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海底魔术师-洞穴里的监牢(2)

时间: 2021-09-08    进入日语论坛
核心提示:「賢吉君。」 その男が、よびかけました。やさしい声です。賢吉君は、「おやっ、へんだな。」とおもいました。いつもの男の声と
(单词翻译:双击或拖选)

「賢吉君……。」
 その男が、よびかけました。やさしい声です。賢吉君は、「おやっ、へんだな。」とおもいました。いつもの男の声とは、まるでちがっていたからです。
「わしだよ、わしだよ。悪ものに変装しているけれど、よくごらん、わたしは明智だよ。」
 それをきくと、賢吉君は、ハッとしておもわず立ちあがりました。そして、こうしのそばによって、男の顔を見つめました。賊の手下とそっくりに変装していましたが、よく見ると、明智先生でした。うすぐろくぬった顔の中から、あのなつかしい明智先生のおもかげが、スーッと、うきだすように見えてくるのでした。
「あっ、先生!」
 賢吉君は、こうしにとりすがって、おもわずさけびました。
「そんな大きな声を出しちゃ、いけない。わたしはきみを、たすけだしにきたのだ。いまに小林も、ここへくるからね。」
 明智探偵は、そういって、懐中電灯を高くあげて、トンネルのようになった、ほら穴の向こうの方にむかって、二―三度ふりてらしました。
 すると、それがあいずだったらしく、まっくらな向こうの方から、何者かが近づいてきましたが、それが明智の懐中電灯の光の中にはいると、漁師のような着物をきた、ひとりの少年でした。
「おやっ、へんな子どもがきたな。」とおもって、よく見ますと、その子どもも顔を黒くぬっていましたが、どこかに小林君のおもかげがありました。やっぱり小林少年の変装姿だったのです。
「あっ、小林さん……。」
 賢吉少年は、また、さけばないではいられませんでした。
 明智探偵は、よういしていたかぎをとり出して、ろうごくのこうしの戸をひらき、小林少年とふたりで中へはいってきました。
「賢吉君、ぶじでよかったね。」
 小林少年は、いきなり賢吉君にだきついていきました。賢吉君も小林少年にとりすがって、まるで、ひさしぶりにであった兄弟のように、だきあったまま、いつまでもはなれないのでした。
「賢吉君、これから、きみをたすけだすのには、いろいろトリックをつかわなければならない、なかなかむずかしい仕事なんだよ。それに、ぐずぐずしていて敵にみつかったら、たいへんだから、おおいそぎでやらなければならない。くわしい話はあとですることにして、すぐにトリックにとりかかるよ。まず、きみは小林君と服をとりかえるんだ。」
 明智探偵はそういって、じぶんも手つだって、手ばやく、ふたりの服をとりかえさせました。つまり小林君は学生服をきて賢吉君になりすまし、賢吉君は小林君のきてきた漁師の子どもの着物をきたのです。
 きがえがすむと、明智はふところから、ぬれた手ぬぐいを出して、ススをぬった小林君の顔を、きれいにふきとり、そのよごれた手ぬぐいで賢吉君の顔を、なでまわしました。すると、いままで、きたなかった小林君の顔がきれいになり、きれいだった賢吉君が、日にやけた漁師の子どもに、早がわりしてしまいました。
「賢吉君は、わたしといっしょに、陸のほうにひらいている穴から逃げだして、船に乗ってハヤブサ丸に帰るんだ。わたしも、この服をぬいで、漁師の着物をきるから、漁師の親子が船に乗っているとおもって、だれもうたがわないのだよ。」
 明智はそういって、さっき、左手にかかえていた、大きなふろしきづつみを、賢吉君になりすました小林少年にわたしました。
「いいかい。これでうまくやるんだよ。わたしは、じきに帰ってくるからね。それまで、きみのうでまえで、うまく敵をあやつっておくのだよ。」
「はい、だいじょうぶです。きっとうまくやります。」

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