ワイしている。そのころ、お母さんは一人で洗濯物を干した
り、家の片づけをしたりと、みんながいない間、一生けん命静
かな家の中で動いてくれている。私や弟二人が帰ってくると、
つかれた顔を何ひとつ見せずに笑顔で、「おかえりっ! 」って
言ってくれる。少したつと、お父さんも帰ってきて洗い物を出
してパソコンの前にこしを下ろした。けれどお母さんはこし
を下ろしたり、イスに座ったりなんかしない。晩ご飯のしたく
をしていて、洗い物や部屋の片づけなど休むひまもなかった。
私も手伝いをしようと思ったけれど、
「いいよ手伝わなくても。お母さんの事より、自分の事をしな
よ。大丈夫だから。」
お母さんの顔が少しほほえみのある表情だった。その言葉
と表情が私の頭の中をグルグル回ってて頭からはなれなかっ
た。
お母さんは、今一年生の弟の宿題を見ながら晩ご飯をつ
くっている。私は自分の部屋で宿題をし始めた。私は、お母さ
んが少しでも楽になれるように、宿題をしている弟に注意を
した。お母さんは安心したのか、何も言わずに料理をした。
晩ご飯の時、お母さんが入院する話になった。私の心が「ド
キンッ」とした。前から知っていたのに「ドキンッ」とした。
お母さんは、となりの市まで行って手術をしなくてはならな
い。入院は短くて一週間と言われていた。
入院当日。お母さんは朝からせっせと大きなかばんに荷物
をつめこんでいた。それを見ながら私は朝ご飯を食べていた。
「行ってきます! 」大きな声を出して元気にドアを開けた。
「いってらっしゃい! 」家の奥からお母さんの声が返ってき
た。それから私は、学校へ行き、勉強をして、家に帰ってきた。
げんかんに入って、「ただいま! 」って言った。でも返事は
返ってこない。「あっそうか。もう行っちゃったんだ。」少し
がっかりした。でも、たったの一週間だから少しのがまん。少
しのがまん。そうやって自分をはげました。一日、一日と思っ
たより長い時間に思った。金曜日の夜の晩ご飯は、なんだか
とてもさみしく感じていた。そんな時、お父さんのけいたいに
メールが一件届いた。お母さんだ。中にはこう書いてあった。
「日曜日にたい院できます。」今までさみしかった気持ちが、
あっというまになくなっていた。
日曜日、家族みんなでむかえに行った。お母さんは、少し
顔がはれていたけれど、いつもの笑顔は全ぜん変わっていな
かった。帰りの車の中、久々に家族がにぎわっているのが分
かった。私は、「お母さん」という人の存在を知った。今まで
当たり前だと思っていたことも、大切にしようと思えた。
お母さんいつもありがとう。お母さんの「いってらっしゃ
い。」「おかえり。」また聞きたいな。