朝会って「おはよう」、別れるときの「さようなら」といった、いわゆる挨拶のほかにも、言葉はいろいろと社交的機能において使われている。
別に用はないが、久しぶりに友人を訪ねて雑談をするというのも拡張された挨拶であるといってよい。大抵の無駄話や世間話は、それ自体に価値があるのではなく、そういう一見無意味と思われる言葉を交わすことによって、人間関係を( ④ )にする効果があるのである。単なるおしゃべりが思いがけない役に立っていることが少なくない。
どこの国の言語にも、実用的伝達の目的は持っていないが、人間関係を( ④ )にする社交語、挨拶語というものがあることは、これがいかに重要なものであるかを物語っている。安定した社会においては、挨拶語の機能が特に問題になることもないかもしれないが、変化が激しくて、個人と個人の関係が無機的なものになってくると、これが再認識されなくてはならないようになる。
近年の我が国の社会打破、新しい人間関係が確率しかけていて、なお、いまだ、安定には達していない。人と人との関係はどうしてもぎこちないものになり、摩擦を生じやすい。新しい言語表現が浸透しつつあるけれども、まだ、それが美しい言葉になるほどの洗練にはいたっていない。お互いに傷つけるつもりもなくて、言葉で他人の心を傷つけている。小さなトラブルがデパートでも喫茶店でも街頭でも起こっている。
こういう摩擦やトラブルをなくするには、潤滑油としての言語がもっとも有効である。社交語、挨拶語は要するに潤滑油である。新しい社会的緊張に対処するには新しい社交語、挨拶語が必要であろう。
言葉の潤滑油としての機能にもっと注目することは社会としてもきわめて充康なことのように思われる。
1、「拡張された挨拶」とあるが、次のどれが「拡張された挨拶」ではないか。
①別れるときの「さようなら」
②大抵の無駄話や世間話
③知ったもの同士のであった確認としての挨拶
④久しぶりに友人を訪ねて雑談をすること
2、「それ」とはあるが、ここでは何を指すか。
①言葉は伝達の手段である。
②言葉の機能。
③挨拶をすること。
④知ったものの同士のであった確認として挨拶をすること。
3、筆者がこの文章で一番に言いたいことは次のどれか。
①安定した社会においては、個人と個人の関係が無機的なものである、挨拶語の機能を再認識する必要がある。
②言葉は伝達の手段であり、実用的伝達の目的を持っていない社交語、挨拶語は、かえって摩擦やトラブルを招くことがある。
③近年の我が国の社会では、新しい言語表現が浸透したため、他人との摩擦が生じやすくなった。
④他人に伝えたいことがないときにする挨拶も、重要な言葉の機能の一つである。
4、この文章の内容と合っているものはどれか。
①言葉は伝達の手段なので他人に伝えたいことがない時に使ってはならない。
②無駄話や世間話は、それ自体に価値があるのではなく、単なるおしゃべりが思いが
③安定した社会においては、挨拶語の機能が特に問題になるが、再認識されなくてはならない。
④近年の我が国の社会では、新しい言語表現が洗練にはいたっていないので、小さなトラブルは少なくない。
5、「一見無駄意味と思われる言葉を交わす」とはあるが、ここではどういう意味か。
①お互いの意見を交換する
②無駄話や世間話
③久しぶりに友人と情報を交換する
④お互いに朝会って「おはよう」、別れるときの「さようなら」といったような挨拶をする
6、( ④ )に入る言い方として最も適当なものはどれか。
①無機
②安定
③円滑
④無事
7、「これ」とはあるが、ここで何のことか。
①社交語、挨拶語のこと
②実用的伝達の目的を持っていない社交語、挨拶語があること
③どこの国の言語にも、実用的伝達の目的は持っていないこと
④社交語、挨拶語というものがあること