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【二月つごもりごろに】~第百六段

时间: 2014-06-29    进入日语论坛
核心提示: 二月(きさらぎ)つごもりごろに、風いたう吹きて空いみじう黒きに、雲少しうち散りたるほど、黒戸に主殿司(とのもづかさ)来
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 二月(きさらぎ)つごもりごろに、風いたう吹きて空いみじう黒きに、雲少しうち散りたるほど、黒戸に主殿司(とのもづかさ)来て、「かうてあぶらふ」と言へば、寄りたるに、「これ、公任(きんたふ)の宰相殿の」とてあるを見れば、懐紙に、
 
  少し春あるここちこそすれ
 
とあるは、げにけふのけしきにいとよう合ひたるも、これが本(もと)はいかでかつくべからむ、と思ひわづらひぬ。「たれたれか」と問へば、「それそれ」と言ふ。皆いと恥づかしき中に、宰相の御いらへを、いかで事なしびに言ひいでむ、と心一つに苦しきを、御前に御覧ぜさせむとすれど、上のおはしまして大殿(おほとの)ごもりたり。主殿司は、「とくとく」と言ふ。げにおそうさへあらむは、いと取り所なければ、さはれとて、
 
  空寒み花にまがへて散る雪に
 
と、わななくわななく書きて取らせて、いかに思ふらむとわびし。これがことを聞かばやと思ふに、そしられたらば聞かじと覚ゆるを、「俊賢(としかた)の宰相など、『なほ内侍(ないし)に奏してなさむ』となむ定めたまひし」とばかりぞ、左兵衛(さひやうゑ)の督(かみ)の中将におはせし、語りたまひし。
 
(現代語訳)
 
 二月の末ごろ、風がたいへん吹いて空がとても黒く、そのうえ雪が少し散らついている時に、黒戸に主殿司が来て、「ごめんください」と言うので、近寄れば、「これは、公任の宰相殿からです」と差し出すのを見ると、懐紙に「少し春になった趣ですね」と書いてあり、いかにも今日の天気に合っているので、この歌の上の句はどう付けたらよいかと思い悩んだ。「殿上の間にはどなた方がいらっしゃるの」と尋ねると、「だれそれです」と言う。どなたも皆こちらがたいそう気後れするような立派な方なので、宰相へのお返事は通りいっぺんのものにはできないと、自分だけでは苦しいので中宮様にお目を通していただこうとするが、中宮様は主上がおいでになってお休みになっていらっしゃる。主殿司は「早く早く」と言う。たしかに返事まで遅くては、いかにも取り柄がないので、どうにもなれと思い、「空が寒いので、花に似せて散る雪に」と、震え震えして書いて渡したが、どう思われるかと情けなくなる。このお返事の批評を聞きたいと思うが、もしけなされているなら聞きたくないと思っていると、「俊賢の宰相などが、『やはり主上に奏上してあなたを内侍にしたい』と批評しておられた」とだけ、左兵衛の督の中将だった方が話してくださった。
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