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关于新的反法西斯(4)

时间: 2021-07-07    进入日语论坛
核心提示:        四 頽廃への抵抗 学生運動の分野で女子学生の活動はどんなものでしょうかときいたらば、編集部は次のように答
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        四 頽廃への抵抗

 学生運動の分野で女子学生の活動はどんなものでしょうかときいたらば、編集部は次のように答えられました。「男の学生に比較すれば量において少いし、人間的生長といった面でも遅れているように見受けられます」と。わたしは正直なところこの御返事の気分に不満なのです。日本の女学校教育は特別なものであったから、共学がはじまってまだほんの僅かしかたたない今日、女子学生が男の学生に比較してあとにいるという事情にも無理もないところがあります。日本の民主化されていない家庭では、女の負担が実に多い。それでもまじめな人たちはアルバイトまでして勉強しています。真剣に社会について考えている。女の子は汗じみたなりを辛抱しているという一つのことにしても、男の学生よりは生理的に心理的に苦痛が多いのです。日本のような社会の歴史をもったところでは、この矛盾のひどい中で悪に抵抗して力一杯生きようとしているけなげな若い女性のためには、男の人たちが人間的同情にとんだ態度であってほしいと思います。さっきの「進歩」について云ったように、いくら一握りの青年が前進してもその半身である若い女性が遅れていたら、その互の不幸は深いと思います。
 ところがまた女性の側からいうと、男の遅れているということが実際問題になっているのです。男の感情の習慣と生活の形の中には、自覚ある女性が切なく感じている封建性と男子優越が残っています。組合の中でもそういうことはある。一昨年でしたかやっぱり『学生評論』で各学校からの男女学生が集って座談会をしたことがありました。丁度学生祭のあとで、話題は豊富でしたが、女子学生の問題の中には家庭と職業との矛盾をどうするかという問題があり、したがってそれが恋愛や結婚の問題にもつながって考えられていました。日本の現実では、この点がまだ社会的に解決されていません。経済事情が悪化している今日、学生のアルバイト、主婦の内職、また内職的な意味でのかけもち職業の問題が増えてきて、女性の重荷はましています。
 積極的な意志で結婚した人々もこういう問題については、苦しい経験をしているわけです。根本は家事が個別的に主婦の負担であるということが原因です。今日民主的な活動をしている人々の間に、思ったよりも多く従来の結婚生活がこわれてきています。外で働く男の人は仕事の場面でまだ若い身軽な女性を見出して、その人と新しい結婚生活に入ることが発展だという風に理屈づけるけれども、その婦人が又結婚生活の中で主婦として暮しはじめたとき、果して全く新しい家庭の形態というものがつくれるでしょうか。その人の上にも、女として家庭と仕事との矛盾はおこらないでしょうか。矛盾のままの、無理だらけの毎日を送って、ちっとも心に不満が起らない程日本の「家庭生活」のなかでの経験者――既に一人の女性はその家庭の犠牲となったほどの――男の人が、万年青年であり得るでしょうか。
 若い一組が働きながら夫婦の生活感情を成長させてゆくためには、お互に大局からの仕事についての理解が、非常に深くなければなりません。互の忍耐もいり、我ままを愛の表現と思わない決心がいる――「スタイル」の愛の技巧とは全くちがった聰明がいります。
 若い一組がうまくゆかないということは、やっぱり男の人に、女は家にいる方がいいという便宜的な必要が強く影響するからの結果もあるでしょう。積極的に結婚をする人は、女の人にしても、生活力が強いし向上心もあるから、家庭に封鎖されることは苦しいのです。社会的活動から遮断されたいきぐるしさを感じるのです。現在ではそういう若い妻たちが案外に多いのだから、地域的な民主的組織が、主婦という条件を考慮した上での協力をひろげてゆくことがどちらのためにも必要です。イタリーのようにファシズムでしめつけられた国で、今日婦人の民主的組織はきわめて大規模に発展しています。
 日本は、なんと青春にとってむごい国だろうと思います。この頃の雑誌が性教育とか性に対する知識の普及とかいって扱っている記事の内容は、どうでしょう。ブルジョア恋愛論の空想性、偽瞞性で装飾しながら、ロマンティックなような形容詞で、かいていることといえば、肉体主義の文学の生理的註解のようなものです。これまでに科学的な性の知識がちっとも与えられていないのに、今日は十六歳の少女でも読む雑誌に、いきなり局部的な性の技巧とか性の満足とかいうことが書かれていて、両性の生活にある人間的な複雑な要素は、全くけとばされています。愛のよろこびや美しい結合に憧れをめざまされるよりも先に、性交への好奇心が石盤刷りのようなあくどさで刺戟されてゆくのは、惨憺たることです。性には人格もあり個性もある。特に女性は人間的な要素が多い。その要素を無視して、性器だけの交渉に中心をおくならば、すべての性的な行為は売娼の本質と等しくなってしまいます。なぜなら、そこに、人間的な選択、完全な結合、愛、同感、互の運命への責任等がぬかれているのだから。
 人間を動物的に低める性的誇張は、ファシズムの一つの方法です。ナチスが青年男女を「わが陣営」にひきつけるためにとった方法は、いわゆる性の解放でした。正しい民主的な社会を求める人々は、こういう性のこみちから人間を人間でなくするような人間破壊に対して闘わなければなりません。肉体主義の文学が、「肉体をはる」生き方にヒロイズムを描き出している。汚れをいとわないとか、古くさい結婚の形にしばられない感情の冒険とかいうことの現実をみると、結局は社会の経済生活の崩壊による女性の男への寄生的生活の合理化であり、広汎な売娼生活の合理化だということが分ります。

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