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新宝岛-没有人的国度

时间: 2021-10-16    进入日语论坛
核心提示:人間のいない国 三人はしばらくの間、この夢のような美しい景色に、見とれていましたが、いつまでもそうしているわけには行きま
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人間のいない国


 三人はしばらくの間、この夢のような美しい景色に、見とれていましたが、いつまでもそうしているわけには行きません。やがて、低い木のしげみを分けて椰子の林にもどり、もとの海岸に帰りつきました。
「ともかく、この海岸をずっと歩いてみようじゃないか。ひょっとしたら村かなんかがあるかもしれない。土人といっても、みんな人喰人種ときまっていないんだからね」
 一郎君のそういう意見にしたがって、三人は海岸を出来るだけ遠くまで歩いてみることにしました。まず右の方へ道をとって、岩の多いでこぼこ道を、五六百メートルも行きますと、とつぜんそこで平地がつきて、けわしい岩山がそびえ、その海に面した方は、何の足がかりもない断崖になっているところに出ました。そこで、一まずその方へ進むことは見合わせて、又元の場所へもどり、今度は左の方へ海岸づたいに歩いてみましたが、三十分ほど行きますと、こちらも同じように高い岩山になっていることがわかりました。
「アア、僕たちは運がよかったんだねえ。ボートが少しどちらかへ寄って、ふきつけられたら、こんなひどい断崖だもの、とても助かるみこみはなかったんだよ」
 哲雄君がいうとおり、遠浅になった(たいら)かな海岸は、三人が流れついた二キロあまりの間だけで、そのほかはズーッと恐しい断崖がつづいているらしいのです。
 岩山はそのまま、だんだん高い山になって、ズーッと奥の方までつづいていますので、まわり道をして向側に出るわけにも行きません。むこうへ行こうとすれば、どうしてもそのゴツゴツした、あぶない岩山をよじのぼるほかはないのです。
 三人はさいぜんから、あつい日に照らされて、ずいぶん歩きまわったので、すっかりつかれてしまって、のどもかわいていました。
「ねえ、少しやすもうよ。僕はもう一度椰子のつゆが飲みたくなった」
 保君がまた弱音をはきました。椰子の林はそのへんまでもつづいていて、海岸から百メートルも森の方へ行けば、おいしい椰子の実がどっさりなっているのです。
 一郎君や哲雄君も同じ思いでしたから、すぐ賛成して、岩山のすそづたいに、海岸をあとにして、椰子林の方へ歩いて行きましたが、林の入口にさしかかった時、とつぜん、哲雄君がさけびました。
「ア、見たまえ。あすこに大きな洞穴があるぜ。なんだろう」
 見ると、なるほど、岩山のすその少しくぼんだあたりに、大きな洞穴が真黒な口をひらいているのです。
「なにか動物がすんでいるのかも知れないね」
 保君はもう逃腰になりながら、てれかくしのように、妙な身ぶりをして、キョトンとした顔でいいました。
 それを聞くと、ほかの二人も思わず立ちすくんで、そのまま一分間ほども、おしだまって、洞穴を見つめていましたが、やがて、一郎君が安心したような声でいうのでした。
「大丈夫、大丈夫。ごらん、ポパイがこんなにおとなしくしているじゃないか。もしあの中に何か生きものがいるとすれば、ポパイがだまっているはずがないよ。大丈夫だよ。一つあの洞窟の中を探検してみようじゃないか」
 一郎君はこういうことにかけては、なかなか考えぶかい上に、三人の内では一番勇気があり、決断力もすぐれていました。一郎君は例のジャックナイフを開いて、万一の場合の身がまえをしながら、先に立って洞穴に近づき、しばらくその中をのぞきこんでいましたが、やがて、まっくらな穴の中へ姿を消してしまいました。すると、それにつづいて、ポパイも勢いよく洞穴の中へ飛びこんで行きましたが、しばらくすると、一郎君の姿が穴の入口に現れて、大きな声で呼び立てました。
「オーイ、早くおいでよ。すばらしいお(うち)を見つけた。僕らはこの穴をお家にするといいよ」
「なんにもいないの?」
 保君はまだビクビクしています。
「いるもんか。虫けら一匹だっていやしない。それに、この中は涼しくって、そりゃあいい気持だよ」
 保君と哲雄君は、いきなりかけ出して、穴の中へ入って行きました。
「ヤア、すてきだ。ちゃんとお部屋のようになっているんだね」
 保君は穴の中を見まわして大喜びです。
 そこは十畳敷ぐらいの広さで、天井の高さは二メートルあまり、床はだいたい平になっていて、岩で出来たお部屋といってもいいような、三人の住まいにはちょうどおあつらえ向きの場所なのです。
「つめたくていい気持だね。僕はここで寝ようっと」
 保君はおどけた顔をして、ゴロッと岩の床の上にころがったかと思うと、うつぶせになって、頬杖(ほおづえ)をついて、両足をバタンバタンとやって見せました。
 一郎君と哲雄君も、笑いながら岩のかべにもたれて足をなげ出し、つかれをやすめました。犬のポパイまでが、まねをして、つめたい岩の上に長々とねそべるのでした。そして、三人はしばらくの間、のどのかわきも忘れて、そのすばらしい住宅をほめたたえるのでした。
「今夜はここで寝ることにしようよ。ここなら大丈夫だよ。あの入口の穴を何かでふさいでおけば、どんな猛獣だって、野蛮人だって、僕たちをどうすることも出来やしないよ。それに、雨が降っても大丈夫だし」
「ウン、そうだ。これは僕たちの岩のお城だね」
歩哨(ほしょう)にはポパイという強い奴がいるしね」
 三人は口々にそんなことをいい合って、まずまずこれで安心と、胸をなでおろすのでした。
「でもね、僕は一つ心配なことがあるんだよ」
 しばらくして、哲雄君が考えぶかそうな顔でいい出しました。
「エ、心配なことって?」
 保君がうつぶせになっていた顔を、ヒョイと持ちあげて、眉をしかめて聞きかえします。
「君たちは野蛮人、野蛮人っていうけどね、ここには野蛮人だっていないかも知れないと思うんだよ」
「野蛮人がいなけりゃ、なおいいじゃないか」
「そうじゃないよ。野蛮人でもなんでも、人間がいてくれれば、僕たちは何とか工夫して助かる見込があるんだけど、人間が一人もいないとすると、僕たちは、ホラあのロビンソンクルーソーのお話とおんなじになってしまうじゃないか。ロビンソンクルーソーはあの淋しい無人島に二十五年も一人ぼっちでいたんだよ。二十五年目にやっとフライデーという野蛮人を手下にして、やっと二人になったんだ。そして、助けられてイギリスの本国へ帰ったのは三十五年目なんだぜ」
「それじゃ君は、ここが無人島だっていうの?」
「ウン、そうじゃないかと思うんだ。あれだけ歩きまわって一人の人間にも出あわなかったし、砂の上に人の足あともなかった。どちらを見ても、家らしいものはないし、煙も立っていないし、まるで死んだように静まりかえっているじゃないか。無人島でないにしても、人間の住んでいるところからは、ずいぶん遠いんだよ」
「もし無人島とすれば、僕らはどうなるんだろう」
「三人のロビンソンクルーソーになるんだよ」
 そのままぷっつり言葉がきれて、三人ともおびえた目を見かわして、だまりこんでしまいました。
 読者諸君、その時の三人の心持がどんなだったか、おわかりになりますか。ロビンソンのお話は、読んだり聞いたりしては、たいへん面白く思われますが、もし自分がそんな身の上になったとしたらどうでしょう。
 お父さまやお母さまは、ちゃんと日本にいらっしゃるのですが、そこへ行くことも、手紙を出すことも出来ないのです。先生やお友達にももうあえないのです。それも一月や二月ではありません。ロビンソンは三十五年も島から外へ出られなかったではありませんか。三十五年といえば三人の少年が青年になり、大人になり、今のお父さまよりもっと年よりになってしまうわけです。その長い長い間、ただ三人きりで、世界中の誰もしらない淋しい島で暮らさなければならないのです。
 それでもロビンソンはおしまいには本国へ帰れたからよかったのですが、もしここが近くを船も通らないような無人島だとすれば、三人は生きているうちに、日本へ帰れるかどうかさえ、わからないわけです。
 三人の少年の前から、とつぜん人間の住んでいる世界が消えてなくなったのです。世界には、たくさんの人間がにぎやかに暮らしているのに、その人達に今の身の上を知らせることも、助けをもとめることも出来ないのです。まるでまったく別の世界へ……そうですね、たとえば月の世界へ流しものにされたのも同様ではありませんか。
 三人はそれを考えると、何ともいえない淋しい気持になりました。淋しいよりもこわいのです。何ともいえない、心の底が寒くなるような恐しさです。
 日はカンカンとてりつけています。空は青々と晴れわたっています。海岸の砂は真白にかがやいています。海は弓なりの水平線をえがいて、はてしもなくひろがっています。うしろの山には緑の森がどこまでもつづいています。それは私達の世界と同じですが、ただ一つ足りないものがあるのです。人間です。人間のまったくいない世界なんて、考えただけでも恐しくなるではありませんか。
 三人はながい間、一ことも物をいわないで、じっと考えこんでいましたが、やがて、一番気持のしっかりしている一郎君が、思いなおしたように、キッと[#「キッと」は底本では「キット」]顔をあげました。
「よそうよ。まだ無人島だかどうだか、はっきりわかりもしないのに、つまらない心配するのはよそうよ。たとえ無人島にしたって、僕たちは三人なんだ。一人ぼっちのロビンソンとはちがうよ。三人が力をあわせて助けあえば、どんな苦しいことだって、恐しいことだって、がまん出来るよ。
 それからねえ、もっといいこといってあげようか。もしこの島が無人島だったら、僕たちはここを占領して王様になれるんじゃないか。王様になって、この島を治めて、そして日本の国旗が立てられるんだよ。すばらしいじゃないか。ねえ、哲雄君、そうだろう。保君、みっともない泣顔なんかするんじゃないよ。サア、元気を出して、又木のぼりをして、おいしい椰子の実を取っておくれよ」
「ウン、そうだね。一郎君はやっぱりえらいなあ。僕も考えなおしたよ。ロビンソンを見ならうんだ。ロビンソンは一人ぼっちで、舟もつくるし、稲もうえるし、牧場までつくって、無人島をすっかり住心地のよいところにしてしまったんだからね。僕たちもやろうよ。ねえ保君、早く椰子の実を取っておくれよ。そして、おなかがくちくなったら、三人でゆっくり、これからのことを相談しようじゃないか」
 哲雄君も、しょげている保君をはげますようにいいました。
 保君だって、チャメのター公の名にかけても、いつまでも泣顔してなんかいるわけにはゆきません。いきなりピョコンと飛びおきると、
「よし。じゃあ君達も下へ来て受けとるんだよ」
 と、さけんだかと思うと、いきなり兎のように洞穴の外へ飛出して行きました。
 そして、三人は又あのおいしい椰子の実のつゆをすすったのですが、その時はちょうど真昼で、外を歩きまわるのは熱くてしかたがありませんので、夜になってどんなことが起るかも知れないのだから、今の間に眠っておこうということになり、三人はすずしい洞穴の中にころがって、三時間ほどぐっすり昼寝をしました。
 そして、目をさました時には、太陽も西にかたむき、海岸の砂の照り返しも、いくらか弱くなっていましたので、三人はまずそこの岩山にのぼってみることに相談をきめました。岩山の上から見わたせば、島の様子がもっとよくわかり、人が住んでいるかどうかも、たしかめられると考えたからです。
 岩山はずいぶん急ではありましたが、でこぼこが多いので、そこへ手と足をかけて、よじのぼれば、のぼれないことはないのです。先頭をうけたまわったのは、木のぼりの名人保君です。さすがに名人だけあって、実に身軽に、ヒョイヒョイと岩角から岩角へとつたって、のぼって行きます。まるで猿のようです。それにつづいて一郎君、力の弱い哲雄君はびりっこけです。
「オーイ、早く、早く、たいへんだよ。大きな船が、アレアレ横っ倒しになって沈んでいるよ。早く来てごらん」
 いつの間にか頂上にのぼりついた保君が、大声にわめき立てました。
「エ、船だって?」
「ウン、帆前船(ほまえせん)だよ。メチャメチャにこわれている。マア、早く来てごらん」
 一郎君と哲雄君は、この驚くべき知らせに、にわかに活気づいて、大急ぎで頂上によじのぼって、保君の指さす方を眺めました。
 岩山の海に面した側は、先にもいった通り高い断崖になって、それがズーッとむこうの方までつづいているのですが、断崖の前の海面には、大小さまざまの形の岩が、ニョキニョキ頭を出していて、それに波頭がぶつかって、白く泡立っています。その内の大きな二つの岩にはさまれて、一艘の帆前船が沈んでいるのです。
 帆柱は折れ、甲板上のいろいろな道具は何もかもメチャメチャにこわれ、船体の三分の二は海に沈んで、舳先の方だけが、ニューッと海面につきだしているのです。
「昨日のあらしにやられたんだね。僕たちも、ここへ吹きつけられたら、あの船と同じ目にあっていたんだね」
 保君が柄になくしんみりした声でいいました。
「帆前船だというので、僕はあの海賊船かと思ったが、そうじゃないね」
「ウン、まるでちがうよ。海賊船はもっと大きいし、色もちがうよ」
 その時、じっと沈没船を見つめていた哲雄君が、はじめて口をききました。
「僕たち、あの船へ行ってみようじゃないか。もしあの中に、まだ生きている人があったら、助けてあげなければ」
「でも、どうして行くの? このけわしい断崖をおりることなんか、とても出来やしないよ」
「ボートで行けばいい。僕たちのボートは砂に埋まっているけれど、まだこわれてやしないんだから」
「アア、そうだね。でも、オールがないぜ。一本は君が流してしまったし、あとの一本もあらしで、どっかへなくなってしまったから」
「一郎君のよく切れるジャックナイフがあるじゃないか。あれで、手頃の木を切って、オールを作ればいいよ」
「ヤア、たいへんだなあ。そんなことしてたら、一日も二日もかかってしまうぜ」
「そりゃそうだよ。でも、二日かかっても、三日かかっても、僕たちにはそのほかに手だてがないんだから、やっぱりオールをつくるほかはないよ。ロビンソンをごらん、四箇月もかかって、丸木舟を造ったんだぜ」
 結局、哲雄君の考えぶかい意見にしたがって、オールを造ることに相談がまとまりました。なんという気のながい話でしょう。でも、少年たちには、それよりほかにしかたがなかったのです。

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