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雪の上のおじいさん(1)

时间: 2023-01-19    进入日语论坛
核心提示:雪の上のおじいさん小川未明ある村むらに、人ひとのよいおじいさんがありました。ある日ひのこと、おじいさんは、用事ようじがあ
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雪の上のおじいさん

小川未明


あるむらに、ひとのよいおじいさんがありました。あるのこと、おじいさんは、用事ようじがあって、まちかけました。もう、ながあいだ、おじいさんは、まちたことがありませんでした。しかし、どうしてもいかなければならない用事ようじがありましたので、つえをついて、自分じぶんいえました。
おじいさんは、いくつかのはやしのあいだをとおり、また広々ひろびろとした野原のはらぎました。小鳥ことりのこずえにまっていていました。おじいさんは、おりおりつえをとめてやすみました。もう、あたりのはたけはさびしくれていました。そして、とおい、たか山々やまやまには、ゆきがきていました。おじいさんははやまちへいって、用事ようじをすましてかえろうとおもいました。
むらから、まちまでは、五あまりもへだたっていました。そのあいだは、さびしいみちで、おじいさんは、あまりっているひとたちにもあいませんでした。
やっと、おじいさんは、ひるすこしぎたころ、そのまちはいりました。しばらくきてみなかったあいだに、まちのようすもだいぶわっていました。おじいさんは、みぎひだりをながめたりして、おどろいていました。それもそのはず、おじいさんは、めったにむらからたことがなく、一にちむらなかはたらいていたからであります。
わたしが、くわをって、毎日まいにちおなはたけたがやしているに、まちはこんなにわったのか、そして、このわたしまでが、こんなにとしをとってしまった。」と、おじいさんは、ひとりためいきをもらしていたのです。
わたしは、あそびにまちたのでない。はや用事ようじをすまして、くらくならないうちに、むらまでかえらなければならぬ。」と、おじいさんはおもいました。
そこで自分じぶんのたずねる場所ばしょをさがしていますと、公園こうえんぐちました。
公園こうえんには、青々あおあおとしたがしげっていました。人々ひとびといそがしそうに、そのまえとおけて、あちらのほうへいってしまうものもあれば、また公園こうえんなかはいってくるもの、また、そこからてゆくものなどがえました。しかし、その人々ひとびとは、みんな自分じぶんのことばかりかんがえて、だれも、そのぐちのそばのしたって、しくしくといている子供こどものあることにづきませんでした。またそれにがついても、らぬかおをしてゆくものばかりでありました。
このおじいさんは、しんせつな、人情深にんじょうぶかいおじいさんで、むらにいるときも、近所きんじょ子供こどもらからしたわれているほどでありましたから、すぐに、その子供こどもいているのがにつきました。
「なんで、あのいているのだろう。」と、おじいさんはおもいました。けれど、おじいさんは、用事ようじいそいでいました。そして、はやようをたして、とお自分じぶんむらかえらなければなりませんのでした。いまは、それどころでないとおもったのでしょう。その子供こどものことがにかかりながら、そこをとおぎてしまいました。
しかし、いいおじいさんでありましたから、すぐに、その子供こどものことをわすれてしまうことができませんでした。いつまでも、子供こども姿すがたのこっていました。
「あのは、なんでいていたのだろう。母親ははおやにでもまぐれたのか、それとも、ともだちを見失みうしなったのか。よくそばへいって、いてみればよかった。」と、おじいさんは、ごろ、やさしいこころにもず、つれなく、そこをとおぎてしまったのを後悔こうかいいたしました。
「それは、そうと、わたしのたずねていくところがわからない。」と、おじいさんは、あちらこちらと、まごまごしていました。そして、おじいさんは、むかし、いったことのある場所ばしょわすれてしまって、幾人いくにんとなくすれちがった人々ひとびといていました。
「あのあたりでいてごらんなさい。」などといいのこして、さっさといってしまうものばかりでありました。
おじいさんは、うろうろしているうちに、またさびしいところへてしまいました。そこは、先刻さっきそのぐちまえぎた、おな公園こうえん裏手うらてになっていました。青々あおあおとした常磐木ときわぎが、うすぐもったそらに、かぜかれて、さやさやとずれがしています。よわひかりは、物悲ものかなしそうに、したや、建物たてものや、そののすべてのもののうえらしていました。
「また、公園こうえんのところへてしまったか。」と、おじいさんは、もどかしそうにいいました。
すると、すぐ目先めさきに、てつのさくにりかかって、さっきた六つばかりのおとこが、しくしくいていました。これをると、おじいさんはびっくりしてしまいました。
おじいさんは、なにもかもわすれてしまいました。そして、すぐにいている子供こどものそばに近寄ちかよりました。
ぼうは、どうしていているのだ。」と、おじいさんは、子供こどもあたまをなでながらきました。
「おうちかえりたい。」と、子供こどもは、ただいっていているばかりでした。
ぼうやのおうちはどこだか? わたしがつれていってやるだ。」と、おじいさんは田舎言葉いなかことばでいいました。
しかし、子供こどもは、自分じぶんいえのあるまちをよくおぼえていませんでした。それとも、かなしさがむねいっぱいで、われてもすぐには、あたまなかおもかばなかったものか、
「おうちかえりたい。」と、ただ、こういっていているばかりでありました。
おじいさんは、ほんとうにこまってしまいました。それにしても、さっきから、この子供こどもはこの公園こうえんのあたりでいているのに、だれも、いままで、しんせつにたずねて、うちへつれていってやろうというものもない。なんというまちひとたちは、薄情はくじょうなものばかりだろう。それほど、なにかいそがしい仕事しごとがあるのかと、おじいさんは不思議ふしぎかんじたのでした。
「おうちかえりたい。」
子供こどもは、こういってきつづけていました。
「ああ、もうかんでいい。わたしが、ぼうやをつれていってやる。」と、おじいさんは、子供こどもいて、そこのてつさくからはなれました。
ぼうや、こまったな。おうちのあるまちがわからなくては。」と、おじいさんは子供こどもをいたわりながら、ちいさないてあるいてきました。すると、あちらに、風船球ふうせんだまりがいて、いとさきに、あかいのや、むらさきのをつけて、いくつもそらばしていました。
「どれ、ぼうやに、風船球ふうせんだまをひとつってやろう。」と、おじいさんはいいました。
子供こどもは、ると、ほしくて、ほしくてたまらない、むらさきのや、あかいのが、かぜかれてかんでいましたので、くのをやめて、ぼんやりと風船球ふうせんだまとれていました。
あかいのがいいか、むらさきのがいいか。」と、おじいさんはいていました。
あかいのがいいの。」と、子供こどもこたえた。
風船球屋ふうせんだまやさん、そのあかいのをおくれ。」といって、おじいさんは、ふところからおおきなぬのった財布さいふして、あかいのをってくれました。
ばさないように、しっかりっていくのだ。」と、おじいさんはいいました。
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