 
と有力な情報を手に入れる。 
  
文治旅館へと急ぐ二人。 
  
漁港を走り出すトラック。 
  
ここから、バイクが走るシーン、美知留が旅館で働くシーン、 
そしてトラックが走るシーンが続きます。 
トラックとバイクが事故を起こすぞ、という前触れ。 
瑠可とタケルが!! 
 
ふたりの乗ったバイクが見通しの悪いカーブを曲がろうとしたところ、 
前方からトラックがやって来て... 
  
洗い物をしていた美知留は食器を落とし... 
  
バイクから放り出された瑠可とタケル。 
「大丈夫か!?」トラックの運転手が声をかける。 
タケルは起き上がるが、瑠可は倒れたまま。 
彼女の額から血が流れている。 
「瑠可!! 
 瑠可!?大丈夫か!? 
 瑠可!! 
 救急車をお願いします!救急車!!」 
  
銚子市立総合病院 
待合室で不安そうに待つタケル。 
診察室からおでこに絆創膏をつけた瑠可が元気に出てきた。 
「大丈夫!?」 
「うん、ただの擦り傷。」 
「ああ...。」 
「心配し過ぎだよ。」 
「だって...」 
「行こ行こ!」 
「ほんと大丈夫なの!?」 
「うん、大丈夫。」 
「足は何て言われた?」 
「足、全然平気って言われた。」 
「全然平気なの!?」 
  
二人と入れ違いに、身重の美知留が会計に向かう。 
 
バイクにまたがるタケル。 
エンジンをかけてみるが、かからない。 
「あれ?」 
「何だろう。 
 さっきの店頭でどっか故障したのかな。」 
瑠可が修理を始める。 
  
病院を出てきた美知留が、バスに乗り込もうとする。 
「美知留ちゃん!?」タケルが気づく。 
「え!?」 
美知留の姿を確認する瑠可。 
「美知留!」 
その声に、美知留はゆっくりと振り向き...。 
  
この時の「美知留!」という瑠可の声が、 
吉祥寺駅での二人の再会の時を思い出させます。 
  
瑠可とタケルは、美知留が暮らす寮を訪れた。 
美知留は自分のマグカップと、二人には湯のみ茶碗にお茶を注ぐ。 
「大丈夫?」とタケル。 
「うん。」 
「ありがとう。」と瑠可。 
「旅館の厨房で、お客さんにご飯を出す手伝いをしているの。 
 そこの仲居さんのシズエさんって人が、 
 お母さんの古くからの知り合いで、 
 すごく良くしてくれて。」 
「そう。」とタケル。 
「子どもが出来てからも、ずっと働いて構わないって言われてるの。 
 そんなこと、なかなか言ってもらえないよね。 
 私、ここで少し、頑張ってみようと思って。」 
「...美知留。 
 東京帰ろう。 
 帰って、また一緒に暮らそう。」と瑠可。 
「...帰れないよ。 
 だって... 
 この子は宗佑の子なんだよ。 
 宗佑は...私を思って...私のせいで死んだんだよ。 
 幸せになんかなれないじゃない...。 
 瑠可や、タケル君のところに帰って、 
 慰めてもらうのは違うと思った。 
 だけど...一人ぼっちで...すごく寂しくて。 
 その時、お腹に赤ちゃんがいるってわかったの。 
 ああもう一人じゃないんだって思ったら、 
 涙が出るほど嬉しかった。 
 宗佑に...許された気がした。 
 これから先も、生きてていいんだって。」 
お腹に手を当てて語る美知留。 
瑠可がその手を握り締める。 
「そうだよ。 
 これからの人生は、誰のものでもない。 
 全部美知留のものだよ。 
 私は、あんたの彼が、あんたにしたことを、許せない。」 
「...」 
「死に方も含めて...卑怯だと思う。」 
「...」 
「でも、お腹の赤ちゃんは、美知留の赤ちゃんだよ。 
 誰とどうやって生きていこうと、 
 美知留の自由だよ。 
 でも私は、美知留と生きていきたい。 
 お腹の赤ちゃんの、パパになれなくても、 
 頼れる先輩として、側にいてあげたい。」 
「...」 
「俺も一緒に育てるよ。」 
「タケル...。」タケルの言葉に瑠可が微笑む。 
「一人より二人。二人よりも...三人の方がいいでしょ。」とタケル。 
「赤ちゃんもいるから、4人だね。」と瑠可。 
「ありがとう...。」二人の優しさに泣き出す美知留。 
 
と、そのとき突然、美知留が産気づいた。 
「どうしたの?」とタケル。 
「...変なんだ...。」痛みに苦しむ美知留。 
「美知留!」 
「美知留ちゃん! 
 タクシー捕まえてくる!」 
タケルが部屋を飛び出していく。 
 
タクシーで病院に向かう三人。 
「美知留しっかり!」 
「がんばって! 
 運転手さん、急いで下さい!!」とタケル。 
「あともう少しだから。」と瑠可。 
「頑張って!」 
 
病院 
「早期剥離の可能性があります。 
 このまま、分娩室に入ります!」と女医。 
「お二人は、こちらでお待ちください。」と看護師。 
「美知留ちゃん頑張って!」 
「美知留頑張れ!!」 
  
分娩室 
「お願いします。赤ちゃんを...助けて下さい。」 
看護師を捕まえて美知留が言う。 
「大丈夫ですよ。赤ちゃんも頑張ってますから、あなたも頑張って。」 
 
落ち着かない様子で美知留の出産を待つ瑠可と美知留。 
時刻は4時46分。 
 
5時47分。 
 
6時43分。 
  
そして... 
分娩室から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。 
その声に微笑み合うタケルと瑠可。 
ところが看護師が分娩室から飛び出してきた。 
「早くして!失血が酷い!」と中から女医の声。 
「美知留...」 
「美知留ちゃん...」 
  
「藍田さん。 
 藍田さん。」 
看護師の声に、美知留が目を覚ます。 
「女のお子さんですよ。」 
看護師が抱く赤ん坊を見つめる美知留。 
瞳から涙があふれ出る。 
  
美知留の隣りでぐっすり眠る赤ん坊。 
「瑠可。抱いてあげて。 
 女の子だって。」 
「女の子?」 
瑠可が慎重に赤ん坊を抱き上げる。 
「よく生まれてきたね。 
 世の中って悪くないよ。 
 これから、素敵なことがいっぱいある。 
 きっとある。」 
赤ん坊にそう語りかける瑠可。 
「俺にも、抱かせて。」とタケル。 
瑠可がタケルに赤ん坊を抱かせる。 
「パパですよー。」 
タケルの声に楽しそうに笑う瑠可。 
「瑠可...タケル君... 
 ありがと!」 
美知留は幸せそうに笑い...。 
 
海岸 
タケル、美知留と赤ん坊、瑠可が歩いていく。 
タケルが赤ん坊を抱く。 
 
タケルと瑠可が波打ち際で遊ぶのを、赤ん坊を抱きながら 
楽しそうに見つめる美知留。 
 
「元気ですか?エリ、オグリン。 
 赤ちゃんの名前を決めました。 
 藍田瑠美。 
 瑠可の瑠に、美知留の美。 
 瑠には、タケルのル、も入ってるんだよ。」 
 
丸太に並んで腰掛ける三人。 
 
「私達は4人で、またあのシェアハウスで暮らします。」 
 
寄り添う三人。 
赤ん坊を覗き込む美知留とタケル。 
タケルに寄りかかる美知留。 
 
「家族、友達、夫婦、恋人。 
 そのどれかであるようで、どれでもない私達だけど、 
 壊れやすいこの幸せを大事にして、 
 行けるところまで行こうと思っています。 
 これからもずっと友達でいよう。 
 出来ればずっと別れずにいよう。 
 そして、たとえ何かがあって別れても、 
 またいつか出会って、笑いあおう。 
 マイディアフレンズ。 
 ユーアーマイ、ラストフレンズ。」 
 
三人を乗せた車は、荷台にバイクを積み、シェアハウスを目指す。 
 
シェアハウス 
テーブルの上に、友彦、エリ、美知留と赤ちゃん、瑠可、タケルの 
並んだ写真が置いてあった。
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