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カニじいさん

时间: 2023-09-13    进入日语论坛
核心提示:カニじいさん妖星人R、カニ怪人といわれる怪物は、古山博士の書庫にしのびこんで、たいせつな美術品、推古仏をぬすみさってしま
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カニじいさん


妖星人R、カニ怪人といわれる怪物は、古山博士の書庫にしのびこんで、たいせつな美術品、推古仏をぬすみさってしまいました。
コンクリートだてで、窓には鉄棒のはまった書庫の中で、小さい仏像といっしょに、きえてしまったのです。えたいのしれぬ星のいきものですから、どんな力をもっているか、わかりません。コンクリートの壁でも、スーッと、つきぬけてしまうかもしれません。それとも、じぶんの姿を、おもうままにけすという、ふしぎな力をもっているのでしょうか。
空には夜ごとに、あのあやしいRすい星が、ぶきみな赤ちゃけた光をはなっていました。新聞などでは、仮にRすい星とよんでいましたが、これまでのどのすい星ともちがった、ふしぎな天体なので、天文学者のあいだに、大議論がおこっていました。それが毎日、毎日、新聞に大きくのせられるのです。
海からあらわれたカニ怪人が、千葉の別所少年に、へんなかたことで、しゃべったところによりますと、Rすい星は、怪星人が宇宙をとびまわる巨大なのりものだというのですが、それはほんとうなのでしょうか。
古山博士邸の盗難事件も、むろん、デカデカと新聞にのりましたので、日本じゅうがそのうわさで、もちきりでした。
もし、あの妖星が、大きなのりものだとすれば、それには何百ぴき、何千びきのカニ怪人がのっているかもしれない。東京にあらわれたのは、まだ一ぴきだけれど、やがて、日本全国に、あのいやらしいカニ怪人が、ウジャウジャとおりてきて、われわれは、みんな、ほろぼされてしまうのではないかと、日本じゅうの人がふるえあがってしまいました。
そんなある日のことです。明智探偵事務所では、明智探偵と助手の小林少年とが、テーブルにむかいあって、はなしこんでいました。
「古山博士のこどもの忠雄君は、少年探偵団員なのです。ですから、ぼくは忠雄君から、くわしい話を聞きました。カニ怪人というやつは、人間わざではできないことをやったのです。地球の人間にはしられていない、おそろしい力をもっているのでしょうか。」
小林君がいいますと、明智探偵は、じっと小林君の顔をみつめていましたが、やがて、みょうな笑いをうかべて、
「わたしは信じない。」
と、ぽつりといいました。
小林君は、ふしぎそうに、先生の顔を見かえします。
「ネジネジのしっぽをもったすい星が、あらわれたのは、だれもうたがうことのできない事実だ。これは天文学者にまかせておけばいい。だが、カニ怪人とかいうやつが、ロケットみたいなものにのって、地球へおりてきたということは、ぼくは信じない。怪すい星とカニ怪人とは、なんのかんけいもない、べつのできごとだとおもう。」
「それは、どういういみですか。」
小林君が、びっくりしてたずねました。
「いまにわかるときがくる。しかし、これは、ぼくらにとっては、大事件だよ。命がけのはたらきをしなければならない。きみもじゅうぶん、かくごしておくがいい。妖星人Rとなのるカニ怪人は、われわれ人間が、いままで、一度もであったことのない、おそろしいやつだからね。そのいみでは、あいつは妖星人にちがいないのだよ。」
小林君には、まだよくわかりませんが、いくらたずねても、先生は、それ以上、なにもおしえてくれないのです。でも小林君は、なんだかボンヤリと、わかったような気がしました。すると、あの、みにくい姿をした、カニのおばけみたいな怪物が、目のまえいっぱいのまぼろしとなって、ボーッと、みえてくるようです。
しかし、小林少年がカニ怪人に対面するのは、もっとあとのお話です。古山忠雄少年のつぎに、カニ怪人にぶつかったのは、おなじ少年探偵団員の井上一郎いのうえいちろう君でした。
井上君は、もとボクサーのおとうさんから、ボクシングをならって、うでにおぼえのある、強い少年です。
ある日の午後、井上君は、渋谷しぶや区のはずれのさびしい町をあるいていました。ふと気がつくと、道のわきに、草のはえた空地あきちがあって、そこに人だかりがしているのです。
あつまっているのは、中学生や小学生のこどもばかりでした。十五―六人が、なにかをとりまいて、みているのです。
井上君は、なんだろうと思って、そのほうへ、ちかよっていき、こどもたちの肩のすきまから、中をのぞいてみました。
少年たちにかこまれて、こじきのようなじいさんが、地面にしゃがんでいます。そのまえに、二つのたらいのようなブリキのおけが、おいてあり、そばに、一本の棒が、よこたわっていました。
じいさんは、二つのおけを、その棒の両はしに、縄でさげて、ここまでかついできたのでしょう。
ブリキおけの中には、大きいのや小さいのや、何百ぴきというカニが、ウジャウジャと、うごめいていました。このじいさんは、カニを売っているのです。
しかし、少年たちは、だれも、カニをかおうというものはありません。ただ目をみはって、じっと、じいさんの顔をみつめているばかりです。
それほど、このじいさんは、気味のわるい顔をしていました。
腰が二つにおれたように、まがった、もう七十ぐらいのおじいさんです。ネズミ色のダブダブのズボンに、シャツの上から、赤いチャンチャンコのようなものをきて、頭には赤い大黒だいこくずきんをかぶっています。
チャンチャンコにずきんというと、なんだか、ふくぶくしい、じいさんのようですが、そうではありません。そのチャンチャンコも、ずきんも、おそろしくよごれてしまって、赤だか、黒だか、わからないほどになっているのです。
それに、このじいさんの顔ときたら、おもわず身ぶるいするほど気味のわるいものでした。
かぞえきれないほど、横じわのあるひたい、ギョロリとした目、ひらべったい鼻、歯がないのか、ぺっちゃんこになった口、その口の上にも下にも、また、いっぱい、横じわが、きざまれています。そして、顔ぜんたいが、日にやけて、茶色になっているのです。
「だれもかわねえのか。いくじのねえガキどもだな。かわなきゃあ、おら、もう、いっちまうぞ。」
じいさんはジロジロと、少年たちをみまわしながら、しわだらけの顔で、にくまれ口をききました。
井上一郎君は、その顔をみて、ゾッとしました。カニとそっくりなのです。
おそろしく大きなカニです。
じいさんの目が、みんなのうしろにいる、背の高い井上君の目とぶっつかりました。
「あっ、そこへきた子、おめえ、かわねえか。」
井上君によびかけました。
井上君がだまっていますと、じいさんは、じっと井上君の顔をみつめたあとで、気味のわるい笑いをうかべながら、またよびかけました。
「うん、おめえだ。おらが、さがしてたのは、おめえだよ。ちょっと話がある。ええ話だ。おらといっしょに、むこうの森の中まで、きてくんろ。おめえのよろこぶ話だぞ。」
みょうなことになりました。このあやしいじいさんは、井上君を、むこうにみえる神社の森の中へ、つれていって、なにか話すことがあるというのです。
井上君は、にげだそうかとおもいました。しかし、考えてみると、あいては、よぼよぼのじいさんです。とっくみあったって、まけるきづかいはありません。それに、少年探偵団員として、こういう、あやしいじいさんと、話してみるのは、むだではないとおもいました。冒険はのぞむところなのです。
「おめえたちは、ここであそんでろ。おら、この子にちょっと話があるでな。」
じいさんは、少年たちに、そういいのこすと、二つのカニおけを、棒でかついで、えっちらおっちらと、むこうの森のほうへ、あるいていくのです。
井上君は、しかたがないので、そのあとから、ついていきました。
すると、うしろから、少年たちの声が、ひびいてきました。
「やーい、カニじじい……。」
「おまえの顔、カニとそっくりだぞう……。」
「カニ怪人だ、カニ怪人だ……。」
「ワーイ、ワーイ。」
井上君は、それをきいて、またゾッとしました。
ほんとうに、このじいさんは、あのおそろしいカニ怪人となにかかんけいがあるのかもしれないとおもったからです。
しかし、にげだす気には、なれません。カニ怪人にかんけいがあるなら、いっそう、このじいさんの正体をたしかめてやろうと決心しました。
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