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点と線(四)東京から来た人04

时间: 2018-01-12    进入日语论坛
核心提示:4 鳥飼重太郎は、午前中に一つの仕事をした。 彼は署を出ると、市内電車で箱崎まで行き、そこから競輪場前駅まで歩いた。この
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 鳥飼重太郎は、午前中に一つの仕事をした。
 彼は署を出ると、市内電車で箱崎まで行き、そこから競輪場前駅まで歩いた。この電車は、津屋崎(つやざき)という北海岸の港まで通じていて、西鉄香椎駅は、その途中なのだ。
 うららかな日で、冬には珍らしく暖かかった。
 重太郎は駅長室に名刺を通じた。
「どういう御用件ですか?」
 まるまると肥えた赭(あか)ら顔の駅長が、机の向こうからきいた。
「一月二十日の二十一時三十五分の西鉄香椎着の電車は、ここを何時に発車ですか?」
 重太郎は、言った。
「二十一時二十七分です」
 駅長は言下に答えた。
「そのときの改札の係の人にききたいことがあるのですが、いま、いますか?」
「さあ」
 駅長は、傍の助役に調べさせた。勤務表で名前がわかり、その係がいま来ていることが知れた。助役が呼びに行った。
「何か事件ですか?」
 待っている間に駅長がきく。
「ええ、ちょっと」
 出された番茶を一口飲んだ。
「たいへんですなあ」
 若い駅員がはいってきた。駅長の前に直立して敬礼した。
「この男ですよ」
 と、駅長は重太郎に言った。
「そうですか。どうもわざわざ恐縮です」
 重太郎は、若い駅員に向かった。
「あなたは二十日の二十一時二十七分の電車の改札をしましたか?」
「ええ。勤務しました」
「そのとき、三十歳ぐらいのオーバーの男と、二十四五歳ぐらいの和服の女の一組を見ませんでしたか」
「さあ」
 駅員は、目をしばたたいた。
「オーバーを着ていた人は多いし、どんな色かわかりませんか?」
 と反問した。
「それはね、濃紺のオーバーに、茶色のズボンです。女は鼠色の防寒コートに、海老茶色の着物を着ていました」
 重太郎は死体の着ていた服装を言った。駅員は目を宙(ちゆう)に向けて考えるような顔をした。
「どうも思いだしません。われわれは切符を切る手もとばかり見ているので、何か変わったことでもなければ、お客さんの顔はあまり見ないのです。それに、ここは始発だから、改札が開くと同時に、乗客がつづいてホームにはいるのです」
「でも、あの時刻は、そう客は混んでいなかったでしょう?」
「そう。三四十人ぐらいだったでしょうか。いつもそのくらいです」
「女の人は近ごろは洋装が多く、和服は少ないと思うが、どうですか、思いだしませんか?」
「どうも、はっきりおぼえていません」
「よく、考えてください」
 重太郎はねばった。
 しかし、駅員は、小首をひねったあげく、どうしても思いだせないと言った。重太郎は、ふと、あることを思いついた。
「じゃ、その時の改札で、あなたの知った人はいませんでしたか?」
「そうですな。それはいました」
「え。いた? 名前がわかっていますか?」
「ふだんから知っている人ですから、名前も住所もわかっています。三人だけですが」
「それはありがたい。教えてください」
 重太郎は、駅員の言うその人たちの名前と住所を書き取った。それから礼を述べて駅長室から出た。重太郎の足で歩く活動がはじまった。三人の住所はいずれも沿線である。彼は、和白(わじろ)と新宮(しんぐう)と福間(ふくま)の各駅に降りた。
 和白の男は、こう言った。
「私は二両連結の前部に乗っていましたがね、鼠色の防寒コートの女の人は二人いましたよ。一人は四十歳ぐらいの人、一人は二十六七歳でした。でも、その両側は会社帰りらしい女の子でした。濃紺のオーバーの男というのはいなかったように思います」
 重太郎は、ポケットからお時の写真を出して見せた。
「その若い方のコートの女はこれではありませんか?」
「違います。全然、違う顔でした」
 つぎに、新宮の男は、後部に乗っていたと答えた。
「防寒コートの女? さあ、よくおぼえてませんね。いたような気もしますが。なにしろ、すぐ眠りましたからね。男の濃紺のオーバーも気がつきません」
 重太郎は、被害者の二枚の写真を見せたが、まったく記憶がないと答えた。
 最後の福間の乗客はこう言った。
「私は後部にいましたがね、防寒コートの女が一人のっていましたよ。そう、二十五六、ぐらいでしょうな」
「鼠色でしたか、コートは?」
「色までおぼえませんが、防寒コートはたいていそんな色ですからな。そうかもしれません。横の男とさかんに話していました」
「男と? どんな男ですか?」
 重太郎は勢いこんだが、答は肩すかしであった。
「夫婦でしょうか、男は四十以上の年輩でした。大島の絣(かすり)の着物をぞろりと着ていましたよ」
 例によって写真を見せたが、こんな顔ではなかったと言った。濃紺のオーバーの男が乗客にいたかどうか、はっきりおぼえない、ともつけ加えた。──結局、その電車にお時と佐山が乗っていたという確証を重太郎はつかめずに、彼は肩を落として博多にもどった。
 重太郎が、疲れて本署に帰ってくると、
「あ、鳥飼君。いま、東京の警視庁の人が来て、君に会いたがっておられるよ」
 と、部長が待っていたとばかり、机の前から立ちあがって呼んだ。
 部長の横に、若い背広服の見知らぬ男が、微笑してすわっていた。
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