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ねずみとバケツの話(1)

时间: 2022-12-03    进入日语论坛
核心提示:ねずみとバケツの話小川未明町裏まちうらを小ちいさな川かわが流ながれていました。川かわというよりは、溝みぞといったほうがあ
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ねずみとバケツの話

小川未明


町裏まちうらちいさなかわながれていました。かわというよりは、みぞといったほうがあたっているかもしれません。家々いえいえながしたみずあつまって、一筋ひとすじながれをなしているのでありました。
ねずみは、そのながれのきしあなって、もうながあいだ、そのところにすんでいました。ほかのねずみたちが、みんな家々うちうちてんじょううらや、えんしたなどにつくっているのに、このねずみばかりは、こうして、そとのこんなむさくるしいところに、どうしてすんでいるのだろうといううたがいをもたれたのですが、それには子細しさいのあることでした。
このかわふちには、いたるところにごみためがあって、いろいろなものがてられるからではありませんでした。ねずみのべられそうなものは、いぬやからすがさきにきて、たいていそれをべてしまうのでありましょう。
ねずみがここにすんだのは、この場所ばしょ安全あんぜんだとおもったのにほかなりませんでした。
それは、ねずみがもっとちいさかった時分じぶんのことであります。かれは、ほかのともだちといっしょに、やはり、まちの一けんうちにすんでいました。あるのことでありました。かれは、みんなからはなれて、ひとり台所だいどころてきました。たなのうえには、大根だいこんや、いもなどがざるのなかにいれて、のせてありました。また、だなのなかには、さかなや、まめなどがはいっていました。すべてが、敏感びんかんなねずみのはなでわかったのであります。
人間にんげんは、りこうでずるいから、をつけなければならない。」と、ごろからいていましたから、ねずみは注意ちゅういおこたりませんでした。
かれは、おとをたてないように、だなをかじってみようかとおもったが、それよりは、まず無難ぶなんの、たなのうえにのっているいもべようとおもいました。
かれは、そこへがって、いもべました。ちいさなねずみのはらは、じきにいっぱいになってしまいました。はらがいっぱいになると、もうかれは、だなのなかのものをべたいなどというよくこしませんでした。それよりか、ただ一口ひとくちみずみたかったのです。
みずんで自分じぶんたちのかえろうとかんがえながら、かれは、ながしのなかりてきました。そこには、バケツがありました。バケツのなかには、多分たぶんみずがはいっているだろう……かれは、注意ちゅういをして、バケツのふちがって、なかをのぞいてみました。
あたりは、くらかったけれど、バケツのなかには、はたして、みずがなみなみと七めのところまでたされているのをさとりました。ねずみは、どうかして、くびをばして、みずみたいとおもいました。それは、ほんのわずかばかりの距離きょりではありましたけれど、このちいさな動物どうぶつにとっては、容易よういのことではなかったのです。
かれは、できるだけしたへくびをばしました。まさしく、それは冒険ぼうけんでありました。しかしいくら、しっかりとつかまっていても、バケツのふちまるく、それに金属きんぞくでつめのちようがなかったから、ねずみは、あしをすべらすと同時どうじまえのめりになって、みずなかちてしまいました。ねずみは、みずなかでもがきました。しかし、バケツのふちには、どんなことをしても、手足てあしがとどきませんでした。
このとき、バケツはあざわらったのであります。
「おまえは、だれのゆるしをみずもうとしたのだ。ちいさなくせに、生意気なまいきな。おれあたまうえったりして、みんなばちがあたったのだ。こうなっては、げようとおもってもげられるものでない。」と、バケツはいいました。
ねずみはくるしんでいました。そして、みずをはねかえしながら、
わたしわるかったのです。どうかたすけてください。こんどからは、けっして、あなたのなかにはいっているみずもうとはいたしませんから……。」と、バケツにかってたのみました。
けれど、バケツは、冷淡れいたんに、からからとわらってとりあいませんでした。
あわれなねずみは、くるしまぎれにみずみました。からだじゅうのは、すっかりぬれてしまって、もはや、およいでいるだけのちからがなく、まさにおぼれようとしていました。
「ここまで、およいでおいで、わたしたすけてあげるから。」と、ふいにいったものがあります。
ねずみはこえのするところまで、いっしょうけんめいにおよいでゆきました。ねずみにこういったのは、柄杓ひしゃくでありました。
「さあ、わたしからだにつかまってがんなさい。」と、柄杓ひしゃくはねずみに勇気ゆうきづけました。
ねずみは、しっかりと柄杓ひしゃくにつかまって、かきがりました。そして、やっと死地しちからのがれたのであります。
「ありがとうございます。」と、ふるえながら、ねずみは柄杓ひしゃくれいをいってげてゆきました。
ねずみは、いのちたすかると、もはやうちなかこわくて、すんでいるには、どうしてもなれませんでした。かれは、みんなからわかれて、安全あんぜん場所ばしょいだすためにくるしみました。そして、いまのところにあなって、ここでらしたのであります。
かれは、いまはおおきく、そして、かんがぶかいりこうなねずみになりました。無事ぶじおくっているうちに、ここに、はからずも、ねずみにとってこまったことがこりました。
あめ幾日いくにちりつづいて、ながれがあふれたからであります。ねずみはあななかみずがはいるので、そこにじっとしているわけにはいきませんでした。しかたなくあなからて、もとすんでいた、ようすのわかっているうちえんしたへゆこうとおもって、よるになるのをってやってきました。
ねずみははらがすいていましたので、さっそく、台所だいどころへきました。そして、ながしぐちから、雨戸あまどそとますと、さかなほねや、いろいろのうまそうなもののにおいが、すぐちかくでしました。かれは、あたまをめぐらしてさがしますと、そばのふるいバケツのなかからするのでした。
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