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少年の日二景(1)

时间: 2022-11-07    进入日语论坛
核心提示:少年の日二景小川未明おどろき池いけの中なかには、黄色きいろなすいれんが咲さいていました。金魚きんぎょの赤あかい姿すがたが
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少年の日二景

小川未明

おどろき


いけなかには、黄色きいろなすいれんがいていました。金魚きんぎょあか姿すがたが、みずうえいたりまるい葉蔭はかげかくれたりしていました。そして、いけのあたりには、しだがしげり、ところどころいしなどがいてありました。
ゆうちゃんは、いかにも金魚きんぎょたちがたのしそうにあそんでいるのをぼんやりながめていました。そのとき、やぶのほうから垣根かきねをくぐって、くろ一筋ひとすじいとのように、なにかはしってきたので、そのほうると、おおきなへびが、一ぴきのかえるをいかけているのです。かえるは、いまにもへびにらえられようとしました。ゆうちゃんは、かんがえるひまもなく、庭先にわさきりて、へびをなぐろうとおもって、ふとぼうげたのです。このあいだにかえるは、えんしたはいろうとしました。しかしへびは執念深しゅうねんぶかがすまいとしました。
ゆうちゃんは、ちからいっぱいたたきました。あわてていたので、ぼうはへびにあたらずに、つよ地面じめんをたたきました。するとへびは、かまくびげて、ゆうちゃんをにらみました。ゆうちゃんは、なんだかおそろしいがしたが、こうなっては、かえってどうにかしなければならぬというこって、またちかられてたたきました。
こんどは、へびのからだにあたったので、へびは、がるようにして、そばにあった一ぽんちいさなまつに、それはにもまらぬはやさで、くるくるきついて、あたまからだあいだかくしました。これをゆうちゃんは、あまり真剣しんけん姿すがたに、気味悪きみわるくなって、もうこのうえへびをいじめるにはなれなかったのです。
「さあ、もうたたかないから、はやくあっちへいけよ。」と、ゆうちゃんは、へびにかって、いいました。
へびは、そのままの姿すがたで、身動みうごきもせずに、じっとしていました。
「かえるは、どうしたろう。」と、ると、これも、精根せいこんがつきはてたように、南天なんてんしたに、じっとしていました。
ゆうちゃんは、二ひきとも、かわいそうになりました。なんといっても、人間にんげんがいちばんつよいのだ。だが、へびがかえるをべようとしただけに、へびがわるいのだろうと、おもったのです。
はやくいきな、もうだいじょうぶだ。」と、かえるに、いいました。
かえるは、たすけてもらったのをありがたくおもっているふうにえたが、いつのまにかいなくなりました。まだへびは、そのままじっとしてほそまつきついていました。
ゆうちゃんは、なんだか、いやながして、はやくへびもげていってくれぬかと、とおくへはなれて、そのようすをていると、へびは、しずかに、おとをたてぬように、からりて、垣根かきねほうかいました。
「ああよかった。」と、ゆうちゃんは、おもいました。なぜなら、もしへびがいけなかはいったら、どうしようかとおもったからです。そのうち、へびは垣根かきね横棒よこぼうへはいがり、そのうえつたって、やぶのほう姿すがたしてしまいました。
「かえるをたすけてやって、いいことをしたな。」と、ゆうちゃんは、こころなかで、よろこんでいました。
晩方ばんがた、おかあさんといっしょに、まちると、つつじのところで、おじいさんがほたるをっていました。
「まあ、おおきなほたるだこと。」と、おかあさんは、そのほたるのうつくしいのにびっくりなさいました。
ってね、おかあさん。」
「すぐ、にませんか。」
「だいじょうぶさ。」
そういって、ゆうちゃんは、五ひきばかりものにいれてもらって、かえりました。
そのよるいけのあたりのしだのかげくと、青白あおじろえるひかりが、いけみずうつって、それはみごとだったのです。
昼間ひるまおおきなへびが、かえるをのもうといかけてきたんだよ。」
昼間ひるまのことを、ゆうちゃんは、いえひとたちにかたりましたが、おもすと、ぞっとするような気持きもちがしました。
「へびは煙草たばこをきらうといいますから、たばこのこなを、垣根かきねのところにまいておくといいでしょう。」と、おかあさんが、おっしゃいました。
「ほんとう?」
ゆうちゃんは、へびがくるのをふせげるとって安心あんしんしました。
翌朝よくあさ、ほたるかごをると、一ぴきだけ、きてひかっているだけで、あとの四ひきは、んでいました。ゆうちゃんはかおあかいろせてしまった、んだほたるをかなしくなりました。そして、のこったほたるのためにあたらしいくさえてやりました。日中にっちゅうあつかったので、くさかげれてやりました。晩方ばんがたになると、その一ぴきもだいぶよわっていたのです。
「やはりほたるは、だめなのかなあ。」と、ゆうちゃんはおもいました。のこった一ぴきをどうしたらいいかとおかあさんに相談そうだんしました。
いけのほとりへはなしておやり。」
「おかあさん、それがいいですね。」
ゆうちゃんは、ほたるをかごからして、いけのあたりのくさめてやりました。ほたるは、いまさらのようにおおきなつよひかりしました。ちょうどとおくのきよらかなそらひかる、おほしさまのようでした。このとき、それはじつに意外いがいのできごとでした。
ぱくりとおとがしたかとおもうと、やみのうちからたかえるが、そのほたるをひとのみにしてしまったのです。
ゆうちゃんは、しばらく、かなしさも、腹立はらだたしさもわすれてしまいました。
ぼくが、へびをなぐったのは、まちがっていたろうか?」と、いまさら自然しぜんそんするおきてというものがさとられたようながしたのでした。
 
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