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犬神家族-第三章 凶報至る(2)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:「ええええ、わたしも竹子姉さんに賛成ですわ。ここでなまじ、松子姉さんや佐清さんがこばんだら、世間のひとの疑いは、いっそう
(单词翻译:双击或拖选)
「ええええ、わたしも竹子姉さんに賛成ですわ。ここでなまじ、松子姉さんや佐清さんが
こばんだら、世間のひとの疑いは、いっそう濃くなるばかりだと思うんだけど……ねえ、
皆さん、どうお思いになって?」
「そりゃ大きにそうですとも」
梅子のあとについて、竹子の夫の寅之助も口をひらいた。
「いや、世間のひとばかりじゃない。ここで姉さんや佐清君が、こばみとおすとしたら、
われわれだって疑いたくなってきます。幸吉君、きみはどうだね」
「そ、それはそうです」
梅子の夫の幸吉が、おびえたように口ごもった。
「親戚のものを疑うなんて、本意ないことにちがいないけれど、姉さんや佐清さんがあく
までいやだとおっしゃれば、やっぱり……」
「うしろぐらいところがあるとしか思えないわね」
グサリと釘を打つように、竹子が毒々しくあざわらった。
「お黙り! お黙り、お黙り、お黙り!」
松子夫人が怒りに声をふるわせたのはそのときだった。
「おまえさんたちは、なんということをいうの。この佐清は、かりにも犬神家の総本家で
すよ。総本家の跡取り息子ですよ。お父さんがあんなつまらない遺言状をかいておかなか
ったら、犬神家の名跡も、財産もすっかりこの子のものになっていたはずなんだ。この子
は本家だよ、総本家ですよ、昔ならば殿様だ、御主人ですよ。佐武も、佐智も、家来も同
然、それだのに……それだのに……この子をつかまえて、手型をおせの、指紋をとらせろ
のと、まるで罪人でも扱うように。……いいえ、いいえ、わたしはけっして、この子にそ
んな汚らしいまねはさせません。ええ、ええ、けっして、けっして、……佐清、おいで、
こんなところにいることはない」
松子夫人は席を|蹴《け》って立ちあがった。
佐武の血相がさっと変わった。
「伯母さん、それじゃあなたはあくまでも……」
「いやです、いやです。さあ、佐清……」
よろよろと、仮面の佐清が立ちあがる。松子夫人がその手をとった。
「伯母さん、それじゃわれわれは……」
佐武がギリギリ歯ぎしりしながら、座敷を出ていく松子夫人と、仮面の佐清の背後から、
毒々しい声をあびせかけた。
「今後その男を、佐清君と認めることはできませんよ」
「なんとでもお言い!」
仮面の男の手をひいて、松子夫人は足音あらく、障子の外へ出ていった。……
「ふうむ」
古館弁護士の話を聞きおわった耕助は、ガリガリ、ガリガリ、めったやたらにもじゃも
じゃ頭をかきまわしながら、
「事態がなかなか急迫してきましたな」
「そうなんですよ」
古館弁護士は暗い眼をして、
「松子夫人はなんだって、あんながんこにこばむのですかねえ。そりゃあ、佐武君の切り
出しかたもたしかにまずかった。のっけから相手を罪人扱いですからね。気位の高い松子
夫人がカッとして……一度つむじをまげると、手のつけられないほど、片意地になるひと
ですから、無理もないと思われるのですが……しかし、問題が問題ですからね。あれがほ
んとうの佐清君だとしたら……むろん、わたしはそう信じていますが、|潔《いさぎよ》
く手型をとらせたほうが、よかったと思うんですがねえ」
「つまり、今夜の松子夫人の態度には、二様の解釈が下せるわけですね。佐武君や佐智君
の態度が|癇《かん》にさわって|依《い》|怙《こ》|地《じ》になったか、あるいは、
佐武君や佐智君の疑っているように、あの仮面の男が、ほんとうは佐清君ではなく、しか
も、それを松子夫人が承知しているか……」
古館弁護士は、暗い眼をしてうなずいた。
「わたしはむろん、第一の解釈をとりますが、しかし、松子夫人がかぶとをぬいで、佐清
君の手型をとらせてくれないかぎり、第二の解釈、恐ろしい疑いをぬぐい去ることができ
ません。いやな、ありうべからざることだとは思いますがねえ」
古館弁護士は十二時ごろまで話しこんでかえっていった。金田一耕助はそれから間もな
く、寝床のなかへもぐりこんだが、かれの|瞼《まぶた》は電気を消したあとも、ながい
ことひとつにならなかった。
あの奇妙な、薄気味悪いゴム製の仮面をかぶった男の姿と、絹地におされた右の手型
が、|暗《くら》|闇《やみ》のなかにうかびあがって、おそくまでかれを苦しめた。……
突然、枕元においた卓上電話のベルが、ジリジリ鳴り出したので、金田一耕助はハッと
眼をさました。
寝床のなかで|腹《はら》|這《ば》いになったまま、電話をひきよせ受話器をはずす
と、電話の相手は帳場の番頭さんだった。
「ああ、十七番のお客様ですか。金田一耕助さんですね。古館さんからお電話ですが」
「ああ、そう、つないでください」
すぐ電話の向こうに、古館弁護士の声が聞こえてきた。
「ああ、金田一さんですか。お休みのところを起こしてすみませんが、すぐ来ていただき
たいのですが……至急に……大至急に……」
古館弁護士の声はうわずっている。うわずってふるえている。耕助はハッと胸をとどろ
かせた。
「来いって、どこへですか」
「犬神家……犬神家です。迎えの車をさしあげますから、すぐに来てください」
「承知しました。すぐ行きます。しかし、古館さん、犬神家になにか起こったのですか」
「ええ、起こったのです。たいへんなことが起こったのです。若林君の予言があたったの
です。それも……それも、とても奇妙なやりかたで……とにかく、すぐ来てください。来
てくだされば、万事わかります。じゃのちほど……」
ガチャンと受話器をかける音。……金田一耕助ははじかれたように寝床のなかからとび
起きると、なんということなく、雨戸を一枚繰ってみたが、外は薄墨をなすったように暗
くくもって、湖水のおもてを、しぐれがわびしくたたいている。……
菊 畑
金田一耕助は、いままでずいぶんいろんな事件を手がけてきたし、恐ろしい、悪夢のよ
うな変てこな、|死《し》|骸《がい》にぶつかったことも珍しくない。
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