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怪人の正体

时间: 2023-09-13    进入日语论坛
核心提示:怪人の正体ふたりの少年が、壁ぎわの長いすに、ならんでこしかけるのをまって、明智が声をかけました。「井上君、きみのであった
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怪人の正体


ふたりの少年が、壁ぎわの長いすに、ならんでこしかけるのをまって、明智が声をかけました。
「井上君、きみのであったふしぎについて、はなしてごらん。カニじいさんに、きみが消された話だよ。」
「はい。」といって、井上君は、その話をしました。カニじいさんに出あったこと、じいさんに森の中へつれこまれ、じいさんがカニ怪人の姿になって、消えてみせたこと、そして、井上君も消されてしまったこと、おおぜいのこどもに自分の姿が見えず、自分にぶつかって、ころんだこどもがあったことなどを、かいつまんではなしました。
「それで、きみはいまでも、自分が消されたとおもっているのかね。」
「いいえ、ぼくは、いっぱいくわされたらしいのです。ぼくが見えなかったのは、子どもたちばかりで、そのあとであった人には、ぼくの姿は、よく見えたのですから。しかし、どうして子どもたちに見えなかったのか、ふしぎでしかたありません。」
「まず、森の中でカニ怪人が、消えてみせた。そして、姿を消す力をもっていることを、きみに信じこませた。そのとき、怪人は、ほんとうに消えたのだとおもうかね。」
「わかりません。しかし、消えたように見えました。」
「カニ怪人は星の生きものではなくて、地球の人間なのだから、消えられるはずはない。それも、あいつの手品だよ。そのとき、怪人は大きな木の下にいたんだね。おそらく、その木の上のほうの、葉のしげった中に、なかまがかくれていたんだよ。
そいつが、車にまきつけた、黒いナイロンのひもを、上からさげる。そのひものさきには、かぎがついていて、怪人がそのかぎを、自分の背中にひっかけるようなしかけになっていたにちがいない。うすぐらい森の中だから、ナイロンのほそいひもは見えはしない。
かぎをひっかけると、木の上のなかまは、木の枝にとりつけた車をまわす。怪人は上にひきあげられ、葉のしげみの中に、かくれてしまうというわけだよ。
しかし、ただひきあげたのでは、すぐわかってしまうから、煙をはきだして、自分のからだを、煙につつんでしまった。からだのどこかに、こい煙が出るしかけを、よういしておいたんだね。
それから、きみが消された。それをたしかめるために、またカニじいさんがあらわれて、子どもたちをよんだ。その子どもたちは、みんなカニじいさんの味方だったのさ。みんなにカニをやるからという約束で、おしばいをさせたんだよ。
子どもたちは、きみの姿がすこしも見えないような、おしばいをやってみせた、きみにぶつかって、たおれて、なきだした子どもさえある。子どもは、やる気になれば、うまいおしばいができるものだ。カニじいさんは、子どもの心を、よくつかんでいたのだよ。
まさか、子どもたちが、そろっておしばいをしているなんて、おもいもよらないものだから、つい、信じてしまう。井上君は、自分のからだが消えてしまったと、信じたわけだよ。」
そのとき、中村警部が、首をかしげながら、口をだしました。
「井上君に、自分が消えたとおもいこませるために、ずいぶん手数をかけたものだね。どうして、そんな必要があったのかね。」
「必要なんかないさ。いたずらだよ。カニ怪人にばけたやつは、とほうもないいたずらずきなんだ。どんな手数をかけても、いたずらがやってみたかったのさ。だいいち、妖星人Rとなのって、カニ怪人にばけたことだって、世界をあいての大いたずらだからね。
それから、もうひとつは、カニ怪人は、少年探偵団をやっつけようとしたんだ。幹部かんぶの井上君を、まず、とりこにして、B・Dバッジを道にまいて、小林団長を、よびよせようとした。小林君は、その手にのって、怪人のとりこになってしまった。しかし、ふたりの少年は、じつにうまいやりかたでそこをにげだした。ぼくは、ふたりの話をきいて、カニ怪人の秘密を、すっかり、さとることができたのだよ。」
「なるほど、そんなことがあったんだね。しかし、もっとふしぎなことがある。これは、どうにも、ときようがない。カニ怪人の出入りをした地面に、穴もなにもなかった。コンクリートの床や壁から、自由にあらわれたり、また、そこへ消えたりした。それは、この美術館の庭と地下室でおこったことだ。カニ怪人が地球の人間だとすると、このなぞが、どうしても、とけないことになる。」
「それはなんでもないことだ。わけなくとけるのだよ。」
明智探偵が、こともなげに、こたえました。
「じゃあ、といてくれたまえ。ぼくには、どうしても、わからない。」
中村警部は、かぶとをぬぎました。
「正面から考えると、わけがわからないのだよ。しかし、きみは、それを自分の目で見たかね。」
「見たわけではない。古山博士からきいたのだ。しかし、博士とその話をしているときに、窓の外からカニ怪人がのぞいていたので、みんなで、おっかけたのだが、怪人は、庭のヒマラヤスギのねもとで消えてしまった。そして、地面には、なんのあとものこっていなかった。」
「それは、さっきはなしたように、なかまが木の上にいて、車にまいたナイロンのひもで、ひきあげたんだよ。夜のことだから、よくわからなかった。それに博士から、地面にすいこまれるように消えるという話を、きいていたので、つい、そう信じてしまったのだよ。」
「すると、博士は、つくり話をしていたのか。」
「そうとしか考えられないね。」
それをきくと、古山博士が、ぐっと、こちらをにらみつけて、どなるようにいいました。
「明智さん、あなたをおよびしたのは、この美術館の盗難事件のなぞをといてもらいたかったからです。よぶんな話はどうでもよろしい。どうして、美術品がねこそぎぬすまれたか、その犯人はどこにいるのか、それがしりたいのです。」
明智探偵は、ニッコリとわらいました。
「ほんとうにしりたいのですか。」
「もちろんです。」
「では、いいましょう。その犯人は……。」
「その犯人は……。」
明智と古山博士とは、おたがいの目を、のぞきこむようにして、むかいあってました。
「その犯人は、ここにいます。」
明智が、ピシリとむちをならすように、いいきりました。
「こことは?」
「この部屋です。古山博士、犯人はあなたです。」
明智のひとさし指が、まっこうから、博士をゆびさしました。
「ワハハハ……、こいつはおかしい。またしても、わたしは、わたしのものを、ぬすんだのですね。自分が館長をつとめている美術館の品物を、ぬすんだといわれるのですか。」
「あなたは、岩谷美術館の館長ではありません。」
「え、え、なんといわれる?」
「きみは、古山博士ではないというのだ。」
それをきくと、博士は、すっくと、いすから立ちあがりました。
「このわたしが、古山ではないといわれるのか。いったい、なにをしょうこに……。」
「小林君、そのしょうこをつれてきたまえ。」
明智にいわれて、小林少年は、部屋からかけだしていきましたが、まもなく、ひとりの紳士をつれて、あらわれました。
それは、井上少年が、カニ怪人のすみかの地下室で発見した、あの紳士でした。半月のあいだ、とらわれていたので、服はしわだらけになり、顔はひげでおおわれていましたが、見くらべると、古山博士とそっくりでした。
「あなたは、古山博士ですね。」
明智が、その紳士にたずねました。
「そうです。わたしは、カニ怪人というばけものにつれさられて、いままで地下室にとじこめられていたのです。」
「ここにいる人も、古山博士となのっています。古山博士がふたりになりました。よくにていますね。いったい、どちらがほんもので、どちらがにせものでしょう。」
明智がおどけたようにいいました。
ふたりの古山博士は、立ったまま、正面から、にらみあっています。
「こいつがにせものです。きけば、美術館の品物が、ねこそぎぬすまれたそうですが、そのぬすみをやるために、わたしを地下室にとじこめておいて、わたしにばけたのです。館長がどろぼうとは、だれも考えない。そこが、こいつのつけめだったのです。」
「ふうん、そうだったのか。」
中村警部が、やっと、気づいたように、いいました。
「すると、ゆうべ、睡眠薬のはいったコーヒーでねむらされたのは、われわれ警官だけで、館長や事務員は、ねむったといっていたが、じつはねむったのではなかった。そのあいだに、なかまがのってきたトラックに、美術品をつみこむてつだいをしたのだ。そして、すっかり、はこびだしてしまうと、もとの部屋にもどって、ねむっているように見せかけたのだ。まてよ、すると、あの四人の事務員も、ほんとうの館員ではなくて、犯人のなかまがばけていたんだな。」
これで、すっかり、なぞがとけたわけです。しかし、にせものの古山博士は、なかなか、へこたれません。ごうぜんとして、つったっています。
「どこの馬の骨かわからない、こんな男をつれてきて、わたしをにせものだなんて、とんでもない、いいがかりだ。わたしが古山であることは、妻や子どもが証明してくれるよ。」
「いかにも、きみはこの半月ばかり、奥さんや子どもまでだました。それほど、きみの変装は手にいっているのだ。そういう変装の名人は、日本じゅうに、たったひとりしかいない。わかるかね。ぼくは二十のちがった顔をもつ男のことを、いっているんだよ。」
古山博士が、ギョッとしたように、からだをかたくしました。みるみる顔色がかわっていきます。
「きみは、怪人二十面相だっ。」
明智がたたきつけるように、さけびました。
「アハハハハ……、妖星人R、カニ怪人の正体は二十面相だった。このとほうもない知らせは、日本じゅうを、いや、世界じゅうを、ゲラゲラと、大笑いさせるだろう。きみは、これで、もうじゅうぶん目的をたっしたのだ。どうだね、二十面相君。」
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