シャカ シャカ シャカ。茶せんをふる音がリズムを刻み、
私は自然と背筋がしゃんとなる。どうぞ召し上がれと差し出
され、まず、大好きな抹茶の香りにつつまれる。ゆっくりと口
に含むと、そう、この味!おばあちゃんが立ててくれたお茶は
最高!格別なのだ。私のおばあちゃんは茶道の先生。家に遊
びに行くと、季節を感じるお干菓子や和菓子が私を迎えてく
れる。美味しいお茶を頂きながらおばあちゃんとの楽しい会
話が始まる。
「一期一会」
おばあちゃんから教わった言葉。あなたとこうして出会っ
ているこの機会、この時間はもう二度と巡っては来ないたっ
た一度きりのもの。だから、今出来る最高のおもてなしを、と
いう千利休の茶道の心得からくるこの言葉の思いをとても大
事にするおばあちゃんは、どんな小さな出来事や出会いも自
分にやってきてくれた貴重な巡りあわせに感謝して「ありが
とう、ありがとう」とよく口にする。
おばあちゃんの代わりに物を取ってあげる、荷物を持って
あげる、咳き込む背中をさすってあげる。私は当たり前のこと
をしているだけなのに、当たり前でさえも「ありがとう、あり
がとう」と繰り返すおばあちゃん。私はくすぐったく、照れく
さくなる。同時に私は嬉しさで心も体もぽかぽかになる。「あ
りがとう」の言葉からはまるで幸せのエネルギーが放出され
ているみたい。そしてこの幸せのエネルギーを浴びると人は
笑顔になる。一瞬にして温かくほっこりした空気がその場を
包み込む。おばあちゃんが私に教えてくれた。
おばあちゃんの大変身、お茶会や教室などお茶の催しに出
席する時のおばあちゃんが私は大好きだ。さっそうと着物を
着こなし、茶道の心得だけでなく、感謝の念の大切さを話すお
ばあちゃんは凜として、そしてきらきらしている。「一期一
会」の思いを常に心に抱き、幸せのエネルギーを放つおばあ
ちゃんには笑顔のお返しがやってきて、そのお返しに対して
また「ありがとう」と感謝するおばあちゃん。おばあちゃん
を取り巻く幸せ連鎖をパワーに変えて、だからおばあちゃん
は生き生きと輝いて毎日を送っているんだね。
おばあちゃん、私は人として大切なものをおばあちゃんか
ら学んでいます。おばあちゃんから幸せのエネルギーをいっ
ぱい貰って成長しています。おばあちゃん、ありがとう。おば
あちゃんのように「一期一会」に感謝する心を持ち、輝ける
人でありたい。そしておばあちゃん、いつも愛情たっぷりのお
茶を私に入れてくれてありがとう。いつかおばあちゃんに瑳
記最上級のお茶を立ててあげたい。
「さきちゃんが立ててくれたお茶は最高!格別ね! 」
その時はおばあちゃん、言ってくれるかな。