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眠い町(1)

时间: 2022-12-03    进入日语论坛
核心提示:眠い町小川未明一この少年しょうねんは、名なを知しられなかった。私わたしは仮かりにケーと名なづけておきます。ケーがこの世界
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眠い町

小川未明



この少年しょうねんは、られなかった。わたしかりにケーとづけておきます。
ケーがこの世界せかい旅行りょこうしたことがありました。あるかれ不思議ふしぎまちにきました。このまちは「ねむまち」というがついておりました。ると、なんとなく活気かっきがない。またおとひとつこえてこない寂然しんとしたまちであります。また建物たてものといっては、いずれもふるびていて、こわれたところも修繕しゅうぜんするではなく、けむりひとつがっているのがえません。それは工場こうばなどがひとつもないからでありました。
まちはだらだらとして、平地へいちうえよこたわっているばかりであります。しかるに、どうしてこのまちを「ねむまち」というかといいますと、だれでもこのまちとおったものは、不思議ふしぎなことには、しぜんとからだつかれてきてねむくなるからでありました。それで幾人いくにんとなくこのまちとお旅人たびびとが、みなこのまちにきかかると、きゅうからだつかれをおぼえてねむくなりますので、まちはずれのかげのしたや、もしくはまちなかにあるいしうえこしろして、しばらくやすもうといたしまするうちに、まるでふかふかあななかにでもまれるようにねむくなって、ついらずらずねむってしまいます。
ようやくがさめた時分じぶんには、もういつしかれかかっているので、おどろいてがってみちいそぐのでありました。このはなしがだれからだれにつたわるとなくひろがって、たびする人々ひとびとはこのまちとおることをおそれました。そして、わざわざこのまちとおることをけて、ほかのほうをとおまわりをしてゆくものもありました。
ケーは、人々ひとびとのおそれるこの「ねむまち」がたかったのです。ひとおそろしがるまちへいってみたいものだ。おればかりはけっしてねむくなったとて、我慢がまんをしてねむりはしないとこころめて、好奇心こうきしんさそうままに、その「ねむまち」のほうしてあるいてきました。


なるほどこのまちにきてみると、それは人々ひとびとのいったように気味きみわるまちでありました。おとひとつこえるではなく、寂然しんとして昼間ひるまよるのようでありました。またけむりひとつがっているではなく、なにひとつるようなものはありません。どのいえめきっています。まるで町全体まちぜんたいが、ちょうどんだもののようにしずかでありました。
ケーはこわれかかった黄色きいろつちのへいについてあるいたり、やぶれたのすきまからなかのようすをのぞいたりしました。けれど、いえなかにはひとんでいるのか、それともだれもんでいないのかわからないほどしずかでありました。たまたまやせたいぬが、どこからきたものか、ひょろひょろとしたあゆみつきでまちなかをうろついているのをました。ケーは、このいぬはきっと旅人たびびとれてきたいぬであろう、それがこのまちなか主人しゅじん見失みうしなって、こうしてうろついているのであろうとおもいました。ケーはこうして、このまちなか探検たんけんしていますうちに、いつともなしにからだつかれてきました。
「ははあ、なんだかつかれて、ねむくなってきたぞ。ここでねむっちゃならない。我慢がまんをしていなくちゃならない。」
と、ケーはひとことをして、自分じぶんはげましました。
けれど、それは、ちょうど麻酔薬ますいやくをかがされたときのように、からだがだんだんしびれてきました。そして、もうすこしでもこうしていることができなくなったほど、ねむくなってきましたので、ケーはついに我慢がまんがしきれなくなって、そこのへいのへんたおれたまま、前後ぜんごわすれてたかいいびきをかいて寝入ねいってしまいました。
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