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政ちゃんと赤いりんご(2)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网
时间:
2024-10-24
作者:
destoon
进入日语论坛
核心提示:図画ずがの時間じかんに、小野おのがふり向むいて、いいました。「こんなりんごは、めったに見みないね。どこで買かってきたんだ
(单词翻译:双击或拖选)
あるときは、百
姓
しょう
らが
焚
た
いている
野火
のび
が、
真紅
まっか
な
花
はな
の
風
かぜ
になびいている
姿
すがた
となって
見
み
えたりして、その
中
なか
に
飛
と
び
込
こ
んで、
長
なが
い
旅
たび
をつづけた
末
すえ
に、むなしく
死
し
んでしまった
仲間
なかま
もあります。また、
街
まち
に
輝
かがや
いた
火影
ほかげ
に、つい
誘惑
ゆうわく
されて、りんごの
花
はな
の
警
いまし
めも
忘
わす
れて、
飛
と
んでいくと、そこにはいい
音楽
おんがく
が
聞
き
こえたり、
唄
うた
の
声
こえ
がしたり、ほかに
美
うつく
しい
塔
とう
や、
噴水
ふんすい
や
銅像
どうぞう
などがあったり、また
花園
はなぞの
さえあったりしたので、うかうかと
時間
じかん
を
過
す
ごしてしまって、みんなから
離
はな
れてしまったものもあります。
しかし、
根気強
こんきづよ
い
蛾
が
の
群
む
れは、
翌日
よくじつ
も、そのまた
翌日
よくじつ
も、
旅
たび
をつづけました。そして、
広
ひろ
い
野原
のはら
を
横切
よこぎ
り、あるときは、
山
やま
の
頂
いただき
を
越
こ
えて、ついに、
夏
なつ
のはじめのころには、はるかに、
青
あお
い、
青
あお
い、
北海
ほっかい
の
見
み
える
地方
ちほう
へ
達
たっ
したのでした。
「とうとう
海
うみ
へきた。」
「
私
わたし
たちのゆく、
美
うつく
しい
島
しま
は、どこだろうか?」と、
蛾
が
たちは、
喜
よろこ
んで
叫
さけ
びました。
「この
海
うみ
を
越
こ
えて、
島
しま
に
達
たっ
することは
容易
ようい
のことでない。
疲
つか
れを
休
やす
めて、
穏
おだ
やかな、いい
天気
てんき
のつづく
日
ひ
を
待
ま
とうではないか。」
「それがいい。
雪
ゆき
の
光
ひか
る、
高
たか
い
山
やま
のふもとには、
高山植物
こうざんしょくぶつ
の
咲
さ
く
野原
のはら
があり、みごとな
深林
しんりん
があるという
話
はなし
だから、そこまでいこう。そして、いい
日
ひ
を
待
ま
つことにしよう。」
みんなは、この
最後
さいご
の
説
せつ
に
従
したが
いました。それから、
雪
ゆき
の
光
ひか
る、
高
たか
い
山
やま
を
探
たず
ねて、そのふもとへといったのであります。
その
高
たか
い
山
やま
は、すぐにわかりました。ふもとへいってみると、
美
うつく
しく
晴
は
れた
空
そら
の
下
した
に、
高山植物
こうざんしょくぶつ
が、
盛
さか
りと
咲
さ
いていました。
白
しろ
い
蛾
が
の
群
む
れは、
思
おも
い
思
おも
いに、
自分
じぶん
の
好
す
きな
花
はな
を
探
さが
して
飛
と
びまわったのでありました。
しらかばや、はんや、
落葉松
らくようしょう
の
林
はやし
の
中
なか
には、くびの
赤
あか
い、
小形
こがた
のつばめがたくさんきて
鳴
な
いていました。その
中
なか
の一
羽
わ
のつばめが、
高山植物
こうざんしょくぶつ
の
咲
さ
いている
野原
のはら
へ
降
お
りたときに、
火山岩
かざんがん
の
上
うえ
に
止
と
まって、
蛾
が
と
話
はなし
をしました。
「
私
わたし
たちも、その
島
しま
へ
見物
けんぶつ
にゆくのですよ。それでここへきて、
天気
てんき
を
見
み
はからっているのです。」と、つばめはいいました。
蛾
が
は、いまさら、その
島
しま
が、それほど、
美
うつく
しい、
有名
ゆうめい
なところであるのを
知
し
りました。
「
私
わたし
たちは、
遠
とお
い、
南
みなみ
の
深林
しんりん
から
旅
たび
をして、
幾日
いくにち
も、
幾日
いくにち
もかかって、ここまでやってきたのです。いっしょに
出発
しゅっぱつ
しながら、
長
なが
い
日
ひ
の
間
あいだ
には、おくれたり、また
災難
さいなん
にかかって
死
し
んだりした
仲間
なかま
もありました。しかし、これから、
海
うみ
を
渡
わた
ることが
困難
こんなん
だと
思
おも
っています。」と、
蛾
が
はいいました。
つばめは、
体
からだ
をつぼめるようにして、
高原
こうげん
の
上
うえ
を
吹
ふ
いてくる、
風
かぜ
の
方
ほう
に
向
む
かっていましたが、
「
私
わたし
たちも、やはり、
南
みなみ
からきたものです。その
島
しま
にいって
見物
けんぶつ
がすんだら、あまり
寒
さむ
くならないうちに、
故郷
こきょう
へ
旅立
たびだ
ちしなければなりません……。」と、
答
こた
えたのです。
蛾
が
たちは、このつばめの
言葉
ことば
を
聞
き
いて
驚
おどろ
きました。
いま、
日
ひ
の
光
ひかり
は
強
つよ
く、
空
そら
は、
輝
かがや
いているけれど、やがて、
自分
じぶん
たちにとって
怖
おそ
ろしい
秋
あき
がやってくることを、つばめの
言葉
ことば
によって
悟
さと
られたからでした。
「
私
わたし
たちは、二
度
ど
と
故郷
こきょう
へは
帰
かえ
ることはできまい。せめて、
早
はや
く、その
島
しま
に
着
つ
いて、
死
し
ぬまで
楽
たの
しく
送
おく
りたいものだ。」と、
蛾
が
は、ため
息
いき
をつきました。
「そんなに
歎
なげ
いたものでない。まだ
自分
じぶん
たちは
生
う
まれてから、いままで
生
い
きてきたほど、この
先
さき
も
生
い
きられるのだから、
力
ちから
を
落
お
とすことはない。」と、またほかの
蛾
が
がいいました。
「そんなことは、
考
かんが
えないほうがいい。」
蛾
が
たちの
話
はなし
を、だまって
聞
き
いていたつばめは、
「ほんとうに、そうですとも。あなたたちの一
日
にち
は、
私
わたし
たちの
半年
はんとし
よりも、もっとおもしろく、
愉快
ゆかい
に、
暮
く
らしがいがあるのですから、そんなことを
心配
しんぱい
することはありません。まだ、あなたたちは、お
若
わか
いのです……。」といいました。
「それで、あなたがたは、いつ、その
島
しま
へお
立
た
ちになりますか。」と、
蛾
が
は、つばめにたずねた。
つばめは
頭
あたま
をかしげて、
空
そら
を
見
み
ながら、
「それは、まだわかりませんが、きまったら、お
知
し
らせいたしましょう。」と
答
こた
えた。
「どうぞ、お
知
し
らせください。
私
わたし
たちも、ごいっしょに
立
た
つようになるかもしれませんから。」と、
蛾
が
は
頼
たの
みました。
はじめて、
海
うみ
の
上
うえ
を
渡
わた
る
蛾
が
には、なんとなく
心細
こころぼそ
く
思
おも
われたからです。そして、つばめたちが、いいという
日
ひ
は、
自分
じぶん
たちにも、いい
日
ひ
にちがいないと
考
かんが
えたからでした。
二、三
日
にち
後
のち
の
晩方
ばんがた
でした。
先日
せんじつ
、
話
はなし
をしたつばめが、
蛾
が
たちのいるところへきて、
明日
あす
、
自分
じぶん
たちは、
島
しま
に
向
む
かって
出発
しゅっぱつ
することを
知
し
らせました。
「また、
島
しま
でお
目
め
にかかれるかもしれません。どうぞ、ご
機嫌
きげん
よう……。」と、つばめは、
暇
いとま
ごいをして、
彼
かれ
らの
仲間
なかま
のいる
林
はやし
の
方
ほう
へ
飛
と
んでいきました。
蛾
が
たちは、
自分
じぶん
らも
明日
あす
立
た
つかどうかということについて、
相談
そうだん
しました。このとき、かわいらしい
淡紅色
うすべにいろ
の
高山植物
こうざんしょくぶつ
の
花
はな
は
顔
かお
をこちらに
向
む
けて、
「
明日
あす
は、
風
かぜ
になりますよ。」と、
注意
ちゅうい
したのです。その
言葉
ことば
は、あまり
蛾
が
たちには
顧
かえり
みられなかった。
高
たか
い
山脈
さんみゃく
の
頂
いただき
は、
明
あか
るく
雲切
くもぎ
れがして、
日
ひ
は
暮
く
れてしまいました。一
夜
や
は
無事
ぶじ
に
過
す
ぎて、
翌朝
あくるあさ
になると、
空
そら
はいつものごとく
青
あお
く
晴
は
れていました。このとき、
蛾
が
たちは、
空高
そらたか
くつばめの
群
む
れが、
林
はやし
から
旅立
たびだ
って、
北
きた
を
指
さ
して
飛
と
んでゆく
姿
すがた
をながめたのでした。
「
俺
おれ
たちもいこう!」
蛾
が
の
群
む
れは、つばめたちの
後
あと
を
追
お
って、
旅立
たびだ
ったのでありました。
その
後
あと
で、
高山植物
こうざんしょくぶつ
は、しきりに
頭
あたま
を
動
うご
かしていた。はたして、
昼
ひる
ごろから、
夜
よる
にかけて、
強
つよ
い
南
みなみ
から
吹
ふ
く
嵐
あらし
と
変
か
わってしまった。
つばめらは、
予期
よき
したごとく、
嵐
あらし
を
脊
せ
に
負
お
って、
安々
やすやす
と
島
しま
に
着
つ
いたけれど、
蛾
が
たちは、ひとたまりもなく、
海
うみ
の
中
なか
へ
吹
ふ
き
落
お
とされて
死
し
んでしまったのであります。
――一九二六・三――
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