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政ちゃんと赤いりんご((1)

时间: 2022-12-24    进入日语论坛
核心提示:政ちゃんと赤いりんご小川未明田舎いなかのおばあさんから、送おくってきたりんごがもう二つになってしまいました。「政まさちゃ
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政ちゃんと赤いりんご

小川未明


田舎いなかのおばあさんから、おくってきたりんごがもう二つになってしまいました。
まさちゃんなんか、一にちに三つも、四つもべるんだもの。」
ぼくなんか、そんなにべやしない。いさむちゃんこそ三つも四つもたべたんだい。」
二人ふたりは、いいあらそいました。そして、のこった二つのりんごを、どちらがおおきいか、めいめいでにらんでいました。
一つは、いくぶんかおおきいが、いろあおかったのです。一つは、ちいさいが、あかくてうつくしくえました。
ぼく、このおおきなほうをろうや。」と、おとうとまさちゃんが、すばしこくして、おおきなりんごをにぎろうとしました。
「それは、おれのだい。」
あにいさむちゃんは、まさちゃんのちいさなでつかんだ、りんごをうばってしまいました。
さあ、たいへんです、二人ふたりは、そこでつかみいがはじまりました。畢竟つまりとしすくないまさちゃんは、かないませんでした。
「おかあさん、ぼくのりんごをにいさんがってしまったんですよ。」
きながら、まさちゃんは、おかあさんのところへうったえてゆきました。
「うそですよ、おかあさん。ぼくは、おおきいから、おおきいのをったのです。まさちゃんは、ちいさいから、ちいさいのをるのがあたりまえなんですね。」と、いさむちゃんは、つづいて、おかあさんのところへやってきました。
「そんなことは、きまっていません。まさちゃんのっているものを、なんで無理むりったりするんですか。」
かあさんは、こういう場合ばあいには、ちいさいものより、にいさんをしかるのがつねでした。
いさむちゃんは、に、あおおおきなりんごをしっかりとにぎっていました。そして、おかあさんの裁判さいばんを、不平ふへいそうなかおつきをして、うつむいていていました。
田舎いなかのおばあさんは、ぼくに、おくってくださったんでしょう。」と、まさちゃんが、いいました。
「いいえ、みんなにおくってくださったのです。」
「それみろ、まさちゃんは、自分じぶんひとりのものだとおもっているからいけないんだ。」
「あんなちいさいの、やだい。」
まさちゃんは、からだをゆすって、だだをこねました。
「もう一つのを、っておいで。」と、おかあさんは、おっしゃいました。
ぼく、あんなちいさいのは、やだい。」と、まさちゃんは、いいながら、あかいりんごをってきました。
「まあ、きれいなりんごだこと、ちょっとおせなさい。」
かあさんは、をみはって、りんごをごらんになりました。
「こんな、きれいなりんごが、どうしていけないの。あんなあおいりんごより、よっぽどいいじゃないの。」
ちいさいじゃないか。」
まさちゃんも、さっき、ちいさいがうつくしいから、どちらをろうかとかんがえていたくらいですから、おかあさんにそういわれると、なるほど、あおいりんごより、ちいさくても、このほうがいいようにおもわれてきました。
「これを上手じょうず写生しゃせいしてごらんなさい。」
まさちゃんは、学校がっこうで、先生せんせいが、こんどなんでもってきて、図画ずが時間じかん写生しゃせいしてもいいと、おっしゃったことをおもしました。
ぼく、これを学校がっこうっていって写生しゃせいしてもいいの。」
「みごとにけたら、おばあさんにおくっておあげなさい。どんなにおよろこびなさるかしれませんよ。」
まさちゃんの機嫌きげんは、すっかりなおりました。このとき、いさむちゃんは、とっくにおおきなりんごをっててしまって、いなかったのであります。
「おなかがいたい。」
いさむちゃんは、あさきると、はらさえていいました。
「おなかがいたいの、どうしたんでしょうね。」
「ああ、おなかがいたい。」
「きっと、おなかをやしたのでしょう。」
かあさんは、心配しんぱいして、いさむちゃんのようすをていられました。
「ああわかった。おかあさん、にいさんは、きのうりんごのかわをむかないでべたからでしょう。ばちがあたったのだ。」
そばで、まさちゃんが、いいました。
「だまっておれ。」と、いさむちゃんは、おこりました。
「ばちがあたったのだ。」
まさちゃんは、いいました。はらさえて、すわっていたいさむちゃんが、がって、まさちゃんをいかけました。
「おかあさん――。」
生意気なまいきいうからだ。」
まさちゃんのこえと、いさむちゃんの、とっちめているこえとが、もつれてきこえてきました。
「けんかをする元気げんきがあれば、だいじょうぶです。」と、おかあさんは、わらっていらっしゃいました。
二人ふたりは、おぜんまえにすわりました。
「もうおなかがなおった?」と、おかあさんは、おききになりました。
「まだ、ちっといたい。」
「おかあさん、学校がっこうやすみたいからですよ、やすましてはいけませんよ。」と、まさちゃんがいいました。
「だれが、やすむといった。」と、いさむちゃんは、まさちゃんをパチンとたたきました。
「ごはんをたべるときまで、けんかをするのですか。」
かあさんにしかられて、やっと、二人ふたりしずかになりました。そして、ごはんをたべて、学校がっこうかけました。
まさちゃんは、あのあかい、うつくしいりんごをかみつつんで、学校がっこうってゆきました。
「きれいなりんごだね。」
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