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太陽と星の下(2)

时间: 2022-11-18    进入日语论坛
核心提示: これをきくと、横よこになって、新聞しんぶんを見みていた兄にいさんは、笑わらいながら、起おき上あがりました。そして、弟お
(单词翻译:双击或拖选)
 これをきくと、よこになって、新聞しんぶんていたにいさんは、わらいながら、がりました。そして、おとうとかって、つぎのようにいったのです。
戦争せんそうわるころは、品物しなもの不足ふそくしていて、だれでも、すばしっこく、ひとのほしがるしなうごかしたものは、あそんでいても、おおもうけができたのだ。もとより、そういう人々ひとびとは、なかのためとか、他人たにんのためとかいうことはかんがえていない。ただ自分じぶんさえよければいいので、ぜいたくしたものさ。一ぽうには、いままでの金持かねもちが貧乏びんぼうして、着物きものるやら、家宝かほうるというふうで、まちにも、幾軒いくけんか、こっとうてんができたのだよ。新興成金しんこうなりきんあてにね。ところが、やみ物資ぶっしもなくなると、たちまちかねもうけのみちがとだえて、にわか大尽だいじんは、またむかしのようなまるはだかとなって、もうこっとうひんなどうものがなくなる。それどころか、中国ちゅうごく国内こくない生産せいさん復興ふっこうしないから、ともぐいするようになる。よわいものからまいってしまう。ちかごろ、ひとがめっきりふえたのもこんな原因げんいんがある。だから、まちのこっとうが、葬儀屋そうぎやはやがわりするのは不思議ふしぎでないよ。」
にいさん、息苦いきぐるしいなかになったんだね。」と、少年しょうねんは、いいました。
「なにしろ、せまいくになかへ、八千まんからの人間にんげんがおしこめられているのだものな。」と、にいさんは、ためいきをつきました。
「それは、ぼくにもわかるよ。なぜって、ちいさなものなかへ、金魚きんぎょをたくさんれておくと、だんだんんでしまうものね。」
かれは、このごろ、やっと、ひろびろとした、はらっぱで、野球やきゅうのできるよろこびをおもこして、不幸ふこう祖国そこくのきゅうくつな現状げんじょうかなしまずには、いられませんでした。
「どれ、はらっぱへあそびにいってこよう。」
少年しょうねんは、じっとして、いえにいられなくなって、こうさけぶと、そとほうしました。しかし、自由じゆうほっするかれたいして、だれもとがめるものはありませんでした。
はらっぱへいけば、そこには、かならず、二、三にんかれ仲間なかまがいました。大空おおぞらは、まんまんとして、はらうえあお天蓋てんがいのように、無限むげんにひろがっているし、やわらかなくさは、うつくしい敷物しきもののごとく、地上ちじょうのとどくかぎりしげっていました。
世界せかいじゅうを、どこまでもんでいける、わたどりはしあわせだね。」と、エヌくんがいいました。
「そうするように、かみさまが、はねをくだされたんだもの。」と、ケーくんがこたえました。
「なぜ、人間にんげんにだけ、それができないのだろうね。」と、エスくんが、ただすと、
人間にんげんにだって、汽船きせんや、飛行機ひこうき発明はつめいするちからかみさまがくださったのだ。自由じゆうにどこへでもいけるようにね。」と、ケーくんが、いいました。
「しかし、ここからさき、いってはいけないとか、ここからうちはいってならないとか、実際じっさいはきゅうくつなんでないか。」と、S少年エスしょうねんは、ききかえしました。
かみさまは、世界せかいをみんなのため、おつくりになったのだから、だれにもそんな繩張なわばりをする権利けんりなんかなかったのだ。それを人間にんげんどうしが、たがいに意地いじわるをして、つよいものが、よわいものをいじめて、かってにらくをしようとしたのだよ。」と、ケーくんはこたえて、なお、かんがえていました。少年しょうねんケーくんのかんがえが、まったく自分じぶんかんがえと一しているのをって、うれしかったのです。
ケーくん、ぼくは、人間にんげんがあまり強欲ごうよくなものだから、戦争せんそうをしたり、けんかをしたり、つみもない動物どうぶつまでころしたりするのだとおもうよ。かみさまのあたえられた生命いのちうばってしまうという、残忍ざんにん行為こういは、ゆるされないのでないかね。」と、少年しょうねんは、ききました。
「だから、そういう残酷ざんこくなことをするものには、きっとばつがあたるだろう。」
きみもそうおもう。ぼくも、天罰てんばつがあたるとおもっている。」
「どうして、ほかの動物どうぶつより、人間にんげんのほうがえらいんだろうね。」と、いままで、だまっていた、ケーくんがくちひらきました。
「おたがいに、愛情あいじょうがあり、しんせつだったから、万物ばんぶつちょうといわれたが、いまは、残忍ざんにんなこと、ほかの動物どうぶつでないから、かえって、悪魔あくまちかいといえるだろう。」と、S少年エスしょうねんがいいました。
このとき、あかは、西にしやましずみかけていました。三にん少年しょうねんは、しばらくだまって、地平線ちへいせんをながめながら、おもおもいの空想くうそうにふけっていました。
かんがえれば、まだ地球ちきゅうには、どれほど、ひとんでいないひろ土地とちがあるかしれない。人間にんげん必要ひつようとするたからずまっているやまや、たにがあるかしれない。また茫漠ぼうばくとして、たがやされていない野原のはらがあるかもしれない。それなのに、衣食住いしょくじゅうきゅうして、ななければならぬ人間にんげんがたくさんいる。それはどうしたことだろうか。
飢餓きが戦争せんそう奴隷どれい差別さべつ、みんな人間にんげん社会しゃかいのことであって、かつて鳥類ちょうるいや、動物どうぶつ世界せかいにこんなようなあさましい、みにくい事実じじつがあったであろうか。こんなことをしなくても、かれらは自然しぜんをたのしみ、なやむことなく、安心あんしんして生活せいかつするではないか。こんなようなうたがいが、せずして三にんあたまなかにあったのでした。
「ああ、わすれていた。こんど学校がっこう国際親善こくさいしんぜんだいで、作文さくぶんいてすのだったね。」と、S少年エスしょうねんおもして、いいました。
きみは、なにをくつもり。」と、エヌくんが、二人ふたりほういてきました。
ぼくは、外国がいこくのおともだちに、人間にんげんはみんな平等びょうどうなのだから、おたがいにちからわせて、みんなが幸福こうふくになるような、いい世界せかいつくろうじゃないかとうったえるつもりだ。」と、ケーくんが、いいました。
ケーちゃん、ぼくも、おなじなんだよ。いままで、大人おとなたちの強欲ごうよくから、戦争せんそうこったんだ。自分じぶんにとってだけでなく、相手あいてにとってもとうと生命せいめいであるとったら、ころうことはできないはずだ。どんな幸福こうふくも、これほどの罪悪ざいあくにはつぐなわないとおもうよ。だから、かみさまのこころにそむくような武器ぶきは、いっさいなくしてしまって、どうしたら平和へいわにみんなが生活せいかつすることができるかと、相談そうだんするようにしたい。世界せかいじゅうのおともだちが、そのになってくれたら、ぼくたちの時代じだいには、いままでとちがった、りっぱな世界せかいになれるのでないか。」と、S少年エスしょうねんがいうと、
賛成さんせい賛成さんせい!」と、エヌくんが同感どうかんして、あつ拍手はくしゅをおくりました。
はまったくれて、いつしか、夕焼ゆうやけの名残なごりすらなく、青々あおあおとしてみわたった、そらのたれかかるはてに、黒々くろぐろとして、山々やまやまかげかびがって、そのいただきのあたりに、きらきらと、一つ、真珠しんじゅのようなほしが、かがやきました。こんな時分じぶんになっても、まだあちらでは、あそんでいて、元気げんきのあふれる子供こどもらのこえが、きこえていました。
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