に問われたる木樵 りの物語
さようでございます。あの
死骸は
検非違使に問われたる旅法師 の物語
あの死骸の男には、確かに
あの男がかようになろうとは、夢にも思わずに居りましたが、
検非違使に問われたる放免 の物語
わたしが
この
検非違使に問われたる媼 の物語
はい、あの死骸は手前の娘が、
娘でございますか? 娘の名は
武弘は
× × ×
多襄丸 の白状
あの男を殺したのはわたしです。しかし女は殺しはしません。ではどこへ行ったのか? それはわたしにもわからないのです。まあ、お待ちなさい。いくら
わたしは
何、男を殺すなぞは、あなた方の思っているように、大した事ではありません。どうせ女を
しかし男を殺さずとも、女を奪う事が出来れば、別に不足はない訳です。いや、その時の心もちでは、出来るだけ男を殺さずに、女を奪おうと決心したのです。が、あの
これも
わたしは
藪はしばらくの
わたしは男を片附けてしまうと、今度はまた女の所へ、男が急病を起したらしいから、見に来てくれと云いに行きました。これも
男の命は取らずとも、――そうです。わたしはその上にも、男を殺すつもりはなかったのです。所が泣き伏した女を
こんな事を申し上げると、きっとわたしはあなた方より
しかし男を殺すにしても、
わたしは男が倒れると同時に、血に染まった刀を下げたなり、女の方を振り返りました。すると、――どうです、あの女はどこにもいないではありませんか? わたしは女がどちらへ逃げたか、杉むらの間を探して見ました。が、竹の落葉の上には、それらしい
事によるとあの女は、わたしが太刀打を始めるが早いか、人の助けでも呼ぶために、藪をくぐって逃げたのかも知れない。――わたしはそう考えると、今度はわたしの命ですから、太刀や弓矢を奪ったなり、すぐにまたもとの
清水寺に来れる女の懺悔
――その
その内にやっと気がついて見ると、あの
「あなた。もうこうなった上は、あなたと御一しょには居られません。わたしは一思いに死ぬ覚悟です。しかし、――しかしあなたもお死になすって下さい。あなたはわたしの
わたしは一生懸命に、これだけの事を云いました。それでも夫は
「ではお命を頂かせて下さい。わたしもすぐにお供します。」
夫はこの言葉を聞いた時、やっと
わたしはまたこの時も、気を失ってしまったのでしょう。やっとあたりを見まわした時には、夫はもう縛られたまま、とうに息が絶えていました。その蒼ざめた顔の上には、竹に
巫女 の口を借りたる死霊の物語
――
盗人にこう云われると、妻はうっとりと顔を
妻の罪はそれだけではない。それだけならばこの
妻はおれがためらう内に、何か
盗人は妻が逃げ去った
おれはやっと杉の根から、疲れ果てた体を起した。おれの前には妻が落した、
その時誰か忍び足に、おれの側へ来たものがある。おれはそちらを見ようとした。が、おれのまわりには、いつか
(大正十年十二月)
(声明:本文内容均出自日本青空文库,仅供学习使用,勿用于任何商业用途。)