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兎の眼13

时间: 2018-10-27    进入日语论坛
核心提示: 13 みなこ当番  さいしょの当番は勇二と照江だった。朝、みな子は席をかわった。勇二と照江にはさまれるようにしてすわった
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  13 みなこ当番
 
 
 
 さいしょの当番は勇二と照江だった。朝、みな子は席をかわった。勇二と照江にはさまれるようにしてすわった。
 
 淳一がバイバイと手をふると、みな子は同じように笑って手をふっていたのに、一時間めの授業がはじまると、じき席をたって淳一のところにきた。
 
「みなこちゃん、あんた、もうぼくのところへきたらいかんのやで」
 
 淳一はみな子の手を引いて、勇二のところへつれていった。
 
「ちゃんと、みなこちゃんをみたらなあかんで」
 
 と勇二にいっている。
 
 小谷先生はにこにこして、だまってそれを見ていた。いちど子どもにまかしたら、できるだけ口を出すまいと心に決めているふうだった。
 
 一時間めのとちゅう、淳一のところへいくのをあきらめたみな子は、ふらっと外へ出た。それっとばかり勇二と照江はみな子について出る。勉強の好きでない勇二は、どうやらその機会をまっていたようなふしがある。
 
 小谷先生はくすっと笑った。
 
「みなこちゃん、チョウチョウや」
 
 勇二はがぜんはりきって、チョウチョウのとんでいるまねをする。みな子はケラケラ笑ってチョウチョウになった。
 
 三匹のチョウチョウは運動場に出た。みな子チョウはかける。勇二チョウと照江チョウはおいかけるのにけんめいで、鼻の頭に汗をかいている。
 
「なにしとるんや、あいつら」
 
 体育をしていた六年生はけげんな表情で、みな子たちを見ている。
 
 ぞんぶんに広い場所をかけまわった三人は、スベリ台で遊ぶことにした。みな子は高いところにあがるのが好きだ。
 
 みな子は手足がじょうぶでない。高いところにのぼったら、かならずいっしょにあがってどこかをつかまえておくように、小谷先生からくれぐれも注意されている。勇二も照江もいっしょにスベリ台にのぼった。
 
 このごろの小学校では、スベリ台なんて遊具にはあまり人気がない。一年生が、はじめにちょっと使うだけで、後は赤くさびつかせたままほうってある。
 
 そんなところを、みな子はいっきにすべる。あわてて勇二も照江もすべった。
 
「おしりまっかかや」
 
 照江はなさけなさそうな顔をしていった。
 
「ほんまや」と勇二がいう。
 
 みな子は笑う。また、のぼる。おいかけるふたり。みな子はすべる。ふたりもすべる。
 
「みなこちゃん、おしりまっかかになるで。すべりだいやめて、てつぼうしよう、ね、みなこちゃん」
 
 照江はいっしょうけんめいみな子にいいきかせている。
 
「みなこちゃんはかしこいね。おりこうさんでしょ。あっちへいきましょ」
 
 みな子の頭をなでて、照江はごまかすのにいっしょうけんめいだ。
 
「なんで、おなじことばかりするんやろ」
 
 勇二もおうじょうしている。
 
 ぱっと照江の手をふりはらって、みな子は走る。また、スベリ台にのぼった。
 
「パンツやぶれるやん」照江は泣きそうな声を出した。
 
 二時間めがおわるころ、勇二は、泣いている照江と、笑っているみな子をひきずって教室にかえってきた。
 
 三人のお尻をみて、子どもたちは笑いころげた。ぱっくり大きな穴があいている。もちろんパンツはどろどろだ。
 
 みなこ当番の一日めはたいへんだった。役目をおえたふたりは、みんなから拍手を受けた。みな子をむかえにきたおばあさんに礼をいわれて、ふたりは顔をくしゃくしゃにさせた。
 
 勇二も照江も、今夜はぐっすりねむることだろう。
 
 当番がまわってこなくても、この仕事のたいへんさは、子どもたちによくわかっているようだった。
 
 当番の二、三日前になると、すでに当番のおわった者のところへいって、いろいろみな子のことをたずねている。淳一はさしずめみな子の専門家だ。だれがききにきても、淳一はていねいに教えてやっている。
 
 小谷先生は当番のはじまった日から学級通信の発行をはじめた。みなこ当番のようすを中心に、その日のクラスのできごとを家庭に知らせるのだった。小谷先生は通信のはじめに、このあいだの淳一のことばを大きな字で印刷した。
 
ぼく
 
みなこちゃんがノートやぶったけど
 
おこらんかってん
 
本をやぶってもおこらんかってん
 
ふでばこやけしゴムとられたけど
 
おこらんかってん
 
おこらんと
 
でんしゃごっこしてあそんだってん
 
おこらんかったら
 
みなこちゃんがすきになったで
 
みなこちゃんがすきになったら
 
めいわくかけられても
 
かわいいだけ
 
      *
 
 五日めにちょっとした事件があった。
 
 清と道子が当番のときで、二時間めにみな子の後をおって運動場に出た。しばらくいっしょに遊んでいたが、オシッコジャアーがはじまって、清と道子はいそいでみな子を便所につれていこうとした。
 
 走りかけたが、みな子はその場でもらしてしまった。
 
「やったでえ」と清はのんびりといった。
 
「せんせいにパンツもらってきて」
 
 勝気な道子は自分で始末するつもりらしい。清が報告にきたので、小谷先生はいそいで現場にいった。
 
「あらあら」
 
 小谷先生はみな子のぬれたパンツをぬがそうとした。
 
「せんせい、わたしらみなこちゃんのとうばんやから、わたしらでする」
 
 道子はぴーんとした声でいった。小谷先生は、はっとして、思わず、
 
「ごめん、道子ちゃん」といった。
 
「それじゃお願いするわね。先生、教室にかえるわ」
 
「いって」
 
 まだ道子はつんつんしている。
 
 その後、事件がおこった。
 
 パンツをぬがされたみな子は、気持がよくなったのか、すぐ、そばにあった飼育池にはいっていこうとした。藻が繁殖していて、一帯がぬらぬらしていた。
 
 片足がはいるやいなやみな子はひっくりかえって、あっというまに、頭から水の中に落ちた。それを見て、道子はずかずかと池にはいっていった。みな子を助けようとして手をさし出した。みな子の手が道子の手にふれた。そのしゅんかん、道子も水の中へたおれた。
 
 それからふたりはおぼれたトンボになった。清がわあわあさわいだ。体育をしていた佐山先生があわててかけつけて、ふたりを助けた。佐山先生もいちど池でしりもちをついたくらいだから、よほどよくすべる池だったのだろう。
 
 小谷先生は大目玉をくった。とくに教頭先生からは、つよく叱られた。小谷先生はひたすらあやまるだけで、一言もべんかいをしなかった。へたにべんかいをして、当番の禁止をもうしわたされたらこまるからだ。
 
 みなこ当番をはじめようとしたとき、こういうことがあるだろうということを、小谷先生はあらかじめかくごしていた。
 
 小谷先生は学校のすみずみまで歩いて、この場所ではこういう事故がおこりそうだと、いちいちてんけんしていた。屋上とか、ゴミを焼く炉の上とか、重大なきけんがおこりそうなところは、みな子をつれていかないこと、みな子が行きかけたら力ずくでもとめることなどを、子どもたちに話してあった。
 
 話すだけでなしに、じっさいに子どもたちをつれて歩いて、一つ一つ、ここではこうするああすると教えてあった。
 
 それでも小さな事故はおこるだろう。しかし、それを恐れていたらなにもできないと小谷先生は思った。子どもはケガをさせないようにして、もりをしているだけでいいと公言してはばからない教師がいたが、小谷先生はそんな人を軽べつしている。
 
 それにしてもだいぶ叱られちゃったナと思いながら、小谷先生は校長室を出た。どうしたの、と折橋先生にいわれて、ぽろっと涙がこぼれた。
 
 足立先生がポーンと肩をたたいた。
 
 くよくよするなと小谷先生は自分にいいきかせた。あしたの当番は鉄三ちゃんだ、鉄三ちゃんうまくやるかなァと小谷先生は思った。鉄三と組になった女の子はやよいといって、めだたない子だった。道子のように気性のつよい子と組んでくれていたら、安心してみていられるのだが、鉄三とやよいでは、ちょっと心細い。
 
 鉄三ちゃんがんばってね、と小谷先生は祈るような気持だった。
 
 つぎの日、鉄三はふだんとかわらない顔をして学校にきた。やよいは朝から心配そうなようすだ。
 
 一時間め、みな子は数え棒やおはじきを出して、わりあいおとなしく遊んでいた。
 
 鉄三は知らん顔をしている。小谷先生は心配だ。鉄三の顔を見ていると、人のことなど知らんといっているような気がしてしまうのだ。
 
 二時間め、みな子は外へ行きたそうなそぶりをみせた。すると、鉄三の方が先に立った。鉄三は歩きはじめた。みな子はばたばたと後をつけた。やよいもあわてて走った。
 
 小谷先生は窓からちらちら鉄三たちを見ていた。
 
 鉄三は先に歩く、みな子とやよいが後をつけている。こんなかっこうは、きょうがはじめてだ。いつもみな子の後を、当番の者がおいかけているのだ。これはおもしろいぞと小谷先生は思った。
 
 鉄三たちは校門のそばの桜の木のところまできた。上を向いて桜の葉を見ている。三人とも口をあんぐりあけて上を向いているが、みな子とやよいは、鉄三のまねをしているだけである。
 
 しばらくして、鉄三は桜の木をゆすった。ばらばらっとなにか落ちてきた。鉄三はそれをていねいに拾いあつめた。
 
 みな子とやよいがのぞきこんでいる。四センチくらいの毛虫なのだ。やよいは気味わるそうだが、みな子はそれを手でつついてキャッキャッとよろこんでいる。
 
 毛虫をもって砂場まできた。穴をほって、ひとまず毛虫をそこに入れた。鉄三は砂地を平らにならした。その上に毛虫をぱらぱらとゴマでもふるようにおいた。そしていそいで三センチくらいの厚さに砂をかけた。
 
 三人はお尻を立ててのぞきこんでいる。三十秒ほどすると、あっちからもこっちからも、にょろにょろ毛虫は首を出した。なんとも奇妙なながめだ。
 
 みな子は毛虫を見て笑い、鉄三の顔をのぞきこんで笑っている。よほど気に入ったのだろう。二、三回同じことをくりかえすと、こんどは、みな子が自分でやりはじめた。だれがやっても毛虫は顔を出す。みな子は前よりもいっそう大声で笑った。
 
 みな子はすっかりごきげんだ。
 
 窓から見ているだけでは気になるのか、ときどき小谷先生は鉄三たちのようすを見にきた。そして安心して教室へかえっていった。鉄三はみな子を遊んでやっているふうでもない、自分勝手に好きなことをやっているのだが、みな子はよろこんでいる。
 
 小谷先生は感心した。いままでの当番はどっちかというと、みな子にふりまわされていたようなところがある。みな子がブランコをすればブランコ、タイヤとびをすればタイヤとび、もっとも、そうしなければ、みな子はそっぽを向いてしまうのだから、しかたないわけでもある。鉄三はちがう。鉄三はすこしもみな子のきげんをとらない。
 
 三時間め、鉄三たちは小谷先生の眼のとどかないところにいってしまった。小谷先生は心配になってさがしにいった。
 
 西校舎の裏側に三人はいた。みな子のかん高い笑い声がひびいていたので、みな子ちゃんごきげんなんだナと小谷先生は思った。
 
 三人ともなにか作っていた。近くに寄ってよく見ると、奇妙な形の粘土細工のようなものがおいてあった。工事のときに使って、そのまま置きわすれていた赤土を、水でこねて作ったらしい。
 
 鉄三のはまん中がかたつむりのからのようで、ちゃんとうずまきのすじがついている。それが中心で、そこから太い線香のような足が、十本ほど四方にのびている。細い木の枝をつまようじのように折って、その作品につきさしてあった。抽象彫刻のようなおもしろさがあった。
 
 みな子はダンゴのようなたまを、無造作につみあげて、やっぱり木の枝をさしてある。かんたんなだけにかえって力づよいものを感じさせた。やよいはふたりを手伝ったらしく自分の作品はなかった。
 
「すごいものを作るわね。ピカソのおじさんが見たら、泣いてよろこぶわよ」
 
 小谷先生は自分が学校の教師であることがはずかしかった。
 
 四時間め、たいへんなことがおこった。
 
 三人は粘土遊びをやめて、西校舎から運動場をよこ切って、自分たちの教室へかえるところだったようだ。運動場では、山内という学年主任の先生と太田先生のクラスが簡易サッカーをやっていた。どちらも五年生だった。子どものけったボールをみな子は笑いながらおいかけてラインの中にはいった。ピーと笛がなって、審判をしていた山内先生は、こらっとさけんだ。それでもまだ、みな子は笑ってボールをおっていたので、山内先生はみな子の首すじをつかんで、ラインの外へ引きずり出そうとした。
 
 そのときだ。鉄三にとびかかられた山内先生は右の腕にするどい痛みを感じた。おうとさけんでふりはなそうとしたが、しがみついてはなれないので、鉄三の顔を二、三発なぐった。太田先生がとんできて、やっとの思いで鉄三を引きはなしたが、一部始終を見ていた太田先生は、鉄三を引きはなすとき、思わず、
 
「あんたが悪い」
 
 といってしまったのだ。
 
「なに!」
 
 と山内先生がかえして、それでもうれつな口論になった。太田先生は小谷先生と同じで、ことし教師になったばかりの若さだから、いちど火がついたら、なかなかおさまらない。子どもの前だったので、さすがに気がひけたか、ふたりは職員室までかえってきたが、そこからがすごいけんかになってしまった。
 
 山内先生は眼が血走っているし、太田先生はまっ青な顔をしている。昼休みのベルがなって先生たちもたくさん職員室におりてきた。
 
「礼儀しらず、やめてしまえ!」と山内先生はどなった。
 
 やめてしまえとはどういうことだ、やめてほしいのはあんたの方だ、戦場に子どもを送りこんでおいて、ぬけぬけと教師をしているなと太田先生はやりかえした。山内先生の世代は、それをいわれるといちばん気にする。山内先生は思わず太田先生の胸ぐらをつかんだ。
 
「とめてえ!」
 
 女の先生はひめいをあげた。
 
「とめるなとめるな、こんなときに太田くんにいわせろいわせろ」
 
 足立先生が太田先生の味方をしたので、こんどは教頭先生がどなりだした。足立先生もどなりかえした。
 
 とうとう二組のけんかがはじまった。
 
 事情をきいてとんできた小谷先生は、あまりのことに泣き出してしまったのだった。
 
「アダチィ、まけるな」
 
「オオタァ、やれ」
 
 いつのまにか、功や純ら、処理所の子どもたちが窓から首をつき出して、足立先生たちを応援している。
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