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海が呼んだ話(1)

时间: 2022-09-01    进入日语论坛
核心提示:一 自転車屋じてんしゃやのおじさんが、こんど田舎いなかへ帰かえることになりました。清吉せいきちや、正二しょうじにとって、
(单词翻译:双击或拖选)
 


 自転車屋じてんしゃやのおじさんが、こんど田舎いなかかえることになりました。清吉せいきちや、正二しょうじにとって、したしみのふかいおじさんだったのです。三輪車りんしゃ修繕しゅうぜんもしてもらえば、ゴムまりのパンクしたのをなおしてもくれました。また、そのいえゆうちゃんとはおともだちでもありました。おじさんは、いぬや、ねこがきでした。いいひとというものは、みんなものをかわいがるとみえます。
 ゆうちゃんは、こんど田舎いなか小学校しょうがっこうがるといいました。
ゆうちゃん、田舎いなかへいくのうれしい?」
「おともだちがなくて、さびしいや。ぼくも、おかあさんも、いきたくないんだよ。」
「どうして、田舎いなかへいくの。」
「おじいさんが、だんだんとしをとって、もう一人ひとり田舎いなかにおくことができないからさ。おじいさんは、東京とうきょうへくるのは、いやだというのだ。そして、むかしからんでいるところにいたいというので、しかたなくおとうさんが、かえることにしたのだよ。」
 ゆうちゃんのはなしいて、清吉せいきちも、正二しょうじも、ゆうちゃんのおとうさんを親孝行おやこうこうだとおもいました。
「このいえへは、親類しんるい叔父おじさんがはいるのだから、ぼく、またあそびにくるよ。」と、ゆうちゃんはいいました。
叔父おじさんのおうちは、どこにあるの。」と、正二しょうじが、きました。
叔父おじさんのいえは、ここから二十もあちらのはまなんだ。たいだの、さばだのあみにかかってくるって、ぼくのおとうさんが、いった。」
「その叔父おじさんは、また自転車屋じてんしゃやをやるの。」と、清吉せいきちがたずねました。
「さあ、それはわからないな。」
 ゆうちゃんのはなしぶりでも、とおはまから、まちてくるには、なにか子細しさいがあるようにかんじられたのです。しかし、そのわけは、わかりませんでした。ただ、にぎやかなまちから、さびしい田舎いなかかえるものと、また、ひろびろとしたうみ生活せいかつから、せまくるしいまちへやってこなければならぬものと、人間にんげんの一しょうらしには、いろいろの変化へんかがあるものだと、子供こどもたちにも、かんぜられたのでした。
 ゆうちゃんのいえが、田舎いなかしてしまってから、しばらく、自転車屋じてんしゃやのあとは、になっていました。
「いつ、ゆうちゃんの叔父おじさんは、してくるんだろうな。」と、正二しょうじも、清吉せいきちも、まっているいえまえとおるたびに、きながらおもいました。そのうちに大工だいくはいって、みせ模様もようえたり、こわれたところをなおしたりしていましたが、それができあがると、いつのまにかこざっぱりとした、乾物屋かんぶつやになりました。そして、チンドンなどがまわって、開店かいてん披露ひろうをしたのであります。
 海産物かいさんぶつのほかに、おちゃたまごっていました。おじさんというのは、まだわかく、やっと三十をこしたくらいにえました。それにひとりもので、いつもみせにさびしそうにすわっていました。
「おじさん。」といって、清吉せいきちや、正二しょうじや、ほかの子供こどもたちが、じきにあそびにいくようになったのも、一つは、ゆうちゃんの叔父おじさんだったというので、まったく他人たにんのようながしなかったからでもありましょう。
 なんでもめずらしいことをりたがる子供こどもたちは、このみせへやってくると、
「おじさん、うみはなしをしてよ。」といいました。
「は、は、は。」と、無口むくちのおじさんは、わらっています。
「おじさんは、うみそこはいったことがある?」と、正二しょうじが、きました。
「は、は、は。うみなかへは、毎日まいにちのようにはいったし、ちいさなふねって、とおくへりにいったこともある。」と、おじさんが、こたえました。
しょうちゃん、おじさんは、うみへくぐるのが、名人めいじんだって。そして、さんごや、いろんなかいや、さかななど、なんでもってくることができるんだって、いつかゆうちゃんがいったよ。」と、清吉せいきちがそばからいいました。
「え、おじさん、ほんとう?」
「うん、ほんとうだ。」
うみなか、どんなだい。うつくしい? みずなかでは、いきができないだろう。」
ふねから、機械きかい空気くうきおくるんだねえ、おじさん。」
「そうなんだよ。うみなかは、あかるくて、きれいさあ。」と、おじさんが、こたえました。
「どんなに、きれい?」
「そうだな、青白あおじろく、ぼうっとして、ちょっとくちにはいえないなあ。」
「いろんなさかなおよいでいるの。」
「うん、うえほうには、くらげが、かさのようなかたちをして、およいでいるし、すこしした岩陰いわかげには、たこが腕組うでぐみをして、かんがんでいるしな。もっとしたほうへいくと、あかさかなだのあおさかなだのいろいろのやつが、まるではやしなかをくぐるように、あいだをいったり、きたりしているのだ。」
「ふうん、きれいだな。水族館すいぞくかんへいってみたようなんだね。」
水族館すいぞくかんって、まだたことがないが、たぶんおなじものだろうよ。」
「おじさん、それでも、うみよりか、まちのほうがいいの?」
「それは、うみのほうがいいさ。」
「そんなら、なぜ、まちしてきたの?」
 こう、子供こどもたちがうと、おじさんは、それにはこたえずに、ただ、さびしそうに、わらっていました。
 ゆうちゃんの叔父おじさんは、としわかく、口数くちかずすくなかったけれど、まじめでありましたから、まちひとたちもだんだんこのみせをひいきにするようになりました。
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