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湖畔亭事件(3)

时间: 2021-10-19    进入日语论坛
核心提示:三 ここで、私があるいまわしい病癖を持っていることを白状しなければなりません。といいますのは、少年時代のいじけた性質から
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 ここで、私があるいまわしい病癖を持っていることを白状しなければなりません。といいますのは、少年時代のいじけた性質から考えても、こうなるのが当然だったかも知れませんが、私は、鼻下(びか)にはしかつめらしいチビ(ひげ)まで貯えたこの私が、はしたない女中風情(ふぜい)でも、あえてしないような、他人の秘密を隙見(すきみ)する事に、もうこの上もない快感をおぼえるのでありました。無論こうした性質は、いくらかは誰にでもあるものですが、私のはそれが極端なのです。そして、もっといけないことは、その隙見をする対象が、お話するのもはずかしいような変てこな、いまわしい物ばかりなのです。
 これはある友達から聞いた話しですが、その友達の伯母(おば)さんとかに、やっぱり隙見の病気を持った人がいて、丁度裏の板塀の向うに隣家の座敷が見えるのを幸い、暇にまかせてその板塀の節穴から、隣家の様子を(のぞ)くのだそうです。彼女は隠居の身の上で、これという仕事もなく、退屈なまま、まるで小説本でも読む気で、隣家の出来事を観察しているのです。今日は何人来客があって、どの客はどんな風をしていて、どんな話をしたとか、あすこの(うち)では、子供が生れたので、たのもしを落して、それで何と何と何とを買ったとか、女中が鼠いらずをあけて、何をつまみ食いしたとか、何から何まで事も細かに、自分自身の家内のことよりももっと詳しく、いや先方の主人達も知らないようなことまでも、()れなく観察しては、私の友達などに話して聞かせるのだそうです。丁度お婆さんが孫達に、新聞小説の続きものを読んで聞かせるように。
 私はそれを聞いて、やっぱり世間には、自分と同じ様な病人があるのだなと、馬鹿馬鹿しい話ですが、いくらか心強くなったものです。しかし、私の病気は、その伯母さんのよりも、(はなは)だしくたちのよくない種類のものでありました。一例を申しますと、これは私が学校をすませて帰って来て、第一にやったいたずらなのですが、私は、自分の居間と私の(うち)の女中部屋とを、例のレンズと鏡で出来た、様々の形の暗箱を装置して、()れた果物の様な肥太(こえふと)った、二十娘の秘密を、隙見してやろうと考えました。隙見といっても、私のは(ごく)臆病な、間接のやり方なのです。女中部屋の目につかない様な、例えば天井の隅っこなどに、私の発明した鏡とレンズの装置を(ほどこ)し、そこから暗箱によって、天井裏などを通路にして、光線を導き、女中部屋で鏡に映った影が、自分の居間の机の上の鏡にも、そのまま映る様な仕かけを拵えた訳なのです。つまり潜航艇の中から海上を見る何とかスコープという、あれと同じ装置なのです。
 さて、それによって何を見たかといいますと、多くはここにいうをはばかる種類の事柄なのですが、例えば、二十歳の女中が、毎晩寝床へ這入る前に、行李(こうり)の底から幾通(いくつう)かの手紙と一葉の写真を取出して、写真を眺めては手紙を読み手紙を読んでは写真を眺め、さて寝る時には、その写真を彼女の豊満な乳房におしつけ、それを(いだ)きしめて横になる様子を見て、彼女にもやっぱり恋人があるのだなと悟る。まあそういった事なのです。それから、彼女が見かけによらない泣き虫である事や、想像にたがわずつまみ食いのはげしい事や、寝行儀(ねぎょうぎ)のよくない事や、そして、もっと露骨な様々の光景が私の胸を(おど)らせるのでありました。
 この試みに味をしめて、私の病癖は(いちじる)しく昂進(こうしん)しましたが、女中以外に家人の秘密を探ることなどは、妙に不愉快ですし、といって、まさか、この仕掛をよその家へ延ばす訳にも行きませんので、一時はハタと当惑しましたが、やがて、私は一つの妙案を思いついたのです。それは、()のレンズと鏡の装置を、携帯自在の組立てにして、旅館だとか、茶屋だとか、(あるい)は料理屋などへ持って行って、そこで即座に隙見の道具立てをこしらえるということでした。それには、レンズの焦点を自由に移動し得る様な装置を工夫することだとか、暗箱をなるべく細く小さくして、目立たぬ様に細工することだとか、色々困難がありましたけれど、先にも申しました通り、私は生来(せいらい)そうした手細工に興味を持っておりますので、数日の間コツコツとそればかりを丹精(たんせい)して、結局申し分のない携帯覗き眼鏡(めがね)を作り上げたことでした。
 そして、私はそれを到る所で(もち)いました。口実を設けて、友人の家へ泊り込み、主人公の居間へこの装置を施して、激情的な光景を隙見したこともあります。
 それらの秘密観察の記録を(しる)すだけでも、十分一篇の小説が出来上りそうに思われます。それはさて置き、前置きはこの位にして、いよいよ表題の物語りにお話を進めることに致しましょう。
 それは今から五年前の、夏の初めのことでした。私はその頃神経衰弱症にかかっていまして、都の雑沓(ざっとう)物憂(ものう)きまま家族の勧めに従い、避暑かたがた、H山中のA湖畔にある、湖畔亭(こはんてい)という妙な名前の旅館へ、ひとりきりで、(しばら)く滞在していたことがあります。避暑には少し早い時期なので、広い旅館がガランとして人気(ひとけ)もなく、清々(すがすが)しい山気が、妙にうそ寒く感じられました。湖上の船遊びも、森林の跋渉(ばっしょう)も、慣れては一向面白くありません。といって都へ帰るのも何となく気が向かず、私は旅館の二階で、つまらない日々を送ったことであります。
 そこで退屈の余りふと思い出したのが、例の覗き眼鏡のことでした。幸い癖になっているものですから、その道具はチャンとトランクの底にあります。さびしいとはいい(じょう)、旅館には数組の客がいますし、夏の用意に(やと)()れた女中共も十人近くいるのです。
「では一つ、いたずらを初めるかな」
 私はニヤニヤひとり笑いを(もら)しながら、客が少いので見つけられる心配もなく、例の道具立てに取かかるのでした。そこで私が何を隙見しようとしたか、又その隙見から、(はか)らずも、どんな大事件が持ち上ったか。これからがこの物語りの本題に入るのであります。

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