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小林少年

时间: 2023-09-13    进入日语论坛
核心提示:小林少年そのあくる日のお昼すぎのことです。井上君が、あてがわれた部屋のいすに、こしかけていますと、いきなりドアがひらいて
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小林少年


そのあくる日のお昼すぎのことです。
井上君が、あてがわれた部屋のいすに、こしかけていますと、いきなりドアがひらいて、ひとりの少年が、ころがりこんできました。だれかが、外から、つきとばしたのです。
「あっ、小林さん。」
井上君がびっくりして、その少年をだきおこそうとしました。
「アハハハ……、井上、おまえの団長さんを、つれてきてやったぞ。まあ、ゆっくり、ふたりで、話でもするがいい。」
そして、パタンとドアがしまり、カチカチと、かぎをかける音が、きこえました。
井上君ひとりのときは、かぎもかけなかったのに、小林少年とふたりになったので、カニ怪人は、用心ぶかく、かぎをかけて、たちさったのです。
「B・Dバッジだよ。あれをひろって、とどけてくれた人があったので、ぼくは、こっそりしのびこもうとしたんだが、すぐにみつかってしまった。ひょっとしたら、あのバッジは、敵がわざとおとしておいたのじゃないかな。」
小林少年がいいますと、井上君はうなずいて、
「そうだよ。カニ怪人のしわざさ。しかし、ね、小林さん、ぼくは、たいへんなことを発見したんだよ。」
井上君は、そういって、いままでのことを、すっかり、はなしてきかせました。
「ふうん、きみは消されちゃったのかい。これには、なにか、わけがありそうだね。ぼくには、こうして、ちゃんと、きみの姿が見えるんだからね。」
「でも、子どもたちには、ぜんぜん見えなかったんだがなあ。ぼくにぶっつかって、ころんで、ないた子があったくらいだよ。ぼくは、かくれみのをきたようで、ほんとうにおもしろかった。」
「うん、きっと、わけがあるんだ。それから、地下室にとじこめられている人のこと、カニ怪人の衣装の下から日本人があらわれたこと、みんな明智先生の考えとあうのだよ。やっぱり先生はえらいなあ。」
「じゃ、どういうことになるんだい? カニ怪人は、いったい、何者なんだい?」
「ぼくには、まだわからない。そんなことを、ここで議論しているよりも、はやく、このことを、明智先生にしらせたい。なににしても、ふたりで、ここを、ぬけださなくっちゃあ。いや、ふたりじゃない。できれば地下室の人も、いっしょに、つれだしたいね。」
小林君は、そういって、しばらく考えていましたが、にわかに、目をかがやかせて、
「あっ、いいことがある。三人でぬけだせるよ。こんばん、それをやってみよう。きっと、うまくいくよ。」
そうして、ふたりは、しきりに、なにかささやきあうのでした。
さて、そのばん、八時ごろのことです。
小林少年は、いつもポケットにいれている万能ばんのうかぎで、ドアをひらいて、井上君といっしょに、部屋を出ました。
それから三十分ほどたつと、三人のカニ怪人が、玄関から出ていきました。玄関には、番人のカニ怪人がいましたが、三人を見ると、はさみのある手をふって、あいさつしました。三人づれのほうも、おなじように、手をふって、それにこたえ、そのまま外へ出ていきました。
門を出ると、あたりは、いちめんの原っぱで、おそろしく、さびしい場所でした。
「このへんは、北多摩きたたま郡なんだよ。」
カニ怪人のひとりが、あとのふたりに、いってきかせました。
怪人の家から二百メートルほどへだたった林の中に、一台の自動車が、ライトを消して、とまっていました。三人の怪人は、じゃまになる頭のカニのこうらだけとって、おりたたんで手にもつと、自動車にのりこみ、ひとりがハンドルをとって、都心にむかって、車をすすめました。
車は広い街道を、まっしぐらに、走っていきます。
「へんだな。あの車、さっきから、ずっと、つけてくるよ。おやっ、パトカーじゃないか。ほかに車はいないから、きっとこの車を、おっかけてくるんだよ。」
「ぼくたちの、へんな姿を見て、あやしんだのかもしれないね。かまわないよ。おっかけさせておくさ。」
ハンドルをにぎっていた怪人が、こたえました。
「あっ、パトカーが二台になった。二台で、おっかけてくるよ。」
というまに、二台のパトカーは、サイレンをならしはじめました。ねらわれているのは、三人の怪人の車にちがいないことが、わかってきました。
しかし、けっして、速度をゆるめません。そのまま、走っていますと、あっ、こんどは、前のほうから、べつのパトカーが、走ってくるではありませんか。
はさみうちにされたのです。
こうなっては、車をとめるほかありません。怪人たちの車は、さびしい、いなか道で、ピッタリと、停車しました。
前とうしろのパトカーも、とまりました。そして、三台の車から、五人の警官がおりてきて、怪人の車を、とりかこみました。
警官の懐中電灯が、パッと、こちらの車内へ、さしつけられます。
「きみたちは、何者だっ。」
どなり声といっしょに、二ちょうのピストルが、こちらをねらっています。
車内の三人は、無言のまま、大いそぎで、怪人の衣装をぬぎはじめました。
さいしょに、顔をあらわしたのは、小林少年でした。
「ぼく、明智探偵の助手の小林です。」
「あっ、小林君か。」
新聞写真でおなじみの小林少年ですから、おまわりさんたちも、よくしっています。
「どうして、そんなへんなふうをしているんだ。カニ怪人の仮装なんて、ぶっそうじゃないか。」
「これには、わけがあるんです。まずさいしょに明智先生、それから警視庁の中村警部にはなさなければなりません。それまでは、くわしいことはいえないのです。ここはみのがしてください。けっして、ごめいわくはかけません。では、いそぎますから……。」
そういったかとおもうと、小林君は、いきなり、車を発車させました。
五人の警官は、やにわに車が走りだしたので、おどろいて、とびのきました。
ふりかえってみると、警官たちは、しきりに手をふって、なにかどなっています。しかし、小林君は、かまわず車をとばして、明智探偵事務所へと、いそぎました。
この三人は小林少年と、井上少年と、それから、地下にとじこめられていた、あの紳士です。
井上君がみつけておいた、おしいれの中にさがっている、カニ怪人の衣装を、三つとりだして、三人が身につけ、なかまとみせかけて、番人の目をくらまし、なんなくにげだすことができたのです。
林の中にとまっていた自動車は、小林君がのりすてておいた、アケチ一号でした。
さあ、なんだかへんなことになってきました。妖星人Rというのは、いったい何者でしょう。星の住人ではなくて、もっとちがった、おそろしい怪物かもしれません。
ともかく、かれらは、地球人にはまねのできない、ふしぎな妖術をつかうのです。
さいしょ、かれらのひとりは、銚子の近くの海の中から、姿を、あらわしました。
それから、古山博士邸の庭の土の中からわきだし、書庫にはいって、貴重な推古仏をぬすむと、そのまま書庫の中で消えてしまいました。おおぜいの人にとりかこまれたのですから、ぜったいに、にげるすきはなかったのです。
そのつぎには、カニじいさんにばけて、井上少年を、森の中にさそいこみ、じぶんも消えてみせたうえ、井上君も消してしまいました。井上君の姿は、十何人の子どもたちにも、まったく見えなかったのです。
さいごに、岩谷美術館の、ねこそぎ盗難です。ここでは、庭のヒマラヤスギのねもとや、地下室のコンクリートの中から、カニ怪人が、姿をあらわし、また、そこから消えていきました。古山博士の庭のときには、怪人のあらわれた穴がのこっていましたが、美術館のときには、穴なんかあけないで、たいらな土の中から、また、あついコンクリートの中から、やすやすと、あらわれたり、消えたりしたのです。
これらのふしぎを、どう説明すればよいのでしょう。そこに妖星人としょうする怪人の知恵があるのです。明智探偵や小林少年が、この知恵と戦うのです。そして、いつものとおりに、きっと、勝ってしまうにちがいないのです。
その知恵くらべの場面は、すぐこのあとに、まちかまえています。
そのときこそ、これらのすべての疑問が、ときあかされるでしょう。そして、さらに、それ以上の大秘密が、ばくろされるでしょう。
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