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夜の進軍らっぱ(2)

时间: 2023-08-31    进入日语论坛
核心提示: おじいさんの目めからは、涙なみだが流ながれていました。「今夜こんやは、泊とまっていらっしゃい。」と、主人しゅじんはしん
(单词翻译:双击或拖选)
 おじいさんのからは、なみだながれていました。「今夜こんやは、まっていらっしゃい。」と、主人しゅじんはしんせつにいってくれたけれど、おじいさんは、戦争せんそうにいっている息子むすこのことをおもえば、また息子むすこおなじような兵士へいしたちのことをおもえば、からだじゅうがあつくなって、これしきのさむさがなんだ。くらみちがなんだという気持きもちになりました。さいわいにいい月夜つきよだったので、主人しゅじんにおれいをいって、そこをました。
まちをはなれると、さすがに、まちからむらほうへいく人影ひとかげえなかったのです。おじいさんは、ひと雪道ゆきみちつきかりで、とぼとぼとあるいてかえりました。ものすごいようなあおみをびたつきひかりです。ゆき野原のはらは、ぎんのようにかがやいてえました。そしてとおくのもりかげは、くろ着物きものをきたひとが、じっとしてゆきなかっているのにています。おじいさんは、いましがたラジオできいた、兵隊へいたいさんのうたみみについて、おもされて、あつなみだが、ほろほろとながれてきました。
ゴウ、ゴウと、おとをたて北風きたかぜつのりはじめました。そらあおげば、つきをかすめて、くろくもが、いくつもつらなって、きつねかおおかみのれが、あとからあとからけていくように、西にしほうから、ひがしそらかってはしっていました。そして、ひがしそらてはくらになって、ほしひかりすらえなかったのです。
「また、吹雪ふぶきになってきた。」と、おじいさんはひとごとをして、野原のはらみちいそいでいました。わずかに昼間ひるまひととおった足跡あしあとが、ゆきおもてがついているばかりでした。
たちまち、つきひかりはかげってしまって、かぜにまじって、ゆきがちらちらとしておじいさんのえりもとへはいったのです。
「とうとうこまったことになったぞ。」
まだあちらのむらかないうちに、まったくくちけられないような吹雪ふぶきとなってしまいました。おじいさんは、一も、この吹雪ふぶきかってはあるけなくなりました。
それでもおじいさんは、ようやくのおもいで、むらはずれのちいさな神社じんじゃにたどりつきました。そして軒下のきしたにちぢこまって、吹雪ふぶきのやむのをっていましたが、らぬつかれがて、うとうととねむってしまったのです。やしろ境内けいだいにあるすぎのえだから、ドタ、ドタといって、もったゆきちました。すると粉雪こなゆきかぜって、おじいさんのうえきかかりました。
「あっ、ねむってはいけない、よくこれでこごぬのだ。」
おじいさんは、ねむいのを我慢がまんして、夜明よあけをとうとおもいました。そして、みちがわかるようになったら、かえろうとかんがえていました。
おじいさんは、いくらねむるまいとおもっても、またうとうととねむってしまったのでした。このとき、がやがやというひとこえがして、おじいさんは、ふたたびおどろいてをさますと、吹雪ふぶきはやんで、つきひかりが、あかるくゆき世界せかいらしていました。
「いまごろ、なんだろうな。」
かおげて、あちらのみちると、はたて、まちほうへいく、出征兵士しゅっせいへいし見送みおく人々ひとびとれでした。
「おお、どこかとおむらひとで、停車場ていしゃじょうへ、兵隊へいたいさんをおくっていくのだな。」
おじいさんは、神前しんぜん階段かいだんからこました。そして、いのちたすけてくだされたかみさまにかって、わせておがんでから、みちほうへ、ゆきなかおよぐようにしてていきました。
「ご苦労くろうさんです。たいそうはやいおかけですのう。」と、おじいさんは、こえをかけました。
「はい、一ばんりますのに、おくれてはたいへんだとおもって、はやめにてきました。」と、兵隊へいたいさんのおとうさんらしいひとが、いいました。
吹雪ふぶきがやんでしあわせです。せがれ出征しゅっせいしていますので、わたしも、お見送みおくりさせてもらいます。」と、おじいさんは、みんなのなかくわわりました。
「あんたは、また、どうしてこんなにおはやく。」と、われたので、おじいさんは、まち醤油屋しょうゆやでラジオをいて、かえりにひどい吹雪ふぶきじこめられたことをあるきながら物語ものがたったのです。
 
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