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空にわく金色の雲(2)

时间: 2022-11-18    进入日语论坛
核心提示: 二、三日にち、顔かおをあわさなかった武夫たけおは、学校がっこうからかえると、あそびにきました。「きょう、先生せんせいが
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 二、三にちかおをあわさなかった武夫たけおは、学校がっこうからかえると、あそびにきました。
「きょう、先生せんせい正吉しょうきちくんは、どうしてやすんでいるのだといたから、ぼくの三輪車りんしゃ競走きょうそうして、あしをいためたといったら、なんでそんなばかのまねをするのかといったよ。だから、ぼくはしょうちゃんは、マラソン選手せんしゅになるので、三輪車りんしゃなんかにけられないのだとはなしたら、先生せんせいは、人間にんげんあし機械きかいと、いっしょになるかとわらった。」と、学校がっこうはなしげました。
「ぼく、つまらんことをした。」と、正吉しょうきちは、後悔こうかいしました。
「もっと、自分じぶんをたいせつにしなければ、いい選手せんしゅなんかになれないと、先生せんせいもいっていたよ。」と、武夫たけおはありのままをつげました。
「お医者いしゃさんに注射ちゅうしゃしてもらったけれど、いたみがとれなければ、入院にゅういんして手術しゅじゅつするんだって、こまってしまったよ。」と、正吉しょうきちちからなくいうと、
「とんだめにあったね。そうそう、文房具屋ぶんぼうぐやへグローブをいにいくと、みせのガラスが、めちゃめちゃにこわれているので、おどろいた。くと、トラックがとびこんで、だいじな品物しなものをこわしたと、みせのおばさんがいっていたよ。」と、武夫たけおは、意外いがいなことをらせました。
正吉しょうきちは、ゆめにさえた、あのあお飛行機ひこうきや、あかいおどり人形にんぎょうは、どうなったろうとくと、たけちゃんは、えなかったから、こわれたのかもしれないというのでした。
「それで、きみのほしいとおもったグローブはあったの。」と、正吉しょうきちきました。
「とりこんでいるときだから、まけておくといって、やすくしてくれたよ。」と、武夫たけおはよろこびました。
「どうして、トラックが、みせへとびこんだのだろうね。」
運転手うんてんしゅが、おさけっていたって、おばさんがいった。」と、武夫たけおはいいながら、このとき、先生せんせい正吉しょうきちにいった言葉ことばおもしたのか、
「やはり、ったりしては、運転手うんてんしゅになれないんだね。」と、つけくわえました。
正吉しょうきちしたいて、だまっていました。あしのいたみは、そのあくるになっても、とれませんでした。母親ははおやは、子供こどものようすから、すぐにでも手術しゅじゅつ決心けっしんしたらしく、いえなかをかたづけはじめたのです。
そのとき、ちょうど門口かどぐち乳飲ちのをおぶったおんなこじきがって、無心むしんをねがったのでした。正吉しょうきちははおんなこじきをて、もちだとると、ぜわしいなかを、ふところからさいふをだして、かね手渡てわたしてやりました。おんなこじきは、こころからありがたくおもったらしく、いくたびもあたまをさげていましたが、そばで、いたいたいとごえでうったえている正吉しょうきち姿すがたると、おじおじしながら、
「どうなされたので、ございますか。」と、いたのでした。
母親ははおやは、こういってやさしくかれたので、さすがに当惑とうわくしているときであり、よわくなっていたので、こちらも、ありのままのことを――子供こどもはしって、あそんでいるうち、あしゆびをいためて、注射ちゅうしゃをしてもらったけれど、ききめがなく、これから、いやがるのをつれて、手術しゅじゅつをうけに医者いしゃのところへかけるのだ――と、ほんとうのことをはなしたのでした。おんなこじきは、そのことを人事ひとごとおもわず、みみをかたむけて、いていましたが、
「それなら、いいくすりがあります。このへんにもあるくさです。わたしのいうことをしんじて、ためしてごらんなさい。わたしどもかねのないものは、かみさまのおしえてくだされたもので、どんなやまいもなおします。そのくさは、あきになると、黄色きいろはなあつです。そのにあぶり、やわらかにして、傷口きずぐちにはります。いたみはじきとれて、四、五にちもすると、うみがてなおります。」と、ていねいにおしえました。
母親ははおや正吉しょうきちは、これをいて、ひとすじのひかりが、きゅうに、やみのなかへさしこんできたようなかんじがしました。
「そのくさというのは。」と、母親ははおやは、すぐにもりたかったのです。
「ちょっと、さがしてきます。」と、おんなこじきは、もんからていきました。
親子おやこは、そのうしろ姿すがたを、とうとくおもって、おがまんばかりにおくったのです。そして、いくたびも、母親ははおやそとまでて、おんなこじきがもどるのをまっていました。
あまりおそいので、そのつからぬので、そのままどこへかちさりはしなかったかとおもい、うたがい、なやんだりしたが、そのうちおんなこじきは、あおをにぎって、母親ははおやまえへあらわれました。
「まあ、ありましたかね。」と、とびつくようにして、母親ははおやはむかえたのです。おんなこじきがつくってくれたくすりをつけると、ふしぎにいたみがうすらいで、そのばん親子おやこは、はじめて、もちよくねむりました。
正吉しょうきちゆめなかで、あのおじおじしたようすで、いたわりながら、くすりをつけてくれたおんなこじきをおもして、いつまでも、その姿すがたが、からきえずにのこっていました。
それから、二、三にちもすると、あしのはれがひいて、きずぐちに、しろいうみをもちました。はははこれをて、おどろき、
正吉しょうきちや、もうだいじょうぶだよ。くさを、よくいておくのだったね。あのおんなこじきに、おれいをいわなければなりません。いつもは、なかったおんなですのに、あのどうしてきましたか。こんどきたら、おまえのちいさいときの着物きものがありますから、あかんぼにやりたいとおもいます。をつけていて、たらうちへつれてきておくれ。」と、いつになくははは、きげんがよかったのです。
正吉しょうきちあしがよくなったのを、わがことより、よろこんでくれるははて、しんにそのおんを、わすれてはならぬとおもいました。
いよいよ明日あしたから、ふだんどおり、武夫たけおくんと学校がっこうへいけるようになった、そのまえのことでした。
正吉しょうきちや、なにかおまえに、ほしいものがあるなら、おいい。」と、ははは、つくえのまえにすわっている正吉しょうきちに、たずねました。
これをくと、たちまち、ちいさなむねへ、よろこびがいずみのように、こみあげました。
あお飛行機ひこうきと、あか人形にんぎょうと、どちらにしようかな。」と、みみのあたりまであかくしながら、正吉しょうきちこたえたのです。
「それは、なければならぬしなですか。」と、ははきました。
「おかあさん、それより、はやくおじさんに、おかねをかえしたほうがいいよ。」と、正吉しょうきちはいいました。
「ああ、そのかねは、きっと、わたしがそのうち、もっていきますよ。これは、おまえがつかわずにすんだので、あげますから、すきなものを、おいなさい。」と、はははひきだしから、いくらかのかねをとって、正吉しょうきちにあたえたのでした。
いま、あおい、飛行機ひこうきでも、あかいおどり人形にんぎょうでも、正吉しょうきちのすきなものを、うことができるのでした。しかし、もう、それをが、なくなってしまいました。
「どんないろでも、そろっている上等じょうとうのクレヨンを、おう。」と、正吉しょうきちはすぐに、こころをきめたのでした。
ばんになると、はらっぱへいって、くさうえに、こしをおろしました。そこここに、いつものように、あかはながさき、あおそらは、はてなくひろがって、地平線ちへいせんにつづき、なつおもわせる金色きんいろくもが、西にしほうからわきて、おとなく、あたまうえを、うごいていくのでした。
そのくもには、おかあさんがすわって、仕事しごとをしていました。また、ほかの一つのくもには、乳飲ちのをおぶったおんなこじきが、のっていました。二つのくもは、たがいにちかづき、また、あるときは、かさなりうようになったが、そのうち、はなればなれとなって、いつしか、あおそらへ、すいこまれるように、きえてしまいました。
 
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