そう言われて耳を疑った。義父のがんの再発が判明したというのに、10歳の息子は何を言っているのか?
「頭おかしいんちゃうかっ!」
怒鳴ろうと思ったその瞬間、
「早期発見できて、よかったやんな。」
もう一度息子が言った。
怒鳴ろうとした自分が、恥ずかしくなった。そんな素敵な「よかった探し」をしてくれた息子に感謝した。
そうだ、その通りなのだ。腫瘍がまだ1センチの早期なので、開腹手術ではなくラジオ波で焼ききるという。6センチもの腫瘍を摘出した前回に比べれば、入院も短くてすむし、体への負担もずっと少ないだろう。楽天的な妹に比べてなにかとネガティブだった息子が、こんな前向きな考え方ができるようになっていたことに感動した。
子育ては、素敵なサプライズの宝庫である。