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新宝岛-船上的三个人

时间: 2021-10-16    进入日语论坛
核心提示:ボートの中の三人 三人はボートの中に身を伏せて、頭だけを持ちあげて、じっと親船を見つめていました。もし海賊の一人が艫(と
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ボートの中の三人
 三人はボートの中に身を伏せて、頭だけを持ちあげて、じっと親船を見つめていました。もし海賊の一人が(とも)の方へ出て来て、ボートの三人を見つけるようなことが起ったら、何もかもおしまいです。今度とらえられたら、どんな恐しい目にあうかわからないのです。
 じっと息をころして見つめていますと、すぐ目の前にあった、海賊船の大きな船尾が、見る見る向こうへ遠ざかって行きます。五メートル、十メートル、二十メートル。そして、いつの間にか、もう大きな声で呼んでも聞えないほど、遠くへ隔ってしまいました。
 少年達は助かったのです。賊はお酒によっぱらっていて、すこしもそれと気づかなかったのです。
 もうあとは、メナド港までこぎもどるだけです。そこには日本人の商館もあるのですから、そこへかけ込んで、(すくい)を求めさえすればいいのです。港の方角を見ますと、遙か遙か向こうに、星のような燈火(ともしび)が、チラチラとまたたいています。約五(キロ)もあるでしょうか。でも、三人が力をあわせてボートを漕げば、きっと港へ着くことが出来るでしょう。
「サア、保君、君と僕とで漕ぐんだ。そして、つかれた方が哲雄君に代ってもらうんだ。哲雄君は舵手(コクスン)をやっておくれ。いいかい」
 琴野一郎君が大人のようなまじめな調子でさしずしました。
 少年達には、オールが重すぎて、なかなか自由になりませんでしたが、そんなことを考えているひまもありません。一郎君と保君とは、太いオールにしがみついて、死ものぐるいに漕ぎはじめました。
 さいわい、海は静かでした。外海のことですから、むろん波はあるのですが、いつか出あった嵐にくらべたら、このくらいの波は波の(うち)には入りません。
 ボートはガクンガクンとうなずくようにゆれながら、港に向かって、おぼつかなく進んで行きました。はじめの中は、たしかに、一漕ぎずつ、港の燈火に近づいて行くように思われたのです。いくらおそくても、夜明までには、きっと港に着けるにちがいないと、三人は勇みに勇んでいたのです。
 ところが、どうしたことでしょう。二百メートルほども漕いだかと思うと、とつぜん、ボートが進まなくなってしまったではありませんか。漕いでも漕いでも、同じ所にいるような気がするのです。イヤ、同じ所にいるのなら、まだいいのですが、どうやら港とは反対の方角へ、だんだん遠ざかって行くような気がするのです。
「オイ、君たち、しっかり漕いでくれよ。何だかボートがあと戻りしているみたいだぜ」
 舵手(コクスン)の哲雄君が、けげんらしく叫びました。
「漕いでいるんだよ。ねえ、一郎君、こんなに一生懸命に漕いでるのに……」
 保君が不平らしく、大声に答えました。
「でも、変だねえ。何だかボートは進んでいないようだよ。保君、ためしに漕ぐのよしてごらん」
 一郎君のさしずで、二人ともオールを上にあげて、しばらくじっとしていました。すると、どうでしょう。ボートは何か(いき)ものに引っぱられてでもいるように、目に見えてグングンあともどりをはじめたではありませんか。
「オヤ、変だね。気味が悪いや。(さめ)かなんかが引っぱってるんじゃないのかな」
 保君がおどけた調子で言いましたが、その実、内心ではゾーッとしているのです。黒い波頭が、何だか大きな怪物の背中のように見えて、じっとしていると、無性に怖くなって来るのです。
「ア、わかった。わかったよ」
 とつぜん舵手(コクスン)の哲雄君が叫びました。
「ここに強い潮流が流れているんだよ。僕達はその中にまきこまれたんだよ」
 海の中に強い(いきおい)で一方に流れている川のようなところがあります。それを潮流とか海流とかいうのです。
「ア、そうだ。潮流だね。じゃ、ここを突切れば静かな所へ出るんだね。サア、保君、漕ごう。ウンとがんばるんだぜ。哲雄君、舵をまげてくれよ。潮流を横切るんだから」
 一郎君が力づけるように叫びました。そして、二人は又オールにしがみついたのですが、もう疲れているものですから、思うように漕ぐことも出来ず、いくらがんばっても、ボートは流されるばかりです。潮流の幅がどのくらいあるのか、漕いでも漕いでも、なかなか突切れないのです。
「いけない。風が吹いて来たよ。ホラ、あんな大きな波が……」
 哲雄君が叫びました。三人の頬にサーッと風が吹きつけました。そして、見る見る黒い波が高まり、ボートは矢のように流されるのです。
「哲雄君、代っておくれよ、僕はもうだめだ」
 保君が弱音をはきました。そして、今にもひっくりかえりそうなボートの中で、やっとのことで哲雄君と席を代りましたが、しかし、いくら漕ぎ手が代っても、風と潮流と二重の力におし流されるこのボートを、どう漕ぎ返すことが出来ましょう。それに哲雄君は三人の中で一番かしこいかわりに、力は一番弱いのです。太いオールととっ組みあって、今にもうしろに倒れそうに見えます。
 舵手(コクスン)の前にうずくまっていた犬が、このさわぎにおびえて、悲しい声で吠えはじめました。風の音、波の響、遠吠に似た犬の声、右から左からおそいかかって来る、大入道のような波頭、その中を吹き流され、おし流される小さなボート。もうこうなっては、いくらがんばっても、子供の力ではどうすることも出来ません。
「ア、いけない」
 哲雄君のけたたましい叫び声が聞えました。
「エ、どうしたの?」
「オールを流しちゃった。ア、あすこだ」
 哲雄君は夢中になって、ボートから体をのり出し、流されたオールを拾おうとしましたが、ちょうどその時、ドーッとおしよせた大波に、ボートがガクリと横倒しになったものですから、ハッとして身を引くと、その間に、オールは黒い波に呑まれて見えなくなってしまいました。
 あとにはオールがただ一本。一本のオールでは漕ぐわけに行きません。いよいよ運のつきです。泣いたとて、わめいたとて、遠く海岸をはなれた真夜中の海の中、誰が助けに来てくれるものですか。
 それに、アアどうすればいいのでしょう、さいぜんまで星のようにきらめいていた、メナド港の燈火さえ、いつしか見えなくなっているではありませんか。ボートはもう、それほど遠くおし流されてしまったのです。
 ただ一面の闇の中、黒い風、黒い波、その恐しいざわめきにまじって、子供の泣声が聞えて来ました。一番無邪気な保君が、犬といっしょに泣いているのです。
 一郎君も哲雄君も、その悲しげな声を聞きますと、胸の底からグーッと何かがおし上げて来て、ポロポロと涙が流れるのを、どうすることも出来ませんでした。
 三人は声をそろえて泣き出してしまったのです。なつかしいお父さまやお母さまの名を呼んで、まるで赤ん坊のように、泣き叫ぶのでした。そのまにも、ボートは暗闇の沖へ沖へと、行方(ゆくえ)もしらず流されて行くのです。矢のようにおし流されて行くのです。アア、かわいそうな三少年の運命は、一体どうなることでしょうか。

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