は博良といって、みんな「ひろちゃん」とよんでいます。ひ
ろちゃんは、じいちゃんと栃木県にすんでいて、トラックの運
転手をしています。ぼくと顔がにていて教頭先生とコンビニ
でぐうぜん会った時、ぼくのお父さんかと、まちがえたくらい
です。
ぼくは今、じいちゃんちに泊まりに来ています。しかしひろ
ちゃんは、朝早くから夜おそくまで仕事なので、なかなか会え
ません。ひろちゃんの仕事が休みの日曜日が、ぼくは大好きで
す。日曜日は、なかなか起きてくれないひろちゃんをぼくは必
死で起こします。ぼくは四人兄弟で一番お兄ちゃんです。だ
から、弟や妹にお母さんを取られてしまうけど、ひろちゃんが
遊んでくれるから、さみしくありません。けれども、一人じめ
したいのに、弟や妹が遊びに入ってくるのが少しいやです。ひ
ろちゃんは色々な事を教えてくれます。歴史や宇宙の話、そ
れから戦争の話も聞きました。少しむずかしいけれど、もっと
もっと聞きたくなるような事ばかり教えてくれます。まるで
先生かと思えるように・・・・。そんなひろちゃんが、かなちゃ
んという人とけっこんしました。ある日曜日、ひろちゃんとか
なちゃんは出かけてしまいました。次の日の日曜日も出かけ
てしまい、ぼくは、ひろちゃんが取られてしまった気がして、
かなしくて泣いてしまいました。でも、ひろちゃんはぼくに話
があると言って、部屋によんでくれました。かなちゃんも部屋
にいて、また取られてしまう気がして、ぼくはすぐにひろちゃ
んのひざの上にすわりました。すると、
「赤ちゃんが産まれるんだよ。竜丸かわいがってな。よろし
くな。」
と、言われました。ぼくはビックリしました。かなちゃんのお
なかもさわらせてもらいました。とっても、あったかくて、や
さしい気持ちになりました。
その次の日曜日は、ぼくを映画に連れて行ってくれました。
やっと大好きなひろちゃんを一人じめ出来て、うれしくてあ
まり映画を見られませんでした。帰りの車の中で、
「赤ちゃんが産まれても二人で出かけよう。」とひろちゃんは
言いながら頭をなでてくれました。ぼくは、ホッとしてなみだ
が出てしまったから、はずかしくて車のまどから外を見なが
ら、心の中で「うん」と返事をしました。
ひろちゃん、赤ちゃんが産まれたら、ぼくがいっぱいめんど
うみてあげるからね。オムツだって上手に取りかえられるん
だよ。そして、赤ちゃんが大きくなったら、たくさんの事をぼ
くが教えてあげるからね。だから、ぼくのことをわすれないで
ね。赤ちゃんが、すわれるようになるまでは、ひろちゃんのひ
ざの上は、ぼくのものだからね。ありがとう、ひろちゃん。大
好きだよ!