白山島(おしま) (山形県鶴岡市)
神が常在する聖地、「御島」と呼ばれた島
「白山島」と書いて「おしま」と読む。山形県鶴岡市、由ゆ良ら集落の西の海岸沖に浮かんでおり、本土とは橋で結ばれている小島である。この島は玄武岩によって形成されていて、高さ約七〇メートル、幅一三五メートル、周囲四三六メートルとなっている。古くから「御島」と呼ばれ、神が常在する聖地として崇あがめられていたという。
ふつうは、白山島と書いて「おしま」とはなかなか読まないためか、実際には「はくさんじま」とも呼ばれていて、これでも一応通じるようだ。
ところでこの島、いまから約三〇〇〇万年ほど前に、火山の噴火によってできたといわれている。そのため、神の力によってつくられたというイメージがあるのではないだろうか。
島の頂いただきには白はく山さん神社があり、白山権ごん現げんとして十一面観音を祀っている。また、「胎内くぐり」という場所は羽は黒ぐろ権現誕生の地であるとし、近くの八や乙女おとめの霊地との関連も示し唆さしている。
豊かな海に囲まれている土地柄から、漁民の信仰も厚く、船絵馬などがよく奉納された。たとえば、当時の海中や海岸での拾い物、難破、破船などの慣習について由良村の惣そう百びやく姓しようや水みず呑のみが「板札え相認」奉納し、確認しあったという記録が残っている(『白山権現江起誓記』伊藤文書より)。