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新宝岛-黄金国

时间: 2021-10-16    进入日语论坛
核心提示:黄金の国 三人は洞窟の入口から五六歩あとにさがり、猟銃を持っている一郎君は、その銃を両手にかまえて、怪物にねらいをさだめ
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黄金の国


 三人は洞窟の入口から五六歩あとにさがり、猟銃を持っている一郎君は、その銃を両手にかまえて、怪物にねらいをさだめました。犬のポパイも、しっぽをあと脚の間にはさんであとじさりしながら、けたたましく吠え立てます。
 怪物はますます高い声を立てて、洞窟の奥から入口の方へ這い出して来ました。そのものは、頭も顔も一面に赤ちゃけた毛がモジャモジャと生えていて、口も鼻もわからないほどですが、ただ二つの目ばかりは、きちがいのように不気味に光っています。不思議なことにはその大きな目は、青い色をしているのです。
 少年達は一瞬間、あのオランウータンという大猿に出くわしたのだと思いました。一郎君はあまりの恐しさに、無我夢中で、銃の引金に指をかけました。
 でも、今にも発砲しようとして、ふと気がつきますと、怪物はボロボロに破れたシャツのようなものを身にまとっていることがわかりました。猛獣オランウータンがシャツを着ているなんて、なんだか妙ではありませんか。
 そうして、ためらっている時、そばにいた哲雄君が、又別の事に気づいて、一郎君の腕をつかみながら、あわただしく叫びました。
「一郎君、うっちゃいけない。あれは人間だよ。ホラ、何か言っている、けもののうなり声とはちがうよ」
 三人は思わず耳をすましました。ポパイの声がやかましくて、よくは聞きとれませんが、怪物はたしかに何か物を言っています。しかし、その意味はまるでわかりません。日本語ではないのです。
 哲雄君はすばやく頭をはたらかせて、そのわけのわからない言葉と、さいぜんの十字架に彫りつけてあった外国語とをむすびつけて考えました。
「ア、わかった。あれは西洋人だよ。青い目をしているから、野蛮人じゃなくて、ヨーロッパかアメリカの文明人だよ」
 少年達はそれとわかると、いくらか安心して、オズオズと怪物に近づいて行きました。ポパイも主人達の様子を見て、吠え立てるのをやめました。
 怪物の方でも、少年達の気持がわかったのでしょう。モジャモジャのひげの中から、白い歯を見せて、笑いながら、しきりと何か言っています。
 洞窟の入口に近づいて、よく見ますと、それは背の高い、ひどくやせた西洋人で、破れたワイシャツに、泥まみれのズボンをはいていることがわかりました。顔も見わけられぬほど、濃いひげにおおわれているので、大猿かなんかのように見えたのです。きっと永い間剃刀(かみそり)をあてたことがないのでしょう。
 でも、この西洋人はどうして四つん這いになっているのでしょう。少年達が近づいて行っても、立上ろうともせず、洞窟の入口に這ったままこちらを見上げています。
 やがて、西洋人はひどい病気にかかっていることがわかって来ました。這っているのさえもたいぎらしく、間もなく、そこの地面に犬のように寝そべってしまったのですが、そのやせた肩が、息をするたびに、はげしく上下に動いています。
 洞窟の奥を見ますと、一方の隅に草や木の葉をつみかさねてベッドのようなものが出来ています。病気の西洋人は、きっと今までそこで寝ていたのにちがいありません。
 哲雄君はソッと西洋人の額の辺に手をあててみましたが、まるで火でも燃えているようにあついのです。
「この人熱病にかかっているんだよ。早くあの草の上へ寝させて上げよう」
 三少年は力をあわせて、西洋人を抱きかかえるようにして、洞窟の奥へつれて行き、草と木の葉のベッドの上に寝させました。
 西洋人はやわらかい草の上に、グッタリと横になって、苦しい中から無理に笑顔をつくりながら、何かしきりとお礼をいうのでした。
 少年達は、こうして、思いもよらぬ場所で、思いもよらぬ西洋人に出あい、お互に親愛の情を示し合ったのですが、困ったことには、言葉がまるで通じないものですから、事情を聞きただすことが出来ません。
 でも、お互に手真似をしながら、永い間かかって、やっと国籍だけは知り合うことが出来ました。西洋人が「イングリッシュ」という言葉を何度もくりかえすのを聞いて、哲雄君はイギリス人にちがいないと判断したのです。英語はまだ習っていませんでしたが、イギリス人のことを英語で「イングリッシュマン」というのだと、何かの本で読んだことを思い出したのです。
 そこで、こちらも、「ジャパニーズ、ジャパニーズ」とくり返して、日本人であることを相手に知らせました。
 無人島とばかり思いこんでいたこの島に、人間がいたのです。たとえ言葉の通じない病人にもせよ、少年達がなつかしく思ったのはいうまでもありません。水をくんで来てのませてやったり、木の葉や枯草を拾いあつめて来て、ベッドの寝心地をよくしてやったり、見知らぬ外国人を、まめまめしく介抱するのでした。
 それにしても、このイギリス人は、どうしてこんな所に、一人ぼっちで病気をしていたのでしょう。いったい何のために、どこからこんな山の上へやって来たのでしょう。
 少年達はいろいろ手真似をしてそれをたずね、イギリス人も、やはり手真似で答えようとするのですが、どうしてもその意味がわかりません。
 しばらくすると、イギリス人は、ふと思いついたように、草のベッドの下に入れてあった、一冊の大きな手帳を取出して、鉛筆で、それに絵を描きはじめました。絵で話をしようというのです。少年達はその意味をさとって、一心にその手帳をのぞきこみました。
 イギリス人はベッドにあおむけに寝たまま、手帳を開いて、胸の上に立てるように持って、熱病にふるえる手で、まずい絵をいくつもかきつづけるのです。
 岩の多い海岸に沈没している帆船の絵、その乗組員達の乗ったボートが、嵐のために沈んでいる絵、二人の西洋人らしい男が、荒波の中を泳いでいる絵、その二人の西洋人が、椰子の木の立ち並んでいる下で、何かたべている絵、一人の西洋人が、グッタリと死んだようになったもう一人の西洋人を抱いて、大きな涙の玉をポロポロこぼしている絵、一人の西洋人が土を掘って、木の十字架を立てている絵。
 そういう絵を次々とかいて、その間にはいろいろ手真似をして見せるので、少年達にもだいたいの意味がわかりました。
 つまり、二人の西洋人が、沈没船から、この島の砂浜に泳ぎついて助かったのです。たくさんの乗組員が皆おぼれ死んだ中で、二人だけが命びろいをしたのです。
 沈没船というのは、少年達が道具や食料を運び出した、あの断崖の下の沈没船にちがいありません。
 二人の西洋人は、この島に泳ぎついて、それから永い間、二人だけの淋しい暮しをつづけたのでしょう。そして、どれほどの日数(ひかず)がたったかわかりませんが、二人のうちの一人が、病気かなんかで、死んでしまったのにちがいありません。そこで、たった一人生残ったこのイギリス人は、涙をポロポロこぼしながら、その友達の死骸を湖の岸に埋めて、その上に十字架をたてたのです。そして、今では、生残ったイギリス人も、重い病気にかかって、一人淋しく洞窟の中に横たわっていたというわけなのです。
 少年達は、あの沈没船に残っていた衣類などから、支那人の船とばかり思っていましたが、それではイギリス人の船だったのかと、手帳を借りていろいろの絵をかいたり、手真似をしたりして、たずねてみますと、やはり船には支那人ばかりが乗組んでいて、その中に二人だけイギリス人がまじっていたのだということがわかりました。
 事情がはっきりしますと、少年達はいよいよこのイギリス人に同情しないではいられませんでした。
「この人を一人ぼっちにしておくわけには行かないから、いっそ僕達の方で、ここへ引越しをすることにしようじゃないか」
 一郎君がその考えを話しますと、ほかの二人もたちまち賛成しました。イギリス人の洞窟は、海岸の少年達の洞窟と同じ位の広さですから、ここを新しいお家にしても、すこしも不便ではありません。それに、大きな湖水を目の前にひかえていて、飲み水もそこからくむことが出来ますし、見はらしもよく、海岸の洞窟よりは、ずっと居心地がよいように思われます。
 相談が一決して、病人のみとりは哲雄君が一人で引受け、ほかの二人は、ポパイをつれて大いそぎで山をくだって、海岸の洞窟から入用(いりよう)の品々を運ぶことになりました。
 むろん一度には運びきれませんから、翌日も山をのぼったりおりたりして、何度にも運んだわけです。例の眼鏡猿と鸚鵡も、新しいお家へつれて来られたことは申すまでもありません。
 それから五日ばかりの間、三人はこのひげむじゃのイギリス人と同じ洞窟に、家族のようにして暮しました。今では日本とイギリスとは仲のよい国とは言えませんけれど、たとえ敵性を持つ国の人でも、国民の一人一人をにくむことはないのですし、(こと)にこういうあわれな境遇にいる人を、介抱しないで捨てておくわけには行きません。三少年は心から、この気の毒なイギリス人を看護してやりました。
 イギリス人も、少年達の親切に深く感じたらしく、少年達にもわかる「サンキュー、サンキュー」(ありがとうという英語)を、折さえあればくりかえして、ポロポロと涙さえこぼしているのでした。
 その五日の間には、お互にだんだん手真似もわかるようになり、手帳に絵をかいて話をするやり方も上手になって、少年達もこれまでの恐しい身の上話をして聞かせますし、イギリス人の方でも、いろいろと詳しい物語をするのでした。
 そうして、わかったところによりますと、イギリス人は二十年も海の上ばかりで暮して来た船乗で、世界中を航海してまわり、いろいろ面白い話やおそろしい話を知っているということでした。年は四十五歳で、ヘンリーという名前、十字架の下にねむっている友達は四十二歳で、アントニーという名前だったということもわかりました。
 ヘンリーとアントニーとは、五六年も前から、一度この島へ来たい来たいと思っていたのですが、よい折がなく、今度やっと支那人の船にたのんで、普通の船は近よりもしないこの島へ上陸させてもらうことになったのです。
 ところが、島の近くまで来た時、大嵐にあって、船は沈没する、乗組員は皆おぼれてしまうというさわぎが起り、ヘンリーとアントニーの二人だけが、九死一生の思いで、島の海岸に泳ぎついたというのです。
 では、二人のイギリス人は、どうしてそんなにこの島へ来たがっていたのかといいますと、それには深いわけがあったのです。二人はこの島の中にかくされている莫大な宝物を探すためにやって来たというのです。
 ヘンリーは例の手帳に、この島の見取図らしいものをかいて、少年達に示しました。ここが少年達の上陸した海岸、ここが少年達ののぼって来た山、ここがヘンリーの洞窟、ここが湖と、いちいち手真似で教えて、その湖の向側に、四方を大きな高い山でとりかこまれた、丸い平地の形をかいて、その丸の中にたくさんの人間の姿をかきあらわしました。
「オヤ、それじゃ、この島は無人島ではなくて、山のむこうに土人が住んでいるのかしら」
 と、びっくりして、手帳を見つめていますと、ヘンリーは、その人間の姿から、スーッスーッと四方に線を引いて、仏像の後光のようなものを書き加え、「ゴールド、ゴールド」と、さも一大事のようにくり返していうのです。
 少年達は「ゴールド」というのは「金」という意味の英語であることを知っていました。
 すると、この島の山と山とにはさまれた、お盆のような平地に住んでいる土人は、金のように光っているのかしらと考えましたが、しかし、そんな金色(きんいろ)の人間なんて、あるはずがありませんから、きっと土人の身につけている衣類が金色なのだろうと察しました。
 哲雄君が、自分のシャツをひっぱって見せて、「ゴールド?」とたずねますと、ヘンリーは、何度もうなずいて、そうだと答え、又手帳に一人の大きな人間をかきましたが、その人間は、妙な(よろい)のようなものを着て、丸い(かぶと)のようなものをかぶっているのです。そして、ヘンリーは、その鎧と兜が黄金で出来ているのだということを、はっきり示しました。
「変だなあ。この小父さん、熱にうかされて、夢でも見たんじゃないかしら。こんな島に、金の鎧を着た土人が住んでいるなんて、まるで童話みたいじゃないか」
 一郎君がそういいますと、ほかの二人の少年も、ばかばかしいというように、笑い出しました。ところが、それを見たヘンリーは、いきなり大きな目をむいて、少年達をしかるようににらみつけました。そして、真剣な顔をして、けっしてうそではないという身振りをして見せるのです。

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