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子供の時分の話(2)

时间: 2022-11-01    进入日语论坛
核心提示: そればかりでありません。私わたしの祖母そぼや、母親ははおやは、私わたしを家いえの前まえからけっして遠とおくへはやらなか
(单词翻译:双击或拖选)
 そればかりでありません。わたし祖母そぼや、母親ははおやは、わたしいえまえからけっしてとおくへはやらなかったのであります。
一人ひとりで、とおくへゆくと、ひとさらいがきてれていってしまうから、うちまえからとおくへいってはいけない。」と、つねにいいきかされていたのであります。
だから、あそともだちのない、ただ自分一人じぶんひとりのときは、ぼんやりとして、たるみちうえっていました。そして、だれかいっしょにあそともだちがてこないものかとっていました。
あるのことです。わたしは、やはりこうして一人ひとりさびしく往来おうらいうえっていました。けれど、いぬ一ぴきその姿すがたせなかったのです。ただみちうえには、なにかちいさないしらされてひかっていました。そして、とんぼが、かなたのはたけうえんでいるのがえたばかりです。
わたしは、退屈たいくつでしようがなかったのです。このとき、とおくでチャルメラのおとこえました。わたしは、びたつように勇気ゆうきづけられました。いくらそのおじいさんが無愛想ぶあいそうでも、ずっとむかしからこのむらにくるので、まったくのかおなじみであったから、けっして他人たにんのような気持きもちがしなかった。そのそばへいって、屋台やたいにさしてあるいろいろな色紙いろがみつくられた小旗こばたかぜになびくのをたり、チャルメラのおとこうとおもいました。また、きっとよそからも、ともだちがそこへあつまってくるにちがいないとおもったので、わたしは、さっそくけだしました。
城跡しろあとのところにいきますと、いつもおじいさんが屋台やたいろす場所ばしょ屋台やたいいてありました。そこからチャルメラのこえこえてきました。そして、今日きょうはいつもより、紫色むらさきいろかみ小旗こばたがたくさんにちらちらとえましたので、はやわった光景こうけいをながめたいとはしっていきました。
すると、それは、いつものおじいさんじゃありませんでした。わたしは、このはじめてるおじいさんを不思議ふしぎおもいました。おじいさんは、こっちをいて、にっこりわらっていました。そして、わたしがだんだん不思議ふしぎおもいながらちかづくと手招てまねぎをしました。そのおじいさんのかおは、しろくてひかっていました。わたしは、このおじいさんが、いつものおじいさんとちがって、愛嬌あいきょうがあるのにもかかわらず、なんとなく気味悪きみわるおもいました。
「さあ、おいでよ、おいでよ。」と、おじいさんはいいました。わたしは、自分じぶん一人ひとりだけで、ほかにともだちがなかったから、あまり屋台やたいには近寄ちかよらずに、はなれてぼんやりとっていますと、
「ここまでくると、おもしろいからくりをせてやる。さあさあはやくおいで、一人ひとりのうちはおあしをとらない。さあさあ、はやくおいで。」と、おじいさんはいいました。
わたしは、からくりをたさに、だんだんと近寄ちかよっていきました。
「さあ、そのあなからのぞき。だい一はあねおとうととが、母親ははおやをたずねて旅立たびだつところ。さあさあのぞき。一人ひとりのうちはおあしらない。」
わたしは、屋台やたいにかかっているはこあなをのぞいてみました。すると、旅姿たびすがたをしたあねと、おとうと二人ふたりうつったのであります。
「つぎは、途中とちゅうで、二人ふたり悪者わるものあうところ。」
と、おじいさんがいっていときますと、あおい、あおい、海原うなばらえて、おそろしい姿すがたをした悪者わるものが、まつかげかくれて、かなたからあるいてくる二人ふたりのようすをうかがっていました。
これから、どうなることだろうとおもっているうちに、おじいさんはあななかくらにしてしまいました。
「さあ、これから二人ふたりが、人買ひとかぶねせられておきしまへやられるところ、もっとさきまでいくとせますよ。さあ、いっしょにおいでなさい。」と、おじいさんは屋台やたいをかついで、おしろなかはいっていきました。
わたしは、悪者わるものが、あねおとうとをどんなめにあわせるだろうとおもうと、かわいそうになって、ついそれがたくて、あめりのあとについていきました。あたりはまったくはたけで、人一人ひとひとりとおらなかったのであります。
不意ふいに、おじいさんは屋台やたいろすと、わたしらえました。わたしはびっくりしてこえをたてるひまもなく、おじいさんはわたしくちぬぐいをて、もののいえないようにして、
「いいところへれていってやるから、おとなしくして、このはこなかはいっているのだ。」と、わたしはこなかれてしまいました。それをかついでおじいさんは、とっととみちあるいていきました。
せまい、身動みうごきもできないようなくらはこなかしこめられて、わたしはしかたなくじっとしていました。おじいさんは、どこをとおっているのだかわかりませんでした。そののちはチャルメラもかずに、さっさとあるいていました。
「あんまり、一人ひとりとおくへゆくと、ひとさらいにれられていってしまう。」といった、祖母そぼ母親ははおや言葉ことばおもされて、わたしは、しみじみかなしくなっていていました。
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