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横穿新西伯利亚(4)

时间: 2021-07-20    进入日语论坛
核心提示: 十月二十八日。 水色やかんを下げてYが、ヒョイヒョイとぶような足つきで駅の熱湯供給所へ行く後姿を、自分は列車のデッキか
(单词翻译:双击或拖选)

 十月二十八日。
 水色やかんを下げてYが、ヒョイヒョイとぶような足つきで駅の熱湯供給所へ行く後姿を、自分は列車のデッキから見送っている。あたりはすっかり雪だ。СССРでは昔からどんな田舎の駅でも列車の着く時間には熱湯を仕度してそれを無料で旅人に支給する習慣だ。だからしばしば見るだろう。汽車が止るとニッケルやかんやブリキやかんや時には湯呑一つ持ってプラットフォームを何処へか駈けてゆく多勢の男を。茶急須砂糖コップ匙。それをもっているのはСССР市民だけではない。我々だってもっている。
 今日はコルホーズ(集団農場)の大きいのを見た。トラクターが働いての収穫後の藁山。そこへ雪がかかっている。
 ああはやく、はやく! あっちに高い「エレバートル」が見える!(エレバートルは麦袋を貨車につみ込むための自動的運搬である。)
『コンムーナ』という地方農民新聞を手に入れた。五日に二度発行、十頁、オムスク鉄道バラビンスキー停車場内鉄道従業員組合ウチークそこが編輯所である。モスクワ発行の『イズヴェスチア』『プラウダ』なんかはもうどんなにしたって二十五日以後のものはよめっこない。我々は特急(クリエルスキー)にのっている。我々の列車が、モスクワを出て三日目だのに既に十八時間遅れながら、社会主義連邦中枢よりのニュースを、シベリアのところどころに撒布しつつ進行しているわけである。
 この『コンムーナ』は二十七日の分である。深い興味で隅から隅まで読んだ。丁度今この地方は、牛酪(バタ)収穫時に入っている。「十月一杯でバラビンスキー地方は一九〇ツェントネル(百ポンド)の牛酪(バタ)をバタ生産組合へ支給する予定だ。十月二十日までに一三五ツェントネルを集めた。九月の生産予定計画を我々は七五パーセントしかみたすことが出来なかった。ところが十月は二十日間に予定の七一パーセントをみたした。組合員諸君及集団農民諸君! このテンポをおとすな!」そしてバタ生産に関する農村通信員の面白い批判が掲載されている。

バタ工場の支配人を代えろ!
バタ工場上ナザロフスキーの支配人ゴルデーエフは生産に従事することを欲していない。工場は無管理状態に君臨されている。
工場が燃料に欠乏を感じぬ日は一日もない。工場用の水はきたない。そのために製造したバタの品質が低下する。
上ナザロフ村にもう一つバタ工場がある。そこの建物はひどい有様だ。扉はこわれている。寒くて働けぬ。
この間支配人はクラスノヤルスク村へ牛乳買上決算に出かけた。そこで彼は三昼夜べろべろにのんだくれ、その結果として、バタ工場に属す馬をどっかへなくしてしまった。
グロデーエフは三頭馬をもっている。以前グロデーエフは何人か小作人をもっていた。現在十九歳の小作人ニコライクリコフを使っている。

 手帖にうつしているとY、赤鉛筆をこねて切抜の整理しながら、
 ――何ゴソゴソしているのさ。
 ――知ってる? あなた。牛乳生産組合がどんな風に農民から牛乳を集めるか。
 СССРで集団農業に移ろうとした時、農民及政府双方で一番困難したのは家畜の問題だった。穀類集団農業から集団牧畜へ。これは常に積極的刺戟を加えられている点である。この新聞で見ると牛乳協定は非常に農民の利益を計って改正されている。去年の牛乳協定は農民の消費を考慮せずにされた。つまり各農戸の人員を数えず、バラビンスキー地方一帯、牛一匹一年六六ツェントネル平均として協定標準が定っていた。各農家別にすると、

一頭持   四六(ツェント)
二頭持   六(同   )
三頭持   七五(同   )

 ところが今年は当地方平均一頭宛の標準は五六六六ツェントネルで、各農戸に対する一頭の標準は、

一匹   五人家族   三〇(ツェント)
二匹   八人同    四四(同   )

という工合である。

 大きい河。濁ったあく色だ。両岸、雪が白い。地図を見たらそれがイルトゥウィシェ河だった。オムスク市が鉄橋のかなたからはじまる。
 オムスク四十分停車。
 ステーション構外の物売店見物。
 バタがうんとある。
 三つ十五カペイキでトマトを買った。てのひらにのっけて雪道を歩くとそれは烏瓜のようだった。実際美味くなかった。ナルザン鉱泉の空瓶をもってって牛乳を買う50к。ゴム製尻あてのような大きい輪パン一ルーブル。となりの車室の子供づれの細君が二つ買ってソーニャという六つばかりの姉娘の腕に一つ、新しい世界(ノヴォ ミール)というインターナショナル抜スイのような名をもった賢くない三つの男の子の腕に一つ通してやっている。
 耳が痛い位寒い。食堂でよく会う黒人党員がいつも一緒なロシア婦人党員と白い息をハーハーふきながら愉快この上ない顔つきで散歩している。一行はドイツ人もアメリカ人も混って、食事の時は婦人党員がドイツ語、英語、ロシア語でやっているのだ。(モスクワを立つ前、こんな事件があった。何処かの工場でアメリカ技師を招聘した。技師は職工を何人かつれて来て、中に黒人労働者もいた。白人職工が何かのことで、議論する間もなくいきなり手を上げて黒人の仲間を殴った。彼は故郷自由の国アメリカ、黒人に対する私刑(リンチ)が行われるときは巡査が交通整理して手伝ってくれる文明国にいるのだと感違いした。その時周囲に目撃していたのはソヴェトのプロレタリアートだ。直ぐその場で一般集会――同僚裁判が開かれた。その白人職工はその工場労働者の決議によってアメリカへ送還された。)

 オムスクから二時間ばかりのところに、すっかり新しい穀物輸送ステーションが出来ている。屋根からつららの下った貨車。そびえるエレバートルの下へ機関車にひかれて行く。何と新鮮なシベリア風景だ。
 午後三時半。
 晴れた西日が野にさして、雪は紫色だ。林は銅色。
 小さい駅。白樺。黄色く塗った木造ステーション。チェホフ的だ。赤い帽子をかぶった駅長が一人ぼっち出て来て、郵便車から雪の上へ投げた小包を拾い上げた。その小包には切手が沢山はってあった。


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