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夜の進軍らっぱ(1)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:山やまの中なかの村むらです。雪ゆきの深ふかく積つもったときは、郵便ゆうびんもなかなかこられないようなところでした。父親ち
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やまなかむらです。ゆきふかもったときは、郵便ゆうびんもなかなかこられないようなところでした。父親ちちおや一人ひとり息子むすこ一人ひとりのさびしいらしをしていましたが、息子むすこは、戦争せんそうがはじまると召集しょうしゅうされて、とお戦地せんち出征しゅっせいしておくにのためにはたらいていました。
「おじいさん、息子むすこさんのところから、たよりがあったかい。」と、かおるとむらひとはきいてくれました。
「あ、こないだあった、達者たっしゃはたらいているそうだ。もう、あちらはかわみずこおったということだ。」
「まあ、達者たっしゃで、おくにのためにはたらいていてくれれば結構けっこうなことだ、かみさまをおがんで、めでたく凱旋がいせんするのをっていらっしゃい。」と、村人むらびとは、老人ろうじん元気げんきづけたのです。
「なんの、おくにささげたせがれだもの、それに今度こんど戦争せんそうながいというから、無事ぶじかえってくるとはおもっていないが、どうか、りっぱにやってくれればといのっているのさ。」と、老人ろうじんこたえました。
おじいさんは、くちではそういっても、けると、れるまで、息子むすこうえあんじていました。そして、ゆきもってみちのついていないときには、郵便ゆうびんやまがれまいとおもって、むらのおけまでていってつこともありました。おけには、学校がっこうへいく子供こどももあって、もし戦地せんち息子むすこさんからきた手紙てがみなら、かならずそのうちとどけてやるからというのであるが、おじいさんは、それがてなかった。あるゆきのたくさんったのことです。わざわざむらまでりていって、
手紙てがみはきていなかったかいのう。」と、きいたのでした。
「いえ、こなかったぞ、くれば、とどけてやるものを。」と、おけのおかみさんは、いいました。
「あまり昨夜ゆうべゆきって、昼前ひるまえみちがなかったから、このいえいていったかとおもったので。」と、おじいさんは、わらいました。
はるになってゆきければ、なつあきへかけては、まちからこのむらまで三ばかりのあいだをバスがとおりました。けれど、このむらから、おじいさんのんでいるやまなかまでは、一ちかく、とうげつづきのほそみちあるかなければならぬのでした。やまには、幾軒いくけんいえがなかったのです。
おけのおかみさんが、いいました。
「おじいさん、まち醤油屋しょうゆやさんっていなさるだろう。二、三日前にちまえあすこへったら、このごろ毎晩まいばん戦地せんちからラジオの放送ほうそうがあって、あちらのようすがるようにわかるというこったぞ。」
「ほう、戦地せんちのようすがわかるとな。」と、おじいさんは、自分じぶんみみうたがいました。
囲炉裏いろりをたいて、子供こどものたびをしていたおかみさんは、
「わかるっていうことだ。」と、いいました。
「ほんとうなら、きいてみたいもんだのう。」と、おじいさんは、しょぼしょぼしたおおきくひらきました。
ちょうどとみえて、ゆきうえしました。まちへいくみちには、ひとかげがちらほらしています。おじいさんは、やまかえるかわりに、まちほうかって、ぼつぼつあるいていました。
醤油屋しょうゆやというのは、むかしからあるみせで、この近在きんざい人々ひとびと得意とくいとしていました。おじいさんもごろっているので、そのいえたずねたのであります。
「こんにちは。」
「おお、おじいさんか、息子むすこさんのところから便たよりがありましたか。」と、みせ主人しゅじんがききました。
どこへいっても、ひとは、かならず息子むすこのことをたずねてくれます。おじいさんは、うれしくおもいました。これも、おくにのためにつくせばこそ、みんなが、こころにかけてくださるのだと、ありがたくかんじていました。
せがれよ、おまえのために、わたしまでがはなたかいぞ。」と、老人ろうじんは、こころなかでいうのでした。
「じつは、せがれのいっている戦地せんちから、ラジオでむこうのようすがわかるというので、ぜひききたいとおもってやってきました。」と、おじいさんはいいました。
「おお、そうか、無理むりのないことだ。」と、主人しゅじんは、おじいさんをいえげて、いろいろもてなしてくれました。
おじいさんは、醤油屋しょうゆや主人しゅじんつくった自慢じまんきくはなをながめたり、かごにっているこまどりのこえをきいたり、また、たるをあらうてつだいなどをしたりして、よるになるのをっていました。ちゃには、いつかあかるく電燈でんとうがついていたのです。
「さあ、おじいさん、ここへいらっしゃい、もうすぐあちらから、きこえてくるから。」と、主人しゅじんがいったので、おじいさんは、ラジオのまえにすわって、みみかたむけていました。
「おじいさん、息子むすこさんのこえがきこえるわけではないが、ただあちらのようすがわかるというだけですよ。」と、主人しゅじんは、あまりおじいさんが、真剣しんけんかおつきをしているので、息子むすここえでもきくつもりでいるかとおもって、いいました。
「はい、それは、っております。ただあちらのようすだけきけば、満足まんぞくしますだ。」
このとき、アナウンサーのこえが、電波でんぱおくられてきたのです。
「こちらは、○○野戦放送局やせんほうそうきょくです。いま○○部隊ぶたいが、○○へかって、進軍しんぐん準備じゅんびいそがしいのであります。その状況じょうきょうをおききとりください。」
こういいわると、ヒ、ヒン! という軍馬ぐんばのいななきごえがしました。つづいて、ブーン、ブーンと、飛行機ひこうきのようなうなりおとがします。それから、タ、タ、ターというらっぱのひびき、ガタン、ガタン、ゴーという戦車せんしゃはしおとがしました。
そうかとおもうと、兵隊へいたいさんたちが、なにか仕事しごとをしながら、うたっているうたこえがきこえてきたのです。
ってくるぞといさましく、
ちかってくにたからは、
手柄てがらてずになりょうか、
進軍しんぐんらっぱきくたびに、
まぶたにかぶはたなみ……。
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