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死と話した人(2)

时间: 2022-11-04    进入日语论坛
核心提示: いつまでたっても、ほかに、だれも上(あ)がってこなかった。また、耳(みみ)を傾(かたむ)けても、汽笛(きてき)の音(おと)さえき
(单词翻译:双击或拖选)

 いつまでたっても、ほかに、だれも()がってこなかった。また、(みみ)(かたむ)けても、汽笛(きてき)(おと)さえきこえなかったのでした。
「いまにも、汽車(きしゃ)がきたら、ビーズがひざにあって、おばあさんは、どうして()()がるだろう?」
 そう(かんが)えると、いぶかしくなりました。(かみ)にもつつんでないから、みんな()にこぼれてしまうだろう……。ちょうど、そのとき、おばあさんが、(かお)()げました。あっと、(かれ)は、(おどろ)いた。なぜなら、二つの()は、(さかな)のうろこを()ったように、(しろ)く、(ひとみ)がなく、まったくの盲目(めくら)であったのです。
()だ! ()だ!」
 こう(さけ)んで、(かれ)は、(おか)()(くだ)りました。
       *   *   *   *   *
 (さむ)(よる)のことです。
 (あか)るい燈火(ともしび)(した)で、(エー)は、細君(さいくん)(はなし)をしていました。二人(ふたり)家庭(かてい)は、むつまじく、そして、平和(へいわ)でありました。それにつけて、(エー)(とも)だちの()は、いっそう、(かんが)えさせられたのです。
「ほんとうに、あの(かた)は、快活(かいかつ)な、陰気(いんき)なことの(だい)きらいのお(かた)でしたわ。それに、()ごろあんなに健康(けんこう)そうに()えましたのに……人間(にんげん)(いのち)というものは、わからんものですわね。」と、細君(さいくん)はいいました。
「ほんとうに、あの(おとこ)が、(きゅう)()のうなどとだれも(おも)うまいよ。彼自身(かれじしん)だって(おも)わなかったにちがいない。これをみても、こうして、無事(ぶじ)に、一(にち)(おく)られるということは、幸福(こうふく)なことだよ。」と、(エー)(こた)えました。
「もし、()ということがなかったら、人生(じんせい)は、どんなに幸福(こうふく)でしょう?」
「それは、そうでない。()があってこそ(せい)ということがあるのだ。()きているという意識(いしき)は、()(おそ)れを(ふか)()るものにだけ、それだけありがたいのだ。(よる)がなかったら、太陽(たいよう)(かがや)きはわかるまい。この二つは、自然(しぜん)(おお)きな(ちから)なんだ。」と、(エー)はいいました。
「あの(おとこ)は、この自然(しぜん)(ちから)について(かんが)えただろうか。」
 (かれ)は、そんなことも(おも)いました。
 だれか、(そと)()にさわったようなけはいがします。(エー)()()がって、出口(でぐち)()()けてみました。すると、そこに、(あたま)から、(くろ)着物(きもの)をかぶった()(たか)いものが()っているので、びっくりしました。
「おまえは、だれだ?」
()だ! この(うち)へはいろうかとのぞいていたのだ。(おれ)のことを(はな)したのも、みんな()いた。」
 (エー)心臓(しんぞう)は、(こおり)()で、ぐっと(にぎ)られたように、ぞっとして、ものがいえなく、ふるえていました。
「しかし、おまえたちは、(おれ)存在(そんざい)(わす)れないだけ感心(かんしん)だ。こんどだけは、はいるまい。」
 こう、()は、()ややかにいい(はな)って、(おお)またで(ある)いて()りました。
 (そら)には、こぼれ()ちそうに、(ほし)がきらきらとして、(ひく)くささやきながら、(かぜ)()いていました。

――一九二八・一〇作――

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