日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页

犬神家族-第三章 凶報至る(6)

时间: 2022-05-31    进入日语论坛
核心提示:「へえ、そうなんで。おらいつも朝起きると、家のなかを見回るだが、今朝起きぬけにこの下へ来てみると、水門がひらいていただ。
(单词翻译:双击或拖选)
「へえ、そうなんで。おらいつも朝起きると、家のなかを見回るだが、今朝起きぬけにこ
の下へ来てみると、水門がひらいていただ。あの水門は昨日、日暮れまえに、たしかにお
ろしておいたはずだから、変に思ってボート小屋をのぞいてみると、三艘あるボートのう
ち一艘が、見えなくなっているだ」
署長と金田一耕助は、驚いたように眼を見交わした。
「すると、昨夜のうちにだれかがボートを|漕《こ》ぎ出したというのかね」
「さあ。……それはおらにもわからねえが、とにかくボートが一艘……」
「そして、水門がひらいていたというんだね」
猿蔵はムッツリとした顔でうなずいた。
金田一耕助は本能的に、湖水のほうをふりかえったが、雨に降りこめられた湖水の上に
は、ボートらしいものは一艘も見られなかった。
「こちらのボートには、なにか目印がついていないのかい」
「へえ、こちらのボートにゃ、みんな犬神家という字が黒いペンキで書いてあるだ」
署長がなにかささやくと、すぐに私服の三人が、展望台からおりていった。おそらく、
紛失したボートをさがしにいくのだろう。
「いや、猿蔵君、ありがとう。なにかまた変わったことに気がついたら知らせてくれたま
え」
猿蔵はぶきっちょにお辞儀をすると、そのままコトコトと階段をおりていった。
署長は金田一耕助をふりかえって、
「金田一さん、あんたこれをどうお考えかな。犯人は佐武の首無し死体を、ボートにつん
で運んでいったものでしょうか……」
「さあ。……」
と、金田一耕助は、雨にけむった湖水のおもてを見渡しながら、
「そうなると、犯人は外部のものということになりますね。だってボートを漕ぎ出したま
ま、こっちへかえっていないんですから」
「いや、途中で死体を湖水へしずめ、自分はどこかの岸へボートを漕ぎよせ、岡をまわっ
てかえってくるという方法もある」
「しかし、そりゃずいぶん危険な仕事ですぜ。生首をああして、麗々しくかざっておく以
上は、なにもそんな危険をおかしてまで、死体をかくす必要はないと思いますがねえ」
「ふうむ。そういえばそうだが……」
署長はぼんやり、あの恐ろしい血だまりに眼をやっていたが、急に強く首を左右にふる
と、
「金田一さん、わしはどうもこの事件は気に食わんよ。犯人はなんだって首を斬り落とし
よったんじゃ。なんだってまたその首を菊人形の首とすりかえよったんじゃ。いやだね、
どうも。……わしゃなんだか、寒気がするよ」
そこへ珠世があがってきた。さすがに珠世も顔青ざめて、瞳もかたくとがっている。し
かし、それにもかかわらず、彼女の美しさにはかわりはなかった。いやいや、ものにおび
えて、どことなく頼りなげな風情が、いっそうしおらしく、美しく、古くさいたとえなが
ら雨になやめる|海《かい》|棠《どう》の、そこはかとないはかなさが、彼女の美しさ
をいっそうひき立てているようにさえ見えるのだ。署長はかるく|空《から》|咳《せき》
をすると、
「ああ、どうも、お呼びたてしてすみません。どうぞそこへお掛けになって……」
珠世はあの恐ろしい血だまりに眼をやると、一瞬おびえたように大きく眼を見はったが、
すぐ顔をそむけるようにして、ギゴチなく籐椅子のひとつに腰をおろした。
「お呼びたてしたのはほかでもありませんがね、このブローチ、ご存じですか」
珠世は署長の|掌《てのひら》にある、菊花のブローチに眼をやると、籐椅子のなかで、
一瞬体をかたくした。
「はあ……あの……存じております。それ、あたしのブローチでございます」
「なるほど、それで、いつ失われたのか、お心当たりはありませんか」
「はあ……たぶん、昨夜……」
「どこで……」
「ここで落としたのじゃないかと思ってますけれど……」
署長はチラと、金田一耕助と顔を見合わせた。
「すると、あなたは昨夜、ここへ来られたのですか」
「はあ……」
「何時ごろ?」
「十一時ごろだったと思います」
「そんな時刻に、どういう御用があって、こんなところへ来られたのですか」
珠世は両手でハンケチをもんでいる。もんでもんで、ハンケチをひきちぎらんばかりで
ある。
「ねえ、こうなったらなにもかも正直にいっていただきたいのですがね。いったい、どう
いう御用でこんなところへ?」
珠世は突然決心したように、スックとばかりに顔をあげると、
「実は昨夜、ここで佐武さんに会ったのでございます。内密に話をしたいことがあったも
のですから」
珠世の|頬《ほお》からは、スッカリ血の気がひいている。
橘署長は、また、チラと金田一耕助のほうへ眼をやった。
指紋のある時計
「昨夜、あなたは佐武君と、ここで会ったんですって?」
橘署長の眼に、ふと、かすかな疑惑の色がうかんでくる。金田一耕助も、|怪《け》|
訝《げん》そうに眉をひそめて、血の気のひいた、珠世の白い横顔を見つめている。
珠世の美しい頬は、スフ?ンクスのように、なぞを秘めて|強《こわ》|張《ば》って
いた。
「どういう御用件があったんですか。ああ……いや、たぶん、佐武君のほうから、誘いか
けたんでしょうな」
「いいえ、そうではございません」
珠世はキッパリとした口調で、
「あたしのほうから佐武さんに、十一時ごろ、ここへ来てくださいとお願いしたのでござ
います」
と、そういいきると、たゆとうような視線を湖水のおもてへ持っていく。すこし風が出
たのか、水のおもてを打つ雨脚が、しだいに乱れて、はげしさを増していく。|時《し》|
化《け》になるかもしれない。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: