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初夏の不思議(2)

时间: 2022-11-07    进入日语论坛
核心提示: ちょうど、このとき、あちらから、かすんだ往来おうらいをまだ若わかい薬売くすりうりがやってきました。二、三年ねん前まえま
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 ちょうど、このとき、あちらから、かすんだ往来おうらいをまだわか薬売くすりうりがやってきました。二、三ねんまえまで、おじいさんが、くすりりにやってきたのでしたが、このごろは隠居いんきょでもしたのか、まだわかおとこが、たびから、わざわざこのむらほうまでやってきて、くすりるのでありました。
先祖代々せんぞだいだい家伝かでん、いっさいの妙薬みょうやく。」といって、あるいてきました。
やがて、わか薬売くすりうりは、はこって、すげがさを目深まぶかにかぶって、草鞋わらじをはいて、こちらにきかかりますと、おんな子供こどもが、なにかたがいにいいあっているようすでありましたからおもわずあゆみをとめました。
薬屋くすりやさん、いっさいの妙薬みょうやくなら、このすいかのきずがなおされるだろう。」と、おんなは、あざわらっていいました。
わか薬売くすりうりは、いったい何事なにごとこったのだろうとおもって、にわかに、返事へんじができませんでした。すると、小僧こぞうは、どもりながら、今日きょうのことをいっさいかたってかせたのです。
このはなしいた薬売くすりうりは、しずかにかおをあげて、
おくさん、それは、あなたのほうが無理むりです。」といいました。
おんなは、たいそうおこりました。
「なにが無理むりか。おまえこそいいかげんなうそをいって、ひとをごまかそうとおもっているじゃないか。いっさいの妙薬みょうやくなら、このすいかのきずをなおしてごらん。」といいました。
わか薬売くすりうりは、しばらくだまっていましたが、
おくさん、なおしてみせます。」といって、っているはこをおろしました。そして、なかから金色きんいろくすりをとりして、そのくすりみずかして、すいかの傷口きずぐちりました。太陽たいようあたたかなひかりのために、くすりながれて、おおきなすいかを金色きんいろめてしまいました。
小僧こぞうは、あっけにとられてていました。すると、不思議ふしぎにすいかの傷口きずぐちは、ふさがってわからなくなってしまったのです。
おんなは、これをて、言葉ことばなく、ただぼんやりしていました。
「このすいかをべたひと長生ながいきします。今晩こんばん、このすいかを夜店よみせってると、きっとがよくれますよ。」と、薬売くすりうりはいいました。そして、わか薬売くすりうりは、あちらにいってしまいました。
薬売くすりうりも八百屋やおや小僧こぞうもいなくなってから、おんなは、ほんとうに不思議ふしぎなことがあるものだとかんがえました。
「あの薬売くすりうりは、いつもくる薬売くすりうりとかおがちがっていたようだ。今日きょう薬売くすりうりは、かみさまかほとけさまにちがいない。それでなくて、どうして、あのすいかのきずがなおったろう。たしかに、わたしには、傷口きずぐちがふさがったようにおもわれた。」と、ひとりおんなはつぶやきました。
それから、おんなは、くすりって、すいかの傷口きずぐちがなおるものかと、二、三にん人々ひとびとにたずねますと、みんなおおきなくちけて、
「おまえは、きつねにばかされているのではないか。」といってわらいました。それで、おんなはますますおどろいてしまいました。
おんなは、れるのをっていました。やがて、晩方ばんがたになると、まちへいってみました。もう八百屋やおや小僧こぞう夜店よみせしていました。そして、ちょうど、ひげのしろ老人ろうじんが、そのまえにうずくまって、れい金色きんいろのすいかをげ、カンテラのらしてながめていました。
おんなは、このさまると、そばへってきて、
小僧こぞうさん、このすいかをわたしってください。すこし子細しさいがありますから。」といって、ぜにはらって、おじいさんのからうばうようにしてってゆきました。
そらは、よくれて、きれいなほしひかりが、いくつもこのまちらしていました。
おんなは、うちかえって、ランプのしたで、もう一よくすいかをました。しかし、どうしたことか傷口きずくちがわかりませんでした。そのとき、うちじゅうのものがみんなてきて、ランプのしたあつまりました。そして、おんなはなしをきいて、すいかをめいめいがにとってながめて、不思議ふしぎがりました。
「このすいかをってみなさい。」と、おばあさんがいわれました。
おんな亭主ていしゅも、おじいさんも、叔母おばさんも、それがいいといったので、おんなは、さっそく庖丁ほうちょうってきて、っ二つにすいかをってみました。すると、そのなかは、であったばかりでなく、がだくだくとくちからながれたのです。
おんなは、おどろいて、をみはりました。
「このすいかは、きていたのだ。」と、おばあさんがいわれました。
「あまり、おまえが邪慳じゃけんだから、せしめのために、かみさまがこうしておせになったのだ。」と、おじいさんはいわれました。
まるい、みずみずしいつきが、ちょうどまどからのぞいていました。それから、おんなは、やさしい、いいひとになったということであります。
 
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