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猟師と薬屋の話(2)

时间: 2023-08-31    进入日语论坛
核心提示: これにひきかえて、母子おやこのくまを打うたずにもどったやさしい猟人かりゅうどは、どうか、はやく、あの母子おやこのくまは
(单词翻译:双击或拖选)
 これにひきかえて、母子おやこのくまをたずにもどったやさしい猟人かりゅうどは、どうか、はやく、あの母子おやこのくまはどこかへかくれてくれればいいとおもいながらあるいてきました。
いえではおかみさんがっていました。
「うちのひとは、ひさしぶりでやまへはいったのだが、いい獲物えものつけて、うまくしとめて、無事ぶじにもどってくれればいい。そして、くまのいがいいれたら、子供こどもにも春着はるぎってやれるし、らしもよくなるだろうし、こんないいことはないのだが。」と、おもっていました。そこへ、おっとがからで、かえってきましたから、
獲物えものつかりませんでしたか。」と、ききました。猟師りょうしは、つけたが、母子おやこぐまが、平和へいわ無邪気むじゃきに、あそんでいるので、かわいそうでてなかったとこたえました。
すると、おかみさんが、またやさしいこころひとで、
「それは、いいことをなさいました。親子おやこじょうに、人間にんげんもくまも、かわりはないでしょう。おもいやりがあるなら、どうしてそれがたれましょう。また、をあらためて、おかけなさいまし。」といったのであります。
二、三にちたってから、猟師りょうしは、ふたたび鉄砲てっぽうをかついでかけました。すると途中とちゅうで、なんでもこのあいだのこと、猟師りょうしやまでくまをちそこねて、くまのためにおおけがをしてやまくだったというはなしをききました。
「それなら、自分じぶんがもどるときに、あったあの猟師りょうしでなかろうか。たいへん自慢じまんをしていたが、きっとちそこねて、くまにかみつかれたのかもしれない。」と、猟師りょうしかんがえました。
、そんなことがあると、くまはがたっていますから、もし、こんど人間にんげんたら、どんなにおこってびかかってくるかもしれないとかんがえましたから、猟師りょうしはすこしも油断ゆだんをせずにやまなかへはいってゆきました。
このまえははぐまとぐまのあそんでいた、裏山うらやままでやってきました。ああ、ここだったなとおもってながめますと、そのときとおなじように、とちのは、黄色きいろにいろづいて、じゅくしたがいくつも、いくつもぶらさがっていました。しかし、くまの姿すがたは、今日きょうえませんでした。
「あの猟師りょうしったくまというのは、あのときのははぐまではなかったろうか。」と、猟師りょうしおもいました。
もし、そうであったら、あのははぐまとぐまは、いまごろどうなっているだろうとかんがえながら、一、一おくへとはいってゆきました。
たちまち、猟師りょうしは、くさたおれているところへました。それは、くまが、もうすこしまえとおったあとでした。こうなると、いつ、どこからくまがしてくるかわからないので、猟師りょうし用心ようじんうえにも用心ようじんをして、ゆきますと、どこか、あちらのがけのあたりで、ものすごいうなりごえのようなものがきこえました。
「あ、こないだの猟師りょうしたれた、くまがきずをうけてたおれているのだな。」と、猟師りょうしはすぐにあたまかびました。
「よし、おれが、今日きょうはしとめてくれるぞ。」とりきんで、猟師りょうし足音あしおとしのんで、ちかよって、そのようすをうかがいました。ところがどうでしょう。たおれているのは、まさしくこのあいだのははぐまであって、ぐまが、かなしそうに、おかあさんの傷口きずぐちをながめながら、なめては、またなめているではありませんか。
これを猟師りょうしは、どうして、鉄砲てっぽうけることができましょう。かれは、づかれないようにあとずさりをしました。そして、また、くまをたずにいえへもどったのでありました。
「ああ、らしのためといいながら、なんて殺生せっしょうするのはいやな商売しょうばいだろう。あのくまをころすのはぞうさもないが、かねのために、そんなむごいことができようか。」と、猟師りょうしがためいきをつきました。
ところが、こまったことには、おかみさんがおもいかぜにかかって、どっさりとこについたのです。貧乏びんぼうで、医者いしゃにかけるどころか、あたたかなおいしいものをたべさせることもできません。たのむところはなし、どうすることもできなく、猟師りょうし自分じぶんのだいじな鉄砲てっぽうろうと決心けっしんしました。なぜならほかに、るような金目かねめ品物しなものは、なんにもなかったからです。
「これを手放てばなしてしまえば、明日あしたから、自分じぶんは、りょうにゆくことができない。」と、おもいましたが、つま病気びょうきなら、そんなことをいっていられませんので、あるあさ鉄砲てっぽうって、まちかけようとしました。
ちょうど、そこへ、たび薬屋くすりやさんがやってきました。あれから、くまちにいかなかったかと、たずねましたから、猟師りょうしが、そののことをすっかりけて物語ものがたったのでした。だまってきいていた薬屋くすりやさんが、いくたびもうなずいて、
「いや、やさしいおこころがけです。それでこそ、ほんとうの人間にんげんです。わたしは、こうして真正しんせいのくまのいをさがしていますのも、ひといのちたすけたいためからで、ただかねもうけのためばかりではありません。きけばおこまりになって、商売道具しょうばいどうぐをおりなさるとか、とんだことです。わたしは、ここにかねいてゆきますから、このつぎきますまでに、そんなかわいそうなくまでない、もっとおそろしいおおぐまをしとめて、きもをとっておいてください。」といって、かねわたしてゆきました。
あとで、このはなしきいたむらひとたちは、猟師りょうしをほめれば、また薬屋くすりやさんを感心かんしんな人ひとといって、ほめたのであります。
 
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