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妖星人の林

时间: 2023-09-13    进入日语论坛
核心提示:妖星人の林「ワーッ、小林団長っ。」「ワーッ、井上君。」気がつくと、原っぱのむこうから、おおぜいの少年が、こちらへかけてく
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妖星人の林


「ワーッ、小林団長っ。」
「ワーッ、井上君。」
気がつくと、原っぱのむこうから、おおぜいの少年が、こちらへかけてくるのが見えました。みんな少年探偵団員です。ポケット小僧もいます。ノロちゃんの野呂一平のろいっぺい君もいます。かぞえてみると、十三人です。それに小林、井上の二少年をくわえると十五人になります。十五少年が、せいぞろいをしたのです。
「きみたち、どうして、こんなところにいるんだい。」
小林君がたずねますと、中学一年の木村きむらという少年がこたえました。
「小林さんが、電話で、みんなをよびあつめたんじゃないか。それで、ぼくたち、あのおばけやしきの洋館へ、やってきたんだよ。すると、へんなおじさんがいて、キラキラひかる鏡の玉が、てんじょうからさがってきて、ぼくたち、ねむくなってしまった。
そして、ハッと気がつくと、いつのまにか、この原っぱへきていたんだよ。なんだか、夢を見てるような気持だよ。」
小林少年は、電話なんかかけたおぼえはありません。これも二十面相のしわざにちがいないのです。二十面相はなんでもしっています。小林君の声をまねて、電話で、おもな団員をよびあつめたのかもしれません。
小林君は、それよりも、おばけガニのことが気になるので、うしろをふりかえってみました。
すると、ふしぎ、ふしぎ、うしろは、いちめんの原っぱで、あの洋館は、影も形もなくなっていたではありませんか。
ほんとうに、夢を見ているような気持です。そういえば、空も、原っぱも、いちめんに、うすぐらく、なまり色で、夢の中のけしきのようです。
少年たちは、小林団長をかこんで、ひとかたまりになって立っていましたが、ポケット小僧が、空をゆびさして、とんきょうな声で、さけびました。
「あれ、あれ、なんだか、たくさん、ふってくるよ。」
みんなが、空を見あげました。
小さな、灰色のまるいものが、かずかぎりもなく、ふってくるのです。
小林君たちが、さっきのぞいた天体望遠鏡の中のけしきと、そっくりでした。空飛ぶ円盤が地球にちかづいてくるのです。さっきは望遠鏡でしか見えなかったのが、もう肉眼で見えるようになったのです。
円盤はひじょうな速さで、ちかづいてきます。みるみる、形が大きくなってくるのです。一つ、二つ、三つ、四つ……十一、十二、十三、十四……二十一、二十二……、かぞえきれないほどです。はっきり見えるだけでも百以上あります。そのあとから、ほこりのように小さく見えるのが、かぎりもなくふってくるのです。
やっぱりRすい星には、生き物がすんでいたのでしょうか。いくら二十面相が魔法つかいだからといって、こんなに空から円盤をふらせることはできないでしょう。すると、妖星人Rは、二十面相のでっちあげたものではないのかもしれません。
いちばん近い円盤は、おさらほどの大きさに見えています。はじめは、灰色だったのが、いまは青黒い色です。
「あらっ、あの円盤には足があるよ。」
ノロちゃんの声でした。
なるほど、足があります。八本の足があります。それから、大きな二本のはさみが。
カニです。でっかいカニが、空からふってくるのです。かぞえきれない、足のある円盤が、ふってくるのです。だんだん大きくなってきました。もうマンホールのふたぐらいの大きさです。あの気味のわるい、白っぽいカニの腹が、ハッキリ見えます。
カニ円盤はグングン大きくなってきました。大きなはさみと、八本の足をモガモガやりながら、おりてきます。
さしわたし三メートルほどに見えます。たちまち、四メートル、五メートル……七メートル、八メートル、おそろしくでっかい、おばけガニです。そして、十メートルほどにふくれあがったとき、さいしょのカニ円盤は、原っぱに着陸していました。少年たちから百メートルはなれたところです。
つぎつぎと着陸します。十、二十、三十、もうかぞえきれません。広い原っぱが、巨大なカニ円盤でいっぱいになってしまいました。
それらのおばけガニが大きなはさみを、おったて、八本の足をモガモガと動かしているありさまは、じつに、なんともいえないおそろしさです。
いちばん近くのカニ円盤の背中の上で、なにか動いているものがあります。あっ、怪人二十面相です。さっき、小ガニの群れにうずめられて、消えてしまったとおもった二十面相が、いつのまにか、カニ円盤の背中にのぼっていたのです。あのいやらしいメフィストの姿です。
「ワハハハハ……、少年探偵団の諸君、どうだ、おどろいたか。Rすい星から、地球せいばつにやってきたのだ。おれはRすい星の大統領だ。いま、きみたちに、おれのなかまを見せてやろう。ピン、パン、ポン、ピン、パン、ポン……。」
原っぱにひびきわたるような、おそろしい声でした。
すると、たいへんなことがおこりました。ひとつのカニ円盤に三人ずつのカニ怪人があらわれて、円盤の背中に立ったのです。たぶん、カニ円盤のおなかがわれて、そこから、はいだしてきたのでしょう。円盤はまだ、降りつづいています。原っぱに着陸したのだけでも、二百以上です。その背中に、三人ずつのカニ怪人が立ったのですから、カニ怪人の林のようです。カニ怪人の大軍団です。
みにくい姿のカニ怪人です。みなさんよく知っているカニ怪人です。カニのこうらのような頭、二本の触手、自動車のヘッドライトのような二つの目、鉄のよろいを着たからだ、鉄のはさみのついた腕、あの妖星人Rです。
「ワハハハ……、どうだ、おどろいたか。きみたちが、びっくりして、ポカンと口をあいている顔を見ると、おれはゆかいでたまらないぞ。ワハハハハ……。だが、これでおしまいじゃない。まだまだおもしろいものを見せてやるのだ。いいか、そらっ。」
メフィストの二十面相が、両手をたかくあげて、頭の上で、グルグルとまわしました。
すると、おもいもよらぬ、おそろしいことがおこったのです。
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