六
森に、秋が来た。怪しな啼声のする、紫と赤の
雷のために裂かれた木は、夕陽に赤く色どられて立っている。風は悲しく叫び、雨は女の涙をいくたびか誘った。いつの間にか、白い雪が降って来た。白いけものの、夜半に啼く声が聞えた。黒い鳥が、どんよりとした空の下に飛び廻って、林から林へ、白い雪の上にも、木の枝にも、止まっているのが見えた。
やがて、冬が去った。
女は、やはり東を向いて、下を向いて仕事をしている。障子は、
森は、いつしかまた重い、青と緑に色どられた。夜の暗黒な翼が、次第に下へ下へと落ちて来た。いつしか黒い森の頂きと
今、赤い爛れた目のような、ランプの下に坐っている女は、一人でなかった。背に、小さな
その児は痩せている。口が尖っている。呼吸をする毎に、胴腹の骨が、ぴくりぴくりと浮き出て、また引込んだ。眼は大きく、皿を