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仲店の
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こう云う親子の
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斜めに見たある
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綱を上ったり下りたりしている猿。猿は
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この玩具屋のある仲店の片側。猿を見ていた少年は急に父親のいないことに気がつき、きょろきょろあたりを見まわしはじめる。それから向うに何か見つけ、その方へ
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父親らしい男の後ろ姿。ただしこれも膝の上まで。少年はこの男に追いすがり、しっかりと外套の袖を
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もう一度父親らしい後ろ姿。ただし今度は
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この男の前を向いた顔。彼は、マスクに口を
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仲店の片側。少年はこの男を見送ったまま、
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「目金を買っておかけなさい。お父さんを
「僕の目は病気ではないよ。」
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斜めに見た
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飾り窓の板硝子越しに造花を隔てた少年の上半身。少年は板硝子に手を当てている。そのうちに息の当るせいか、顔だけぼんやりと曇ってしまう。
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飾り窓の中の鬼百合の花。ただし後ろは暗である。鬼百合の花の下に垂れている
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「わたしの美しさを御覧なさい。」
「だってお前は造花じゃないか?」
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煙の満ち充ちた飾り窓の
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それ等の城の一つ。この城の門には兵卒が一人銃を持って佇んでいる。そのまた
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この城の門の上。そこには横にいつの
「この門に入るものは英雄となるべし。」
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こちらへ歩いて来る少年の姿。前の煙草屋の飾り窓は斜めに少年の後ろに立っている。少年はちょっとふり返って見た
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斜めに見た
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西洋人の女の人形。人形は静かに扇をひろげ、すっかり顔を隠してしまう。それからこの人形に
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前の射撃屋の店。少年はまた空気銃をとり上げ、今度は熱心に
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始めはただ薄暗い中に四角いものの見えるばかり。その中にこの四角いものは突然電燈をともしたと見え、横にこう云う字を浮かび
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劇場の裏の上部。火のともった窓が一つ見える。まっ
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この劇場の裏の
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同じ劇場の裏の上部。火のともった窓には踊り子が一人現れ、冷淡に目の下の往来を眺める。この姿は
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往来に立った少年の足もと。小さい花束が一つ落ちて来る。少年の手はこれを拾う。花束は往来を離れるが早いか、いつか
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黒い一枚の
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池の向うに並んだ何軒かの映画館。池には勿論電燈の影が幾つともなしに映っている。池の左に立った少年の
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カッフェの飾り窓。砂糖の塔、
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このカッフェの外部。夫婦らしい中年の
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テエブルの前の子供
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斜めに見える自動計算器。計算器の前には手が二つしきりなしに動いている。勿論女の手に違いない。それから絶えず開かれる
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前のカッフェの飾り窓。少年の姿も変りはない。しばらくの
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人だかりのまん中に立った
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彼の手に持った一本の帯。帯は前後左右に振られながら、片はしを二三尺現している。帯の模様は
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メリヤス屋の
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行火の裾に坐っている黒猫。左に少年の
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「坊ちゃん、スウェエタアを一つお買いなさい。」
「僕は帽子さえ買えないんだよ。」
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メリヤス屋の露店を後ろにした、疲れたらしい少年の
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かすかに星のかがやいた夕空。そこへ大きい顔が一つおのずからぼんやりと浮かんで来る。顔は少年の父親らしい。愛情はこもっているものの、何か無限にもの悲しい表情。しかしこの顔もしばらくの
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斜めに見た
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「XYZ会社特製品、迷い子、文芸的映画」と書いた長方形の板。これもこの板を前後にしたサンドウィッチ・マンに変ってしまう。サンドウィッチ・マンは年をとっているものの、どこか
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縦に見た前の往来。松葉杖をついた
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「急げ。急げ。いつ
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往来の
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斜めに見た
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大きい
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理髪店の外部。大きい窓
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頭を
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セセッション風に出来上った病院。少年はこちらから歩み寄り、石の階段を登って
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膝の上に組んだ看護婦の両手。前になった左の手には婚約の指環が一つはまっている。が、指環はおのずから急に下へ落ちてしまう。
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わずかに空を残したコンクリイトの塀。これもおのずから
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金庫をこじあけている西洋人の人形。ただしこの人形の手足についた、細い糸も何本かははっきりと見える。……
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斜めに見た前のコンクリイトの塀。塀はもう何も現していない。そこを通りすぎる少年の影。そのあとから今度は背むしの影。
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前から斜めに見おろした往来。往来の上には落ち葉が一枚風に吹かれてまわっている。そこへまた舞い
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大きい
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焼き
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前の
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斜めに上から見おろしたベンチ。板を透かしたベンチの上には
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前の常磐木のかげにあるベンチ。ただし今度は斜めになっている。ベンチの上には背むしが一人蟇口の中を
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写真屋の飾り窓。
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横から見た
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観音堂の正面の一部。ただし
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斜めに上から見おろした、大きい長方形の
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大きい
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前の石燈籠の下部の後ろ。男が一人
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この男の上半身。もっとも顔だけはこちらを向いていない。が、静かに振り返ったのを見ると、マスクをかけた前の男である。のみならずその顔もしばらくの
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前の石燈籠の上部。石燈籠は柱を残したまま、おのずから
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前の石燈籠の下部。少年は前と変りはない。そこへ帽を
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前の石燈籠の下部の後ろ。今度はもう誰もいない。
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前の
(昭和二年三月十四日)
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